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地域の素材と向き合う ‐奥三河の豊かな自然から生まれる商品‐

こんにちは。
大円商店のブログをご覧頂きありがとうございます。
大円商店(ダイマルショウテン)は、2023より愛知県の北設楽郡にある東栄町という小さな田舎町で、夫婦でアイアン家具と表札、洋服を制作する工房です。
私たちが奥三河の地で物作りをしながら生活をする背景と、この地ならではの物作りの在り方を少しまとめてみようと思い今回記事にしました。
最後まで読んで頂けたら嬉しいです。



田舎へ移住

東栄町は近隣の「新城市」「設楽町」「豊根村」の4市町村を含めた
「奥三河」といわれる地域になります。
奥三河は、愛知県内で最も山深い山間エリアになります。

山々に囲まれ、綺麗な清流が多く流れ、たくさんの動植物が共生しあう自然豊かな環境には、四季折々の表情があり1年を通してたくさんの魅力を感じられる場所です。

そんな環境に魅力を感じ、私たちは神奈川県から東栄町へ移住をしてきました。今は夫婦で共に生活をしていますが、移住先で出会っているので移住の経緯はそれぞれ別々なのですが、私(旦那)は、山間の田舎で生活をしたいという想いが元々あり、色々な地を探していた中「ちょうど良い田舎感」「神奈川県からちょうど良い距離感」などなど自分の中での「ちょうど良い」が色々と重なったのが奥三河エリアでした。

奥三河エリアも各市町村によって特徴があり、それぞれの移住担当者の方にお時間を割いていただき色々な所を案内していただきました。
その節は本当にありがとうございました。
自分の足でも色々な時期に色々な集落へ行き、生活環境の様子を見に行ったりもしました。その結果、「ちょうど良さ」アンテナに一番反応したのが東栄町でした。

移住先の最初の家は、廃校の教員住宅。ほぼ学校の敷地内のような立地のため、玄関を開けると昔に植えられた桜がびっしりと咲き誇るプライベート花見会場でした。

かなりふわっとした理由のように感じますが、細かい理由が結構あって、一言で言い表すなら「田舎で物作りしながら生活をしたい」という大きな目的があったので、クリエイティビティを保ち続けられる環境というのは自分の中での感覚が頼りでした。


田舎ならではの仕事の在り方。
自分にも出来るこの地ならではの物作りを考える。

今までとは真逆のような環境での生活になったことで多くの影響を受けました。それは日常生活はもちろんですが、物作りに対しての捉え方も大きく変化したと思います。
この自然豊かな環境から手に入る素材を物作りに取り入れたいという気持ちは特に大きかったです。

私たちが生活する東栄町は面積の約93%が山林。そのほとんどが植林で植えられた杉や檜の針葉樹林です。奥三河の他の市町村も同様の自然環境と感じています。

そんな山深い奥三河エリアで伐採された木は「三河材」と呼ばれています。「三河材」には三河杉と三河檜があり、色艶が良く、材木を扱う大工さんや建具屋さん、木工家具屋さんといった職人さんたちに昔から重宝されてきたそうです。

見渡す限りの木々を使わない手はありません。
大円商店が作るアイアン家具には、近隣の山で育ったこの三河杉をメインで使っています。この地域で暮らすこその地産地消を心掛けています。
三河杉の温かみのあるナチュラルな色味と、自然が作り出す木目や節には、どこか親しみを感じて頂けると思います。

町内でお世話になっている粟代製材所さんでは、毎日多くの丸太が色々な形状に加工されています。用途に合わせた希望のサイズで「丸太」から「材木」を作ってもらえるとは、街で暮らしていた時には考えられない体験でした。

