リヨンのミニチュアと映画博物館

Musée Miniature et Cinéma

「ミニチュア模型王」の
本物以上に本物らしい作品

 リヨン旧市街Vieux Lyonを南北に縦断する石畳のメインストリート、サン=ジャン通りrue Saint-Jean。起点となるサン=ジャン教会から歩き出してすぐ、左手にひときわ目立つトスカーナ式の回廊を持つ美しいルネサンス建築が目にとまります。

 それが、14世紀前半から16世紀にかけて建てられたLa Maison des Avocats(弁護士の館)。その名が示すとおり、法律家が集まっていた建物です。ところが、19世紀から徐々に始まった旧市街の荒廃に伴い、20世紀半ばにはこの建物をすべて取り壊す計画もありました。その後、弁護士会が買い取り、建物を全面的に修復。今では旧市街サン=ジャン地区のシンボルとなっています(中庭にはリヨンの象徴のライオンもいます)。

 この建物に、2005年に開館したのが、フランスが誇る「ミニチュア模型王」、ダン・オールマンさんが館長を務める「ミニチュアと映画博物館」。地上4階、地下1階、2000メートルの展示スペースに、オールマンさんや仲間のミニチュア職人がこれまで20年以上にわたって制作した100以上の本物以上に本物らしい精巧なミニチュア模型が展示されています。中には、一般には本物自体を見ることが困難なリヨンの地下貯水池、昔の監獄、オペラ座のバレエスタジオ、MOF(フランス国家最優秀職人賞)の絹織物職人のアトリエもあります。運がよければ、3階(日本でいう4階)のアトリエで実際の制作風景も見ることができますよ。

 ミニチュア博物館と併設されているのが、映画博物館。オールマンさんが制作した映画用のミニチュアのセットのほか、ハリウッドの同業者から貸与された本物と同じ質感の特殊造形物などが300点以上展示されています。

 触ったら壊れてしまいそうな小さく精巧なミニチュア模型に囲まれて、映画の中のようにリヨンの街の魅力に触れてみませんか?

information

Musée Miniature et Cinéma
60 rue Saint-Jean 69005 Lyon
Métro D : Vieux-Lyon
http://www.museeminiatureetcinema.fr/accueil.html

Mémo

トレッサ横浜(横浜市港北区)北棟の、貴族の紋章やライオンのレリーフは、オールマンさんの作品ですよ。



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