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仮想世界の始まり 第4話 イーサリアムとの出会い(通貨編)

通貨(貨幣)は、
まず、通貨の3つの役割を理解する必要がある。
我々は、日々お金に触れている。稼ぐ・節約・貯蓄・投資など様々なことを考える。しかし、通貨の3つの役割を即答できる人は少ないのではないだろうか。筆者は大学時代、政治経済学部だったため、貨幣について学んだ。その時、生活に切り離せないお金のことを実はよく知らないことに気付いた。

貨幣の役割①:価値のものさし(価値の尺度)
価値のものさし
とは、モノの価値を測れるということだ。価値を測る際に適しているのは数字である。価値のものさしを実感するため、貨幣が牛肉の世界で生活をしてみよう!

貨幣が牛肉の世界で休日を過ごす:午前
休日の朝、小鳥のさえずりで私は目覚めた。澄んだ空気と涼しい風、温かな太陽を浴びながら、お気に入りのカフェでコーヒーを1杯飲む。最高の1日の始まりだ!

気分が良かったので、レジの店員にチップ込みで大きめの牛肉の塊を渡した。『また来ます!』そう言いかけたところで、店員が『これでは足りません』と言ってきた。私は、いつもより大きい牛肉の塊を渡した。それにも関わらず、店員はあと一切れ足りないと言い張って聞かない。揉めにもめて、私はもう一切れの牛肉を渡すことにした。せっかくの最高の1日のスタートが台無しである。

このように、抽象的なモノ(≒大きい、小さい)は、貨幣として不適切である。人によって尺度が変わるからだ。そのため、先ほど述べたように数値で表現するほうが、透明性・利便性に適している。
それでは、貨幣が牛肉の世界の続きを見ていこう!

貨幣が牛肉の世界で休日を過ごす:午後
午後は、彼女とデートである。気分を入れ替えて楽しいデートを過ごそう!待ち合わせの場所に少し早く、私は到着した。トレンドの服を新調し、準備ばっちりである。彼女が現れた!ここはスマートにエスコートをする。すると、彼女が私に言った。
彼女:『服汚れてるよ。』
私:『これ買ったばかりなんだけど。。』
彼女:『ポケットの辺りが赤いよ。』
私:『血だ。血が垂れている』

確認すると財布から、牛肉の血が滴っていた。
牛肉はしっかり財布に入っていた。しかし、時間が経ち過ぎていたのだ。
私は服を着替え、彼女とレストランに向かった。

レストランの料理は最高だった。彼女も喜んでくれた。
朝の失敗をしないようにお会計では、誰が見ても納得のいく牛肉の塊を渡した。

『それじゃあ、行こうか!』と言いかけた瞬間、店員が『この牛肉は使えません。』と言ってきた。
私は、『この大きさでだめとはどういうことか?』と怒気を強めた。
店員は、『大変恐れ入りますが・・・、この牛肉は腐っております。』と答えた。

確かに、私が渡した牛肉は黒くなっていて、少し臭かった。血が滴っていたし、早く使わなくてはと思っていた。しかし、私としては、この牛肉は腐った内に入らない。まして、今持っている牛肉の鮮度は同じだ。量的には問題ないが、質的にダメとなると、彼女に借りるしかない。私は恥ずかしい思いをしてレストランを出た。

貨幣の役割②:価値貯蔵
このストーリーのように、貯蔵が困難であるものは向いていない。今回の問題は鮮度だ。これ以外にも、岩のような重量物で持ち運びが不可能なものも貨幣に適していない。現在、硬貨や紙幣が当たり前だが、物々交換の時代では、不便さがあった。肉の鮮度の違いのように、世界の歴史をみても、質の悪い硬貨と質の良い硬貨が入り交じりその通貨の価値が棄損されたケースもある。(=悪化は良貨を駆逐する)

現代の貨幣の質の違いによる価値を考察する:現金
現代でも貨幣の質の違いによる価値は存在する。私が経営する美容室もこの価値を考えて、サービスを提供している。

経営する美容室は高級層向けのサロン。お客様も40代以上の女性がメインターゲットである。
開店前のリハーサルでは、席から視線に入るものを総チェックし、20以上の改善を実施した。
会計時も現金の支払いのお客様が多いため、必ずピン札を用意している。逆に、会計時に必ずピン札でお支払いになるお客様もいる。
同じ9000円のおつりでもくしゃくしゃのお札全てがピン札では、相手に与える印象は全く違う。メインサービスが99%大切だが、このような1%の価値を付加することで、感動を与えられるケースもある。

この話には失敗談もある。
10円玉を全てピカピカにしたが、6時間で150枚程度しかできなかった。作業工程が複数あり、磨く原料も必要だったため、費用対効果が見合わず、こちらは断念した。

質の違いによる貨幣価値(≒顧客満足度)とコストのバランスを考えることがビジネスの実践においては大切である。

現代の貨幣の質の違いによる価値を考察する:電子マネー
Suicaなどの電子マネーはどうだろうか。
電子マネーには価値の貯蔵で現金より利点が2つある。
①カード1枚のため、硬貨よりも軽く、かさばらない
②改札を通過できる時間が切符を購入するより短縮できる

このように貨幣の役割を理解し、改善点を加えることで新たな貨幣が誕生するのだ。筆者もチャンスがあれば、改善点と実現可能性を考慮して新たな貨幣を生み出そうと思う。

余談であるが、「電子マネーは貨幣か?」という質問が聞こえてきそうなので回答する。

回答:
電子マネーを定義するのは困難であり、貨幣か否かの結論はついていない

これが現状の電子マネーの位置づけである。現時点では、電子マネーは貨幣に近いお金だと私は考える。貨幣は3つの役割を満たすことが条件であると定義すると3つ目の役割が不十分と考えるからだ。将来的に電子マネーは、3つ目の役割を満たすと考察している。その際は、電子マネーも貨幣として扱ってもよいのではないかと考える。

想定よりも長文のため、貨幣の役割③は次回に記述する。お楽しみに!

≫≫第5話 イーサリアムとの出会い(通貨編)へ続く

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