木本大介の二流のプロフェッショナル「コウダテ株式会社代表取締役 高達俊之さん」
サマリ
【媒体】
【トークテーマ】
アニメが好きな子供時代
大学時代、アニメの世界に舞い戻る
掲示板経由で就職~アニメの世界へ
アニメ企画は深い
アニメと知財の動きがわかった時
コウダテ株式会社の将来像
概要
6人目のゲストは、株式会社コウダテ代表取締役の高達俊之さん。
アニメや映像に関するコンテンツの企画、制作及びコンサルティングに携わっておられるレアな知財人材だ。
今回も、前々回のゲスト「浅野卓さん」からの紹介である。
高達さんは、まさにアニメx知財の申し子。
製作委員会制度が始まり、インターネット配信という配信チャネルを手にしたアニメの世界には、良質なコンテンツが溢れている。
僕も昔はアニメっ子だったし、スタートアップ企業の中で知り合った若手からいろいろと教えてもらい、今では最新作から昔の名作まで、たくさんの作品を観ている。
のっけから親近感を感じざるを得ない高達さんとのトークは、まるでアニメのような本当のお話。
トークテーマ
アニメが好きな子供時代
アニメーション業界におられる方は、子供の頃からさぞアニメっ子のはずだ。
そんな先入観から高達さんの幼少期を探っていった。
高達さんの小学生時代に流行ったアニメは「機動戦士ガンダム」。
いわゆる「ファーストガンダム」である。
ファーストガンダムには、映画版「劇場版ガンダム」(三部作)がある。
当時、映画館でこの作品が一日中上映されていて、チケット1枚で映画館に居続けることができたそうだ。
予想どおりのアニメっ子だったw
そんな高達さんの推しモビルスーツは「ザク」。
ザクの造形に惹かれたとの事だが、確かにザクの造形は細部に行き渡るまでかっこいい。
僕との共通点が多くて、ガンダムの話でイントロの時間をだいぶ消費してしまった。
大学時代、アニメの世界に舞い戻る
高達さんは、高校時代に一度離れたものの、大学生になってアニメの世界に戻ることになる。
そのきっかけが、OVAだ。
この頃は、バイト代をレンタルビデオや関連書籍に注ぐ絵に描いたアニメオタクに仕上がっていたのだろう。
掲示板経由で就職~アニメの世界へ
高達さんはアニメだけでなく、文章の作成にも関心を持たれていたとか。
最初に就職した会社はアニメとは無関係で、Macを使った編集(いわゆるDPT)に携わっておられた。
「編集」の世界を味わった後、インターネット掲示板に書き込まれたとある採用記事が高達さんとアニメを繋ぐことになる。
その採用記事は、今はセガサミーグループのアニメ会社となっている「トムス・エンタテインメント社(以下「トムス社」)」の募集記事だった。
高達さんは、当時一般的ではなかったインターネット採用枠を使って、トムスへの転職を決める。
高達さんがアニメビジネスの扉を開けた瞬間だ。
アニメ企画は深い
トムス社では、制作、企画、営業と一通りの経験を積まれる。
最初の配属は制作部。
文芸作業を担当されていたそうだ。
文芸作業とは、アニメの作画前のシナリオ作業のこと。
そこで、シナリオ作業のクリエイターを集めて、少人数の体制で作品作りに関わっていた。
制作部から営業部に異動して、インターネットビジネスを担当する。
ここで、アニメビジネスの世界におけるお金の流れ、契約、そして知財を学んだそうだ。
次に、企画部に異動する。
ところで、アニメの企画とはいったいどんな仕事なんだろう?
アニメに企画には次の2種類がある。
原作企画
オリジナル企画
原作企画とは、原作のある作品場合の企画。
原作企画では、アニメ化に向けて、面白い原作を出版社から許諾してもらうことが主要業務になる。
一方、オリジナル企画は、原作がなく、クリエイターからの持ち込み経由でアニメ化を進める企画。
オリジナル企画では、生煮えのキャラクタやストーリーをクリエイターと一緒に作り込むことが主要業務になる。
僕には、オリジナル企画の仕事は、まるでエンジェル投資家のそれと同じものだと感じた。
コウダテ株式会社の将来像
東京オリンピックの開催に向けて社会が盛り上がっていた2017年。
スタートアップx知財の民主化が始まった頃(僕がピクシーダストテクノロジーズ社に関わり始めた頃)でもある。
アニメ会社の中で一通りの経験を積んだ高達さんは、独立を決意してコウダテ株式会社を設立する。
そんな高達さんに抽象的な質問を投げてみた。
「知財とは何ですか?」
「知財がなくてもアニメを見てもらえればお金が入るじゃないですか?」
すると高達さんからはこんな回答が返ってきた。
「アニメを持てもらうだけではお金は入ってこない。」
「どういう根拠でお金が取れるかを規定するのが知財である。」
つまり、知財はマネタイズの源泉だというのだ。
お金の流れと知財を学んだ高達さんらしい回答だ。
続けて高達さんは今の自分の仕事を評して「クリエイターと企業をつなげる仕事」と語ってくれた。
中には、アニメ製作の経験がない会社からの問い合わせも受けることがあるとか。
そのようなケースでは、予算感が1桁から2桁ずれることも。
そう言われてみると、アニメの裏側の世界は全くもって未知数の世界だ。
良質なアイデアも必要だし、お金も必要だ。
まさに知財が力を発揮する領域なのだろう。
最後に高達さんにビジョンを聞いてみた。
「アニメではない新しい表現方法を使った作品をエンタメの世界に投入したい。」
「アニメに関わる人が増え、エンタメの世界に良質なコンテンツが増えると良い。」
高達さんは、このビジョンの実現に向けた取組の1つとして、脚本のオンラインサロン(後編で詳細に紹介予定)も運営されている。
むすび
幼少期にアニメっ子だった僕も、40を超えてからとあるきっかけでアニメの世界に戻った人間である。
アニメには物語がある。
作品のジャンルやトーンによって好き嫌いは分かれるだろうが、自分のお気に入りの作品に出逢えば、そこから学べる新しい価値観が必ずある。
高達さんの話を一度聞けば、アニメの味わいが一段も二段も深まることは間違いない。
ちなみに、僕のイチオシアニメは「昭和元禄落語心中」。
多くのアニメ作品に触れてきたが、この作品を超えるものには未だ出会っていない。
次回予告
終始アニメの世界に浸った前編に続く後編のテーマも、やっぱりアニメ。
謎多きアニメ業界の裏側を探っていく。
高達さんが運営するオンラインサロン「シナリオランド」
AIが変えるアニメ製作
「製作委員会」という仕組み
アニメの世界から見た知財
アニメの未来(Next Netflix)
後編も期待を裏切らない作品になっている。
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