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木本大介の二流のプロフェッショナル「株式会社IPRhino代表取締役 我妻 潤子さん)」

サマリ

【媒体】

【トークテーマ】

  • 幼少~学生時代の頃の我妻さん

  • ドイツ文化とパイプオルガンに包まれる

  • 知財の扉を開ける

  • IPRhinoとは?

  • 著作権の権利処理とは?

  • 著作権教育の魅力

概要

7人目のゲストは、株式会社IPRhino(アイピーライノ)代表取締役の我妻潤子さん。
前回のゲスト「高達俊之さん」からの紹介で、二流のプロフェッショナル初の女性ゲストだ。

我妻さんの専門領域は、一言で言えば「著作権処理」。
世の中には様々なコンテンツが溢れているが、我々に届くコンテンツには全て著作権処理がなされなければならない。

我妻さんは、コンテンツの流通におけるゲートキーパと言えるだろう。

今回は、我妻さんが著作権処理の実態に加えて、我妻さんがこだわる著作権教育についても迫っていく。

トークテーマ

幼少~学生時代の頃の我妻さん

幼少の頃は、ピアノや習字に加えて剣道を習っていたそうだ。

御本人は「普通の習い事」と称するが、「剣道」は普通じゃないw
剣道を始めた動機を聞いてみると、アニメ「六三四の剣」に登場する「轟蘭子」になりたかったとか。

小学校のときの得意科目は国語。
これまでのゲスト(友利昴さんや高達俊之さん)にも同じ質問をしたが、「国語」と返ってきた。
国語が得意な方は著作権に吸い寄せられていくのだろうか(ちなみに、僕は国語は大の苦手科目で、センター試験の捨て科目だったw)。

読書が好き。
活字がないとイライラする。

こういった言葉を聞くと、今のポジションは、なるべくしてなっていると感じる。

ドイツ文化とパイプオルガンに包まれる

我妻さんは、小学生~高校生のときにブラスバンドも経験している。

担当楽器はチューバ。
特に、中学校は、ブラスバンドの強豪校だったそうで、どっぷりと音の世界に浸っていたそうだ。

大学でも音楽に繋がっていたいという気持ちを持ち続け、そこからドイツ文化とパイプオルガンの世界にはまっていく。

我妻さんは、ドイツの教会(バッハがいた教会)を訪れ、パイプオルガンの音に触れたときの感覚を独特の表現で言語化してくれた。

「音のとぐろに巻かれた」

音が体の周りにまとわりつく感覚。
音の竜巻が上がっていくような感覚。

知財の扉を開ける

初めて入った会社は外国語教室の運営をやっている会社だった。
その後、転職して2社目の会社で知財に出会うことになるのだが、我妻さんは「知財がやりたかったわけではなく、たまたま入った会社が著作権系の会社だった」と語る。

権利処理の仕事は主に交渉だ。
交渉であれば、法律を知らなくてもある程度はできる。
最初の3年は頼まれた仕事を断らずに受けていた感覚だったそうで、逆に、「知財の仕事という感覚」はなかったそうだ。

僕は、この感覚に強く共感する。
現職で契約交渉に関わることも多いが、「知財」や「法律」が表に出ないように当事者(同僚と相手方)のコミュニケーションをコントロールするつもりでやっている。
ゴールは契約締結ではなく、双方のシェイクハンド(納得感のあるプランの設計)だからだ。

その後、「ちゃんと勉強したい」との想いから、知財、そして著作権の深層に入っていった。 

IPRhinoとは?

2017年にIPRhinoを立ち上げる。

2社目の会社では、教育業界と放送業界の著作権処理に関わっていたが、放送業界については「別の会社で受けよう」という話になったそうだ。

そして、自ら起業することで、元々関心のあった教育業界と、ご縁が深い放送業界の二兎を追う道に進む。

著作権の権利処理とは?

著作権の権利処理には2種類ある。
権利者側の権利処理と、利用者側の権利処理だ。

我妻さんは、利用者側の権利処理に身を置いている。

利用者側の権利で取り扱うものは多岐にわたる。
我妻さんの守備範囲は、寺社仏閣や美術館のコンテンツにまで及ぶ。

権利処理の具体的な仕事内容は、交渉とコンテンツチェックに分かれる。

交渉では、コンテンツ所有者に連絡をして、そのコンテンツを放送で適切に使えるように交渉を進める。

コンテンツチェックでは、コンテンツの中に権利上不適切なものが含まれていないことを確認する。

何れも表に出ない仕事ではあるが、僕らが普段テレビで見ている何気ない映像は、我妻さんの活躍に支えられているわけだ。

そこでふとこんなことを尋ねてみた。

「教育業界人と放送業界人の違いは何か?」

教育業界人は、映像を生業としていない。
そのような人が映像を制作するわけだ。
よくある問い合わせが「映像を作ったので、権利処理をお願いします。」というもの。
つまり、権利処理が考慮されずに映像が生まれる。
教育業界人相手の権利処理は、映像制作にまで及ぶとも言える。

放送業界人は、映像を生業としている。
そのため、権利処理が考慮されながら映像が生まれる。
この場合の権利処理は交渉に重点が置かれる。

一言で「権利処理」と言っても、業界毎にそのプレイスタイルは全く変わる。
我妻さんはその両方を見ているわけで、まさに、「権利処理界の二刀流」と言ってよいだろう。

知的好奇心が満たされる

権利処理、とりわけ複数の業界の権利処理に携わると、必然的に「見たことがないコンテンツ」を見ることになる。

知的好奇心が満たされる。

権利処理の特性について、我妻さんが選んだ言葉に思わず唸ってしまった。

普段、自分の趣味の範囲の外にあるものを渡されれば、最低限の調査・勉強を行うことになる。
そこにかける時間を「知的好奇心を満たす時間」として捉える。

これは、特許実務と全く同じだ。

むすび

そういえば、最近の僕は、知財を「アップデートの繰り返し」(常に、新しいものに触れる仕事)と定義しようとしていて、自信のキャリアを常に新規性があるものにしたいと思っている。

権利処理というより、知的財産の本質は知的好奇心を満たすことにあるのかもしれない。

本ブログでいずれ「知財とは何か」というテーマの記事を出したいと思っているが、我妻さんの言葉にヒントをもらった気がする。

そんな我妻さんのこれからはどうなるのだろう?

我妻さんは自信を「飽きっぽい」と評した上で、「著作権は生き物」とも語る。
新しい判例が出れば、その時点でルールチェンジが起きるのが著作権の世界の宿命だが、そのような世界は、我妻さんにとって目の離せない世界。

著作権という生物は、飽きっぽい我妻さんを飽きさせないらしい。

幼少期から好奇心に純粋に無意識な蓄積を重ねてきた我妻さん。
最後に「意識して著作権の世界に身を置き続けたい」という言葉で締めてくれた。

次回予告

著作権愛が溢れる我妻さんの人柄を間見ることができた前編。
それに続く後編では、「著作権が悪者になっている」という課題に迫っていく。

  • 著作権が悪者になっている?

  • 著作権教育のワークショップ

  • 著作権教育で伝えること

  • 著作権の活用戦略

  • 特許権と著作権の違い

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