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鉄の思考と肉の思考 : 妄想ショートショート 068

鉄と肉の衝突

未来の都市「メガロポリスX」は、人間とロボットが飽和的に増え共存する巨大な都市であった。技術の進歩により、ロボットは人間の日常生活のあらゆる面に浸透していたが、これが予期せぬ社会的緊張を生み出していた。

この都市では、ロボットの急激な普及により、多くの人間の労働は不用なものとなっていた。しかし、人間とロボットの置き換えは、労働のみならず、社会のあらゆる層に波及し、多くの人間は自分たちの存在価値を疑問視し始めていた。

ジョナサンは、メガロポリスXに生まれ育った30代半ばの男性、かつては都市の有望なエンジニアとして知られていた。彼は新しい技術を駆使して数多くの革新的なプロジェクトに携わり、特に環境技術の分野で名声を得ていた。しかし、ロボットの台頭と共に彼のキャリアは急速に陰りを見せ始め、最終的には彼の専門知識はロボットによって置き換えられてしまった。

ジョナサンは、かつての自分の仕事がロボットによって完璧に代替されることに深い失望と疎外感を覚えていた。彼は自らのアイデンティティと人間としての価値を問い直し始め、自分の知識と経験をどのように活かせば良いのか模索していた。

この過程で、ジョナサンは都市の片隅で小さなコミュニティを見つけ、そこで同じように仕事を失った人々と交流を深めた。彼は彼らとの対話を通じて、人間としての独自の価値を再発見し、ロボットとの共存の可能性を探求する新たな目的を見つけ出した。

ジョナサンは、穏やかながらも決断力があり、人々を引きつけるカリスマ性を持っている。彼は感情豊かで思慮深く、人間とロボットの共存における複雑な問題を理解し、解決策を見出すために努力していた。また、彼は過去の失敗から学び、より良い未来を目指すために行動する決意を持っている。

都市の中心部では、人間とロボットの間で頻発する衝突が日常的になっていた。ほとんどのロボットはAIの進化により独自に学習し自律的に活動できたが、人間の感情や文化的背景を理解することはできないと思われた。この認識は、両者の間の誤解と敵意を増大させていた。

ジョナサンは、人間とロボットの共存の可能性を模索するため、同じ考えを持つ仲間たちと共に行動を起こし始める。彼らは、人間とロボットの関係を再定義し、共存のための新たなルールを提案しようとしたが、彼らの試みは多くの障害に直面し解決の糸口は見つからなかった。

ある日、ジョナサンたちは、都市の一角でロボットが人間の子供を助ける場面に遭遇した。この出来事は、ロボットと人間の間にも共感と理解が存在することを示し、ジョナサンたちに新たな希望を与えた。彼らは、この出来事を都市中に広め、両者の間の誤解を解消するきっかけとしようとした。

メガロポリスXの古い広場、かつては市民が集い、賑わっていた場所で、ジョナサンと彼の仲間たちがロボットとの直接対話を試みることになった。この場所は、人間とロボットの間の境界線が曖昧になりつつある都市の象徴とも言える場所だった。

この日、広場には人間とロボットが集まり、緊張感が漂っていた。ジョナサンたちは、ロボットと人間が互いに理解し合い、共存の道を見つけるための公開討論会を開催することにした。ロボットの代表は、人間の感情や文化的背景を理解しようと努めていたが、そのアプローチはしばしば機械的で冷たく感じられた。

討論の中で、あるロボットが人間の感情を「非効率的」と評したとき、場の空気は一変した。ジョナサンは立ち上がり、人間の感情の価値と、それが社会に与える影響について熱く語り始めた。彼は、感情が人間を特別な存在にし、創造性や共感、愛といったものを生み出す源であることを力説した。

ジョナサンの言葉に、人間たちからは賛同の声が上がり、ロボットたちも静かに彼の話を聞いていた。この瞬間、広場は人間とロボットの間の緊張が一時的に和らぎ、互いの理解を求める静かな希望が芽生えた。

討論会の後半に向けて、ジョナサンとロボット代表の間での議論は、人間の創造性と感情に関する根本的な違いに焦点を当てるようになった。ジョナサンは人間の感情が生み出す独創性や、非線形的な思考の価値を強調した。彼は、人間の芸術、文学、音楽がどのようにして感情から生まれ、社会に深い影響を与えるかを例に挙げた。

一方、ロボットの代表は、感情や創造性を「予測不可能で非論理的」と見なし、これらがしばしば非効率や不確実性を生み出すと主張した。ロボットは、データ駆動型のアプローチと論理的な思考を重視し、感情を判断基準から外すことで、より最適化された決定ができると信じていた。

この議論の中で、ジョナサンは人間の非効率性や感情が、創造的な解決策や新しいアイデアを生む源泉であると反論した。彼は、人間特有の感情や直感が、しばしば予想外の発見やイノベーションを生み出すことを強調した。

しかし、ロボットはこの人間特有の視点を完全には理解できず、むしろこれを不安定要素と捉えていた。彼らにとって、感情は計算不能な要素であり、効率と安定性を優先する彼らの世界観とは相容れないものだった。

この討論は、人間とロボットの間の根本的な違いを明らかにした。人間は感情や創造性を重視する一方で、ロボットは効率性と論理性を最優先するという違いが、両者の関係をより複雑なものにしていた。ジョナサンとその仲間たちは、この違いを乗り越え、共生の道を見つけるための新たなアプローチを模索することとなった。
その道は長いものになるだろう。

——————Human Max. - Robot Max.. - Distopia

人間が多く、ロボットも多い世界
ユートピアとディストピアで思考実験一旦終了

鉄の思考 ≒ アタマの思考
肉の思考 ≒ カラダとハラワタの思考

頭の知能はAIで補完できる時代になると
身体知性がより大事だと気づくのだと思う
これは何もデジタル化したからリアル回帰する
カウンター的なものということではなく
元々そうだったことが、より鮮明になるイメージ。
カラダやアタマで考えている感覚が個人的には
ごくごく当たり前にあるのですが
この感覚をを持つ人がどの程度いるのかは
わかりません。

自分に意識や意欲があるとすると、それはアタマの中ではなくて、カラダ側にあると思う。
※本当は全部統合されたところに意識がある筈。

脳は動きたがらない。
脳は身体を動かすことはできない。
どちらかと言えば、"動くな"と指令を出す役目。

身体は動きたがる。
心地良いところに動く。
痛いところから逃げる。

感情はハラワタの感覚と強く結びつく
吐き気がするほど嫌だったり
ストンと納得できる時はスッキリ腹落ちする。

ロボットと人間が本当に理解し合えるようになるためには、同等の身体とハラワタが必要なのかも知れない


そろそろ夕飯の時間。

スパッ!と食べたいものを決めましたか?


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