見出し画像

シャルパンティエ効果

シャルパンティエ効果とは、身近なイメージを使って例えられると心理的錯覚を起こす効果のことです。

画像1

もし目の前に3kgの鉄と3kgの綿があった場合、どちらが重いと感じるでしょうか?
冷静になって考えると、どちらも同じ重さであることは明らかです。しかし、パッと目にした時の印象は、3kgの鉄のほうが重く感じるのではないでしょうか。
「鉄」と「綿」は、どちらとも多くの人が知っているものであり、見た目や重さをイメージしやすいものです。
その2つを比較対象として「どちらが重いか」と尋ねた場合、多くの人はより重いイメージを持つ「鉄」に引っ張られてしまいます。その結果、同じ重さにもかかわらず「鉄のほうが重い」とイメージしてしまうのです。
シャルパンティエ効果は、ビジネスにおいて商品やサービスの宣伝をする際に役立ちます。


例えば、「1日に必要なビタミン類の半分を補完できるサプリメントです」のように、アピールしたい要素を身近なものに例えると、多くのユーザーに商品やサービスの良さを伝えられるでしょう。
シャルパンティエ効果を使うポイント4つ
シャルパンティエ効果は誰でも手軽に使える効果です。とはいえ、考えなしにシャルパンティエ効果を使った広告を作っても、逆効果になってしまう可能性もあります。


1.身近なもので例える
A:東京ドーム5個分の大きさ
B:エアーズロック3個分の大きさ
上の例を見たとき、多くの方はAのほうが想像しやすいのではないでしょうか。これは、日本人にとって、エアーズロックよりも東京ドームの方が大きさのイメージがつきやすいからです。
シャルパンティエ効果を使用するのであれば、「ターゲット層なら誰でも理解できる例えを用いること」が重要です。
例えのイメージができないと、ターゲットは大きさや重さ、効能などをイメージできないため、シャルパンティエ効果が発揮されません。

また、多くの人が知っているからといってターゲット層が知らない例えを出すことも好ましくありません。
10代がターゲット層の商品に対して、高齢者にはなじみ深いけれども若年層は見たことのないもので例えても効果はほとんどないでしょう。
あくまで「ターゲット層はどのような言葉が適切なのか」を意識することがポイントです。


2.伝えたいイメージに近いもので例える
A:3kgの綿
B:3kgの鉄
記事冒頭でも例に挙げましたが、AとBではどちらの方が重さを感じるでしょうか。
一般的に「鉄」の方が重さを感じるため「重さ」をPRしたいのであれば、綿で例えることは不適切です。
ほとんどの人が綿といえば、「ふわふわとした軽いもの」をイメージします。そのため、「軽さ」のイメージを伝えるには有効ですが、「重さ」のイメージには適しません。
「重さ」のイメージをより効果的に伝えるには、石、もしくは鉄球のような「重み」があるもので例えると効果的です。
このように「大きさ」を伝えたいのであれば大きいものを用いる、「栄養価の高さ」を伝えたいのであればその栄養素を多く含むもので例えるといったように、それぞれの強みを持ったものを用いて例に挙げてください。


3.できるだけ大きな(小さな)数字を使うようにする
A:東京スカイツリーの20倍の高さ
B:エベレストの2倍の高さ
上の例を見たとき、どちらの方が高く感じるでしょうか。
東京スカイツリーの20倍の高さは12,680m、エベレストの2倍の高さは17,696mです。
5,000mほどエベレストの方が高いですが、どちらの方が高く感じるのか、という質問には多くの人が瞬間的に「東京スカイツリー」を選択するのではないでしょうか。
この比較では、「○倍」の数字が東京スカイツリーのほうが大きいため、より数字の大きい方にイメージが引っ張られています。
そのため、本来はエベレスト2倍の方が高いにもかかわらず、スカイツリー20倍のほうが高いと思ってしまうのです。

このように、シャルパンティエ効果を使うポイントは「用いる数字をできるだけ大きく(小さく)する」ことです。
商品広告を出す際にも、栄養価の高さを売りにするケースの場合「1g」と表現するより「1,000mg」と表現するほうが効果的です。
できるだけ大きな数字を用いるのかできるだけ小さな数字を用いるのかは、訴求したい内容にあわせて選択してください。


4.変化の具合をビフォーアフターで表す
A:CPUの処理速度が向上しました
B:CPUの処理速度が従来の2倍にパワーアップしました
CPUが最新のバージョンにグレードアップして処理速度が向上したことを売りにしたい場合、AとBではどちらの方が伝わりやすいでしょうか。
ただCPUの処理速度が向上したと伝えるだけではなく、Bのように「どれくらい」向上したのか明記した方がどのようにグレードアップしたのか想像しやすいです。


このように対象をイメージしやすいもので例えるほかに、変化の具合をビフォーアフターで示す手法もあります。
商品やサービスを利用するとどのような変化が起きるのか、逆に利用しなかった場合どのような機会損失が考えられるのか、という要素を盛り込んだ広告文を作るとことで、よりユーザーに訴えかけることが可能です。


シャルパンティエ効果を利用する時の注意点
シャルパンティエ効果を利用する際の注意点があります。
それは「あからさまにシャルパンティエ効果を用いない」ことです。
シャルパンティエ効果は、多くの商品やサービスの宣伝で用いられています。そのため、手法に見覚えがあるユーザーはも大勢いるでしょう。
シャルパンティエ効果を盛り込んだ宣伝をあからさまに行うと「なにか裏があるのかもしれない」「誇大広告なのではないか」と疑念を与えかねません。


例えば、1万円で販売している商品に「本日は40%オフ、さらにレジで25%オフ」と宣伝していたとします。
一見65%オフになるように見えますが、実は55%オフにしかなりません。レジで会計をする際に、人によっては「騙された」と感じてしまうかもしれません。
繰り返し使用したり、大きすぎる数字を使って例えたりすることは、できるだけ控えてください。


まとめ
シャルパンティエ効果を使用する際は、いかにターゲットにとってわかりやすく親しみやすいか、ということを意識しましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?