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ミス大阪〜75才現役ホステスさんのハニカミに魅了されるこの世のパラダイス

ミス大阪」という開店から85年の歴史を持つグランドキャバレーに行ってきた。

「はじめての人を連れて行くと、こんなパラダイスあるのか?と言う。笑」との前評判を耳にし、それはぜひ一度体験してみたいと大阪まで行ったんだけれど、結論から言うととんでもなくよかったので忘れないうちに書き留めておこうと思う。

http://miss-osaka.com

まず席についてくれたのはお店を紹介してくれた人が指名しているAさん。彼女は話しながら高い声でアハハと笑う、気持ちのよいとても素敵な女性だった。

「今回東京から70代が現役として働いている『ミス大阪』を堪能したいと訪れる人(私)がいる」と聞いた彼女は、はりきって「ミス大阪」のおすすめキャストたちを用意してくれていた。

今回は5人でお店を訪れたのだけれど、キャバレーに慣れていない私たち4人に「最初の一杯はタダでついてくるから、好きなもの頼んでくださいね!」と気を回してくれたAさんがまず最初に私の横に呼んでくれたのは75歳のBさん。

「呼んでくれてありがとうございます」と優しく微笑みかけてくれた彼女は70代には到底見えなくて、なんてキレイな肌なんだろう、どんなお手入れしてるんですか?と聞いたら、「マスクしているからそう見えるのよ。マスクとったら、おばあさん、と思うと思います」と恥ずかしそうにハニかむので、いやいやマスクの問題じゃなくて、首とかもめちゃくちゃキレイじゃないですか!と私。

すると「そんなことないのよ」とマスクを外して見せてくれて、マスクを外しても変わらずキレイだった。

いやぁ、おキレイでいいなぁ!と私が言うと、「うふふ、この照明が結構重要なの。昼間会ったら「なんだこのおばあさん!」ってなるわよ。笑」と店の照明について解説してくれた(店内にはブラックライトも装備されており、さりげなくブラックライトも点灯している)

そうですか、ブラックライトかぁ。それにしても美しいですよ、その秘訣を知りたい!と食い下がる私に、彼女が以前週一で訪れていた(コロナ禍で閉店してしまったらしい)岩盤浴のお店にあるオイルを岩盤浴の後に顔にも首にも塗っていたことを優しく教えてくれた。

文章で表せない乏しい執筆力に絶望したくなるが、醸し出される包容力に一人目からもうメロメロな私。

彼女は少ししたらボーイさんに呼ばれてしまい、しばしAさんが私と紹介者の間に座ってくれた。

Aさんが話しながら笑う、笑いながら話すことは冒頭にも記したが、彼女はなんとも言えない陽の空気をまとっている人。このお店の前には別のお店にいたんですか?と聞くと、別のお店にいた前は銀行員だったと教えてくれた。

銀行員だとこの魅力は持て余してしまうだろうと銀行員に対するある種の固定観念を持っている私は「銀行ですか、なんかイメージとちょっと違いますね!笑」と言うと、「そうでしょ〜、あはは。銀行はね、勤めたくて勤めたんじゃなくて、親が商売やってたから勧められて仕方なく受けたら受かっちゃったから入ったのよ、あはは。でもそこで一回結婚して仕事を辞めて、あはは。その結婚相手が最低な人で、一年で離婚したの。そこからこの仕事について、このお店は6年前からいるの、あはは」と今までの経緯を教えてくれた。

文字だとその魅力が伝わりづらいのが惜しいけれど、とにかく笑いながら話すあの感じがたまらなかった。

ミス大阪を訪れる前にごはんは食べてきたと伝えたので、お腹はいっぱいだろうと気を回してトマトスライスを頼んでくれただけでなく、1時間くらい経った時にはトマトスライスを私にあーんと食べさせてもくれたAさん。

子どもにあーんで食べさせられることは稀にあるけど、大人の女性にしてもらったのははじめてで、いいんですか?!こんなサービス受けちゃって!!と、昇天の思いでいたら、また軽やかに笑う彼女。「お姉さま」と呼んでついていきたい思いになった。

