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学校での学び 見方変える時

緊急事態宣言が解除され、徐々に学校での授業が再開されつつある。今、私を含めて学校の教師は、教育のあり方を根本的に考えるべき時だ。そして、学校教育が未来の基盤を創るものだとすれば、これは全ての人の大切なテーマになり得る。

コロナは、私たちに現代社会が不完全であること、未来が不透明であることはハッキリと自覚させた。今私たちは頭ではなく、身体をくぐらせて、社会が変化していくことを理解しているはずだ。

社会は間違いなく変化していく。しかも非常に速く、非線形的に。それが分かっている時、一体、学校が子どもたちに授けるべきももは何だろうか。少なくとも次の2つが候補になるだろう。

一つは、自ら学び続ける力。社会がどんどん変化する以上、私たちはその変化に対応すべく学び続ける必要があるだろう。生徒自身が問いを見つけるのを支える。生徒が自分の意志で決定することを促す。生徒が自分で学び、その学びを自己評価する力こそを育てるのだ。

では、実際にそのための教育はどれほどなされているだろう。自戒を込めて言うが、多くの授業は、「先生が教える」という意識の下で行われているのではないか。一方で生徒は「先生が教えてくれる」と考えている。だから教師だけが質問をして生徒に答えさせる。結果的に教科書という固定的で限定的な枠の中だけで授業が進む。3ヶ月以上にわたる休校中に、生徒たちは自分でどれだけ学んだだろうか。それを支える教育を私たちはしてきたか。今、そこが問われていいと思う。

二つ目は、社会を変革する力だ。社会の変化に合わせて、仕組みやルールを常に改善していく力が求められる。そのために必要なことは、「自分はこの状況に影響を与えられる」という感覚である。この感覚は自分の意志と行動で、状況を改善することができた、という経験から育つ。しかし、今の学校は生徒が自己決定する場面をほとんど許さない。生徒はずっと「対象者」として与えられる立場に据え置かれている。部活動のメニューは生徒が決めてよいのではないか。学校の校則は、生徒が変えていくことを認めよう。授業も生徒が問いを選び、評価基準を自ら作ることがあっていい。

最後に。

多くの教師は、休校期間の遅れを取り戻そうと、教えるべきとされた内容を教師の都合で詰め込もうとするかもしれない。しかし、もうそういう授業はやめよう。時代は変わったのだ。世の中は元の形には戻らない。教育も、従来のパッシブなものに戻してはいけない。生徒に、学び続ける力と社会変革する力を与える、ダイナミックな教育を目指すべきだ。



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