見出し画像

静かな楽園 : 妄想ショートショート024

静かな楽園

西暦2078年、地球上の都市は静寂と平和に包まれていた。人々は遠隔で仕事をし、仮想リアリティでレジャーや文化的な暮らしを楽しんでいた。この静かで平和な世界での生活は、外出せずとも友人との交流や日常の散歩が可能であった。地球上の全ての人々が幸福で満足していた。

かつて人類は地球温暖化の予測を大きく見誤った。その教訓を胸に、新たな道を探求した。哲学者であり科学者のドクター・フェニックスは、人々の活動を家に移し、文化の維持・進化とテクノロジーの積極的な応用を基本としたPHACを提唱。2035年に始まり、2040年代に続いた厳しい氷河期を乗り切るためにこの考え方が実行された。

PHACの導入以降、人々の生活は「ネオハビタット」内で完結するようになった。ネオハビタットは、人々が自宅で仕事、学習、エンターテイメントを楽しむための新しい家の概念であり、環境の保護と資源の効率的な利用が可能となっていた。

リナはネオハビタットで生まれ育ち、この静かで平和な世界を愛していた。仮想空間で友人たちと音楽を作り、コンサートを開き、美しい仮想の庭を散歩し、毎日新しい発見を楽しんでいた。この仮想の世界が「現実」であり、外の世界との境界がほぼ消えていた。

リナは仮想空間での生活が豊かであり、人類の文化と交流が継続的に進化していることを実感していた。彼女は、PHACの理念、すなわち人類の精神の維持と文化の進化を深く支持していた。

しかしある日、リナは仮想の世界の外にあるかもしれない未知の可能性について考えた。この完璧にコントロールされた世界の外に、まだ探求すべき未知の領域が存在するのかもしれないとの疑問を抱いた。しかし、その思いはすぐに消え、リナは再び”現実”の世界に戻り、新しい日々を迎える準備をしていた。

*********************************************************

未来のシナリオを、"移動"を切り口に
4つのショートショートにしました

①移動しない未来のディストピア
②移動する未来のディストピア
③移動しない未来のユートピア
④移動する未来のユートピア

このお話しは、3つ目
③移動しない未来のユートピア
です。

今の我々には、人々が全く移動せず
快適な場所であるネオハビタット(新しい概念の家)で幸せに暮らしていけることを想像するのは難しいです。
実際ボクはコロナ禍で、外に出れない、人に会えないというストレスに耐えられなかった。。
一方でコロナによってオンラインの活動も加速しました。出社しない働き方など、行動や価値観が変わってしまったところもあるように、もしも氷河期のような状況になり、ほとんど家から出られない極限の環境になったら?
人類はどのようにその困難を乗り切るのだろうか?
乗り越えるためには、何が変わるのだろうか?
そんな妄想からお話しをつくりました。

CO2削減が人類の共通課題(賛同しない国もありますが)になりましたが、もし熱源の太陽に何かしらの変化があったら、地球の温度なんてどうなるのか?
部屋の温度を変えるために、空気の成分を変えてみたりしないしなぁ…
CO2は毒じゃないし。植物にとっては必要なものだし。
大体人間が考える未来予測は、間違える。と
思っていた方が良いですからね。
柔軟な態度で、何があっても驚かないように。
日ごろから妄想力は鍛えておこうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?