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黒い穴通勤 : 妄想ショートショート036

黒い穴(ブラックホール)通勤


遠い遠い、まだ誰も知らない未来のお話しです。
宇宙のあちこちに点在する星々の間を移動することは、この時代の当たり前でした。そして、ある小さな星の都市、グラクトポリスに住むジロウも星間通勤をしていました。

ジロウは、毎朝の通勤の混雑に悩まされていました。ある日、彼は重要なプレゼンテーションを担当することになり、その資料を持って出勤するはずでした。しかし、家を出る際に資料を忘れてしまい、気づいた時にはすでに通勤の途中でした。

彼は急いで家に戻ろうとしましたが、混雑した宇宙トランジットの中ではなかなかスムーズに動けず、時間が経つのを感じることができました。プレゼンテーションの時間まで、あとわずかしか残っていない…。彼は焦りを感じながら、必死に考えました。

そこで彼は、通勤に使用することをためらっていた「ブラックホール通勤」を思い出します。これは、ブラックホールの特性を利用して瞬時に移動できると言われていましたが、その使用にはリスクもあると噂されていました。しかし、ジロウにとって、今はリスクを冒すしか方法がないように思えました。

彼は急いでブラックホール通勤ステーションに向かい、迷うことなくブラックホールに飛び込みました。数秒のうちに彼は自宅に到着し、資料を取得。再び、彼はブラックホールに飛び込み、瞬時に職場へと到着しました。

しかし、彼が到着した職場は、少し違って見えました。彼のデスクには、10年前のカレンダーが置かれていました。なんと彼は10年前の職場に到着してしまったことに気づきました。

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