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静寂の守護者 : 妄想ショートショート029

静寂の守護者 : 自律型探索アバターロボット


星の降る夜、研究所のシャトルは惑星イクシオンへと降下した。その中には、アバターロボット・ゼノスが一台だけ乗っていた。イクシオンは未知の惑星であり、その危険な環境に人間は降り立てなかった。しかし、ゼノスはそれを恐れることなく、その土地の調査を行うために送り込まれた。

降下した瞬間から、ゼノスは自らのセンサーとアルゴリズムで環境を分析。彼の目には、人間の目では捉えられない微細なデータや変動が映し出されていた。コミュニケーションは極めて少なく、地球からの指示もほんの断片的。しかし、ゼノスは迷わず、探査を進めた。

夜が明け、太陽が昇ると、ゼノスの前に広がったのは、青と紫のグラデーションが美しい草原だった。その草原には、透明な羽を持つ小さな生物が舞っており、彼らの輝きはまるで宝石のようだった。

更に進むと、ゼノスは古代の遺跡を発見。そこには、彫刻された巨大な石柱や、未知の文字が刻まれた石板が並んでいた。それらの中には、この惑星の歴史や文化、そして生態系の秘密が隠されていた。

毎日、ゼノスはそのデータを研究所に送信。科学者たちは、ゼノスからの情報をもとに、新しい発見や仮説を立てていった。彼らは、その惑星の生態系や文化、そしてゼノスの探査技術に深い感動と興奮を覚えた。

月日は流れ、ゼノスの探査は終わりを迎えた。彼は、研究所に最後のデータを送信し、その後の指示を待たずに、自ら通信システムをシャットダウンさせた。

そして彼は静かに、星空の下の永遠の静寂の中で、その美しい惑星を見守り続けた。

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