ファイアーエムブレム風花雪月の話

ファイアーエムブレム(以下FE)とまともに向き合わないまま2019年を迎えてしまい、今回の風花雪月も完全にスルーする予定だった。
じゃあ何故買ったのかというと、任天堂が売り出した一万円のカタログチケットがあったから。
細かい説明を省けば、一万円入金してくれれば好きなソフト二本選んで買えるよという代物である。
既にブレワイやマリオ、スマブラの類は持っていたので何を買うか悩んだ結果、値段の高いソフトを選ぼうとなり風花雪月を買ったに過ぎないのです。(ちなみにもう一本はアストラルチェイン)

正直、買ってからプレイが波に乗るまでかなりの時間を要しました。
誕生日に貰ったゼノブレイド2をやり、スマブラのDLCを攻略し、更には面白そうなインディーゲームが何本もあり、11月にはポケモンの発売。
ただ、このポケモンのおかげてSwitchを触る習慣がついていたので風花雪月もその勢いで雪崩込めた部分はあるかもしれない。

ポケモンが落ち着いてしまったので買ってあったゲームでもやろう、なんで至極失礼な理由で再び始まったFE風花雪月。
やってしまえばもちろん楽しい、碁盤の目に配置されたキャラを動かし、それぞれの特性に合った戦術で敵陣を倒して行く。

主人公はひょんなことから修道院内にある学校の教師として雇われる。
クラスは3つ、簡単に言うと「赤組」「青組」「黄組」。
もちろん、どのクラスを選ぶかによって話の展開は大きく変わってくる。
ニンテンドーダイレクトで散々PVが流れていたので、大筋の流れは知っていた。

選ばなかったクラスと戦争になる。

もう、この時点で辛くてやりたくないゲームなのは間違いなくて、多分食指が動かないよって人は大抵これが理由だろう。

物語は大雑把に分けて二部構成。
前半の学校パート、後半の戦争パート。

学校パートってことは学園もの?
なんか中世のゴリゴリ戦記者にしては設定が軟弱じゃない?なんて懸念が筋金入りのFEファンにはあったそうで。
ただゲームを進めていくうちにいかにこの学園パートが重要かがわかってくる。

全員のことが好きになっちゃう。

貴族だったり平民だったり移民だったり、それぞれの家庭環境が違う者同士が最初バラバラな個性をぶつけ合いながら、次第にお互いを理解しあって同じ方向を向いていく過程が見事に描かれている。

これ、1周目のプレイだと「よくできてるなー」なんて感心しながらプレイできるけど、問題は二周目以降。

恐らく二周目以降は違うクラスを選んで遊ぶ人が大半だと思う。

「あ、俺は違う時間軸でこいつらを殺したんだ」

ということに気付くのにそんなに時間はかからないはず。
もちろん、1周目の時点で同じ学舎の生徒を手にかける時点で相当つらいものはあるの、本当につらいの。

こっから割とネタバレちっくなことを含んできます。



今作のキーパーソンとも言えるのがアドラークラッセ(赤組)のエーデルガルト。
まあ身も蓋もないことを言ってしまえば彼女が今作においての台風の目になるわけで、
彼女は小紋章を持っていたが、もっと力を得る為に無理矢理二つ目の紋章を埋め込まれてしまう。その代償で激しい苦しみにより、髪色が白くなってしまう。そんな「紋章至上主義」の被害者であるが故に、そんな価値観を作ったフォドラという世界とセイロス教をぶち壊して1から作り直すという野望の元動いている。

僕の1周目は最後までエーデルガルトと添い遂げたので、言わば大殺戮ルートに入ってしまった。
他クラスの生徒をスカウトすることなく突入したので、本当に顔馴染みを殺しまくるという
「なんでこんなことしなきゃいけないんですか!?」
「戦争反対!!」
「もっと対話を!!」
てなことをずっと脳内で反芻していた。

ただ怖いのは、聞いただけではこんな酷い展開でも、ひとりひとりの話を聞いて内情を理解するとそれも仕方ないと思えるところだと思う。
実際このルートをやってる間は
「エーデルガルトたんマジ好きぴ」モードだった。

