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思い出に残る釣り餌(青へら)

数十年前、当時の幼い私は毎日のように釣りに出かけていました。
雨風が強く天候が悪い時でも。

湖や川、池を巡っては生き餌のミミズや赤虫をいつも使っていたのです。

本当は心の中で大人が使っている練り餌を使ってみたいと長年思っていましたが、それはあまりにも幼いための金銭的な問題と練り餌を使っている大人がちょっと敷居が高いように見えたのです。

家から一番近い釣具店は今のような専門店ではありません。文房具や野菜の種などをメインで販売している、いわゆる町のよろず屋です。

そのお店に初めて青へらが入荷しました。
子供心にパッケージだけで素晴らしい餌に感じました。

店主のおばあちゃんに数日後にお金が貯まるのでと青へらを1つ取っておいてもらいました。

お金が用意できた当日、勇んで購入したのはよいのですが、練り方が分かりません。耳たぶの固さのようにと誰かが言っていたので、自分の耳たぶを何十回も触りましたが、よく感触がつかめません。

そこで店主のおばあちゃんにお願いをして、耳たぶの固さが分からないので練ってほしいと頼みました。釣りなどしたことがなかったはずですが、とりあえず耳たぶの固さらしいと伝えて、少し待ちました。

店の奥にある住居の台所から、いちごに使う透明の空きパックに練った餌を入れて笑顔で戻ってきました。

完成した練り餌はいま思い出すと柔らかすぎたはずですが、すぐに湖に向かい大喜びで餌をつけて釣り糸を垂らしました。

その日は強風で雨。

柔らかすぎる餌は、投入したらすぐに溶けてなくなってしまいましたが、大人はみんなこうやって投入した瞬間に食いつくのを待つだろうと思い、餌が全部なくなるまで続けました。もちろん釣れるはずがありません。

帰り道によろず屋の前を通るとおばあちゃんがいました。

「釣れた?私も練り餌なんか練ったこともなかったし、なんかお金を払ってもらって、間違った練り方をしたのかもしれないと思ったんだけど。。」

数日間とっておいてもらい、お金を貯めて買った青へらなので、おばあちゃんは心配だったのです。

「何匹も釣れたよ。ありがとう」と答えていました。




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