製材機を通し、丸太から板材が作られる様子。

製材は、帯鋸(おびのこ)という大きなノコギリ状の刃で丸太をスライスしていくイメージです。

製材機をかけたての木の表面はとても水分量が多く、触ると冷たくてしっとりしています。水分量が多いのでその分とても重たいです。

木材は乾かさないと使えないので、ゆっくり乾燥をさせて水分を抜いていき、使える状態まで寝かせていきます。

三河杉を天板に使用した洗面台。扉の中の収納棚にも使用しています。

木は、同じ樹種でも育った環境で木目や節、色味も変わったりします。
特に広葉樹は同じ木でも全然雰囲気の違う板が取れることもあります。
製材してみないと木の内部が分からないのは木の面白いところです。

「杉」という木は大きな違いはなく、かなり安定的な木目をしている方だと思います。なので商品写真のイメージに近い物を作り続けられるのは、継続性のある物作りをする上で大きな利点でした。

杉は比較的柔らかくて軽い木材です。そのためキズが付きやすいという側面があるのですが、大円商店では、日常生活の中で付いていくキズや汚れというのはその家ならではの味だと考えています。
経年変化は無垢の木材ならではの醍醐味。神経質にならず存分に楽しんでもらえたらと嬉しいです。

以前は作りたい物や表現したい作風は色々とあったのですが、今ではシンプルな思考で考えるようになりました。
この地でアイアン家具を作ることは、地域材を活用した物作りであると考えています。

・三河材を活用した商品はこちら


木の原形「丸太」の魅力。
山暮らしの日常風景を商品に落とし込む。

木の使い道は、主に製材機をかけて「丸太」から板や角材といった四角い形状の「材木」へと加工し、その「材木」を職人さんが更に加工し、テーブルや棚、家の柱や床などになっていくのが一般的かと思います。

丸太が板状に。これが家の壁や床、テーブルなどになっていきます。

奥三河で暮らすまでは、日常生活の中で目にする木というのは一度手が加わった「材木」がほとんどでした。(生えている木は除く)

なので、木そのものの姿である「丸太」を見る機会が少なかったので、丸太の断面にはとても惹かれるものがありました。

「年輪」からは木の年齢が分かります。
小径の丸太でも20年、大きなものでは100年を超すものも存在します。目の前の丸太と自分の年齢、家族の年齢を比べてみた時に、色々と考えさせられるものがあります。

私たちは夫婦で物作りをしています。
家具と表札作りでは鉄工と木工を行い、洋服作りでは裁縫を行う。
別ジャンルの物作りをしているので、使う素材はどうしても別々になってしまいます。

せっかく一緒に物作りをしているのだから、もう少し作品に共通点が欲しいと思っていました。
そこで、不思議な魅力が詰まった年輪を何か活かせないかと考え、杉の丸太を加工し丸太の「年輪スタンプ」を作り生地へ年輪をプリントしてました。

大小さまざまな大きさの丸太をプリントしました。

年輪スタンプで木のダイナミックさを表現したベットカバー。
奥三河の秘湯 湯谷温泉のはづ別館様より。
奥三河での日常の風景をデザインに落とし込みました。

丸太スタンプだけでなく、四季折々の植物を使ったリーフスタンプも自然が授けてくれる素敵な素材です。

客室に合わしてこちらのベットカバーも製作しました。


身の回りの素材を活かした自分たちならではの作品をお届けします。


奥三河にはまだまだ素敵な素材が溢れています。
私たちの身の回りにある自然の恵みや風景を、少しでも感じてもらえるような商品を作っていきたいと考えています。
洋服作り部門では、私たちの日常生活の中にある「とある風景」を落とし込んだオリジナルテキスタイルの洋服やその他作品をこれから作っていきたいと考えています。

奥三河には私たち以外にも多くのクリエイターがいます。
まだまだ駆け出し中の私たちは、偉大な先輩クリエイター達を追いかけながら、この地で暮らす我々ならではの物作りを模索しております。

奥三河での田舎暮らしのことや、商品についてのご質問がございましたらお気軽にご連絡ください。
【お問い合わせ先】
acowriter7052@gmail.com 
もしくはお問い合わせフォームhttps://x.gd/cr1ve

【大円商店HPはこちら】


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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