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小さな材木屋の採用戦略

どうも、大信製材の出口です。えらく久しぶりの投稿です。投稿の仕方を忘れるくらい久しぶり。それほど久しぶりに投稿したくなったのは、当社に赴任して(もう一年半前になる)からずっと懸案だったことが一段落したから。2021年4月に入社してくれる仲間が一名決まったのです。
私以外は全員60代後半の当社は、私が来るまで若手を雇うつもりは毛頭なく、自分たちが働けなくなったら会社をたたもうと思っていたそう。しかし私は今後何十年も会社を続けていくつもり(←当たり前か)なので、技術の伝承は必須課題。職人が元気なうちに若返りをはかりたいと思っていました。しかし新規採用なんて考えたこともない当社。何から手を付けるべきか悩むほどやるべきことが山積していました。そんな材木屋(正確には加工屋ですが…)が採用にこぎつけるまでの道のりをみなさんにシェアします。


まず最初に

片づけをしました。なんだそれ、と思われたでしょうが私にとっては結構大事だったのです。当社に初めて足を踏み入れたときは、工場は木くずだらけ、どこに何があるかは現場の職人にしかわからない状態でした。私自身がこんなところで仕事をしたくないと思いました。自分も嫌な職場に、胸を張って「当社においで」と言えますか?時間をみつけては掃除し、備品をしまう箱を買い、棚にラベルを張る。使いやすい配置を考えるなど整理整頓を進めました。例えば、今ではこんな感じです。

図1

嫌な感じは軽減されつつあります。


次に

大信製材という会社をとにかく外の風に当てようと思いました。これまで「大信製材」で検索すると最初にヒットするページはこちらでした。知ってもらうつもりがあるのかないのか……。既存の取引先からは厚い信頼をいただく会社ではありましたが、それ以外の人は「名前は知っているけどどんな会社か詳しく知らない」といった感じでした。広く情報発信する必要があると思いました。
まずはお手軽なfacebookページの立ち上げから。ある友人から「色々投稿してるけど、読み手にどんなアクションを起こしてほしいかよくわからん」と言われたりもしました。ご指摘の通りだよ!でも特にアクションはいらんのです!とにかく知ってほしいだけなのです!と心の中で叫びながら根気よく投稿を続けました。内容にもよりますが、うまく発信すれば今では2,000人くらいにリーチできるようになりました。初期の投稿を振り返ると100~200人程度のリーチなので、今ではそれなりに見られるようになってます。
FBページ立ち上げの一年後、自社サイトの制作にも乗り出しました。私はグーペを使いましたが、他にも簡単に作成・運用できるツールがたくさんあるので、ホームページの立ち上げを考えている方は比較検討してみてください。

図3

こちらが当社ホームページ!


タイミングよく携帯を壊し最新のグーグルピクセルに買い替えたという理由だけで、嫁にカメラマンをお願いしました。
ホームページ立ち上げで意識したのは、多くの方の意見を取り入れること。ハリボテのページをいったん立ち上げ、SNSを通じて気心の知れた人に「どんなページだったらいいと思う?」と聞きまくったのです。「写真がないとイメージがわかない」「採用を意識してんなら理念を作って載せたら?」「サイトの階層がわかりにくい。もっとシンプルに!」など、よいアドバイスをたくさんもらいました。40過ぎのおじさんにとってホームページは専門家に頼むものという認識でしたが、今や素人でもこれくらいは作れるもんです。しかも1,000円/月で。驚き!!


採用条件をどうするか

給与はどれくらいが適正か、正直に言ってよくわからなかったので「木材加工」「求人」「住之江」で検索してみました。するとお知り合いのあの会社も求人されているではありませんか!〇〇さんの会社でも××円なのね、というのが見えた時点で、「人を大切にしたいなら、ウチは△△円くらいでしょう」「今の経営状況を考えたら□□円くらいじゃない?」なんて会話ができるようになり、求人票も順調に埋まっていきました。
ハローワークの担当者が親身に相談に乗ってくれたのもありがたかったです。2度ほど足を運んで求人票を作りました。当社はハローワーク阿倍野の管轄エリアにあるのですが、二度目の訪問時に、由緒正しげな学校が近所にあるのを発見しました。スマホで調べると大阪市立工芸高校。建築やインテリアデザインの学科もあるようです。高卒も対象にしていたので、ハローワークで完成したばかりの求人票をアポなしで持ち込んでみました。受付けてはくれませんでしたが、高校に求人票を届けるための手続きを丁寧に教えてくれて(どんな会社が学生に選ばれるかも教えてくれた!)、後日はれて掲載することができました。

図2

大阪市立工芸高校

職業訓練校に求人を出したのもよかったです。結局採用には至りませんでしたが、生徒さんや先生と意見交換する中で、本気で木の仕事をしたい人たちが当社をどう見るかについて知ることができました。自身を客観視するのってやっぱり難しいのでとても参考になりました。


ついに採用面接

努力が報われたのか、コロナ禍の影響か(←たぶんこれ)、一名採用するには十分すぎる問い合わせをいただきました。面接でわかることなど知れていますが、インターンを受け入れるだけの余裕のない当社はそれで絞り込む他ありません。「やる気(10点)」「木材加工の熟練可能性(10点)」「当社理念との親和性(10点)」「性格・人となり(10点)」「その他(10点)」の計50点で評価することに。客観的な軸があると、面接の時に質問を考えやすいし面接官同士で意見を交わすのにも便利です(とえらそうにいっても、面接官って社長と私の二人だけですが……)。当社なりの厳正な審査の末、一名の採用を決定しました。


振り返り思うこと

お金がなかったというのが本音ではありますが、求人サイトは使わなくて正解でした。時間と労力は必要でしたが、おかげでリアルな情報をダイレクトに入手することができました。また求人サイトを使うと確かにたくさん応募があるのですが、その分不採用も大量に出ます。求職者も色んな企業を知ってから決めたいはずだから、お互いこのシステムがいいんだという人もいますが、私はあまり賛成できません。一人の人間が一度に数百人とコミュニケーションしようとすると、どうしても効率を考えなくては回らなくなります。この「効率」という概念そのものが、人と人との関わり合いには不向きなものと思うのです。今回は、ご応募いただいた方全員と自分が納得できるレベルでちゃんと心を通わすことができました。


図1

4月から正社員として来てくれることになった松岡君。当社の技術をしっかり受け継いでくれること間違いなし!期待してます。お近くの方は会いにきてやってくださ~い。

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