ルーヴェンクラッセ(青組)も結構つらかった…
また身も蓋もないことを言ってしまえば、このルートは本来手を取り合う者同士だったはずの義きょうだいによる大喧嘩である。
「ダスカーの悲劇」と呼ばれる凄惨な事件を目の当たりにしたことで、このルートの主人公であるディミトリはトラウマと心に大きな闇を抱えてしまう。

その結果、とある場面で彼の中にある復讐心が爆発し、しばらくは手もつけられなくなるが、誰かが何かすることによって鎮静化、弱きものも救われる新しい王国を作ろうって流れなんだけどひでぇ説明だなオイ。

このルートの生徒は全員が優しかった。
口調が厳しかったりする者もいたけど、基本的にみんなディミトリが大好き。
ただこのルートだと、風花雪月で出てくる謎な部分がほとんど回収されない。
それはこのルートの主軸がディミトリとエーデルガルトの関係性にあるからだと思う。

三つ目はヒルシュクラッセ(黄組)
このルートは正直、級長のクロードが主役でベレトはその付き添いってぐらい、とにかくクロードが暗躍しまくる。
ちなみにこのルートが一番、風花雪月という物語の説明になっているので、早く謎が知りたい人はこのルートからがオススメかもしれない。
あの、淡々と粛清を行って、あんたが全体の黒幕なんじゃないの?と不穏な空気を常に纏っていたレア様の弱った姿も見られる。

ただ、やっぱりすべてのルートをこなさないと全体像は見えてこないし、それを達成するには膨大なプレイ時間を要する。
ひとルートやるだけで100時間越すなんて人もザラだ。
ちなみに私はひとルートおよそ30時間かかった。


こっから個人的意見、且つ主観が大いに含まれます。


正義の反対は別の正義と誰かが言ったように、戦争においてどちらが「悪」と決め付けるのは難しい。
現に、2020年現在も戦争には大きく宗教が絡んでいるし。
世界観の設定が中世で剣と魔法で戦うのだから、武力で勝った方が正しいということになる。

この世界観なら仕方ない、けど、やっぱり人を手にかけるのはつらい。
このゲームをやっていて、心が動かされるのを感じた。
だからといって、他のゲームで敵側を殺せなくなるわけではない。
人はそれを偽善と呼ぶかもしれないけど、どうにかして一人でも殺さない方法はないか真剣に悩んだ。
ニコ動のコメントで「道徳0点」などと書かれていたけど、僕からしたら道徳100点のゲームだと思う。
戦争を仕掛ける側にも仕掛けられる側にもなれることで、戦争の悲惨さをこれでもかと体感させられた。

全員仲良しエンドが欲しかったけど、多分その為にはさらに他の犠牲者が必要となってしまうのでなくていい。

ルートによっては、宗教というものを否定していると捉えかねないものもあるので、カトリックの人とかキリスト教原理主義の人達はこれをやってどう思ったんだろう?
ポケモンを認めない進化論否定派の人達がいるぐらいだし。

クロードルートにおいて、クロードの最終目標はフォドラ統一以上に、隣国やあらゆる宗教もすべて取り入れて風通しの良い国家を作ることだった。
素晴らしい思想だとは思うけど、世界は今その真逆を行っている。
「いい話だなあ」なんて呑気にあぐらを描いてる場合じゃないよ、日本もそうだし。

FE無双の縁で製作にはコーエーテクモが関わっている。
学級が三つあるのも三国志がモチーフだからとかなんとか。
過去何千年も昔から変わらない面白さの要素を含みながら、現代社会への風刺も組み込まれている作品、それがFE風花雪月なのだと思う。

最後に語彙を思いっきり無くして叫んで終わりたいと思います。

戦争反対!!
話し合いで解決できることはしたほうがいい!!
みんなでご飯食べるとおいしいよね!!
ペトラ可愛い!!
イングリットも可愛い!!
でもイングリットがクリティカル出すときの雄叫びがガチ過ぎ!!
フレスベルグの少女神曲!!
買え!
やれ!
苦しめ!
病め!
泣け!

FIN

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