その後、私の横についてくれたのは65歳の女性Cさん。彼女にも、60代には見えないなぁ…何されてるんですか?と聞くと、彼女がしている美容法を余すことなく教えてくれた。つけているガードルのよさを教えてくれた彼女に、私が「そんな効果あるものがあるんですか?」と食い気味に聞いていたら喜んでくれて、ちょっとここだと見せれないけどトイレで見せてあげようか、とまで申し出てくれて、トイレの個室でそのガードルを見せてくれたのだ。(卑猥さは一切なく、美に貪欲な者同士のやりとりなので、男性が同じように聞いても同じことは起きない気がする旨は記しておきます)

ドキドキを抱えながらガードルの一幕を終えて席に戻ると、先ほどのBさんも別の席から戻ってきていて、私の横にではなかったけれど、同伴者が座る向かいの席から戻ってきてくれてることを知らせるためか微笑みながら手を振ってくれて、かわいいなぁ…と私はBさんの在席を嬉しくなった。

その後、隣についてくれたCさんにいろいろな話を聞いた。彼女は14年この店にいるそうで、その前も長らく夜のお店で勤めているとのこと。いろんなお客さん来るから楽しいわよ、と言うので、そうはいっても嫌だなぁと思うお客さんもいませんか?と聞くと、「例えば触ってくるお客さんには手をこうして膝の上で握っちゃうのよ。笑」と私の手をとって実践してくれた。ここでもちょいドキ。でも嫌なお客さんっていうのはほとんどいないし、いろんなお客さんが来るのが楽しい、というのが彼女の話だった。

無理して言ってるのかな?との思いが一瞬よぎったが、どうやらそうでもないらしいと話しながら伝わってきた。

コロナ禍で店も1ヶ月閉じたし、その後も時短営業やそもそもお客さんがコロナを恐れて来なくて大変だったことや、お客さんとの関係でなく、むしろ女の子同士の関係を良好に保つことが長く働く秘訣だということも教えてくれた。

今回、席についてくれたみなさんは、紹介者の指名のAさんが、私たちが喜ぶようにと席につけてくれた面々なので、その話にも納得だった。

他にも要所要所で、持ちつ持たれつで助け合っている女性たちの様子が伝わってきて、なんだかいいなぁ、と思った。

私からは少し遠かったのでほとんど話はできなかったのだけれど、同伴者の横についたDさんも60代でこの道数十年のベテランさん。彼女は源氏名が苗字だったので、珍しいですね、と言ったら、苗字にしておいたほうがお客さんへの電話がしやすいから、とその背景を教えてくれた(会社に電話する際に、名前だと会社の人に夜の店の、と怪しまれてしまうが苗字だとそうならないそう。気遣いで成り立つ仕事なのだ)

Dさんは私たちが退店時に、私の頬を両手で挟んでくれて「ありがとね、また来てくださいね」と心を込めて言った後に手も握ってくれた。

これらの会話がすべて関西弁で繰り広げられることも私にとっては「ええなぁ」となる要素のひとつだった。

かなり割愛していて書ききれていない要素が多いことが残念の極みだけれど、とにかく私は楽しかった。私にもっとお金があったなら、大阪まで度々訪れて指名して彼女たちにまた会いたい!!と思うひとときだった。

「水商売で働く人は、楽にお金が欲しい人」「将来設計とかしない人」的な言説を耳にすることもあるが、だからなんだというのだ、と私は思う。そもそも60代、70代で現役一線で働けるなんてすごいことじゃないか、という思いもあるが(そうした職場は、自助が重んじられるこの国で無くしてはならない場所だとも思う)何よりも、明るく笑い飛ばして逞しく一線にいる人たちは、人を蔑んで文句を言う人よりよっぽど尊い、と私は強く思う。

彼女たちが醸し出す包容力や、笑い飛ばして連帯するあの感じ(共助が生きている場所)は、ただ文句を垂れ流す人には到底出せない何かなのではないかと思う。

同じ女性として、人間として、尊敬するし憧れる。また会いたいなぁ…!

私はほとんど話せなかったけれど、「ミス大阪」が大好きで、誰に言われたわけでもないのに自主的にお店をPRするYouTubeチャンネルをはじめたというサリーちゃんのチャンネルも貼っておきます。斜め越しにちょっと話しただけだけれど、彼女も底抜けに明るくて素敵な人でした。

https://youtube.com/channel/UCZWv-jqcV4gtUjrOjCcjeWg

85年の歴史を誇る店は「こんなパラダイスあるのか!」と間違いなく思わせてくれた。かわいいライトが散りばめられているレトロな店内では舞台の上でオルガンの生演奏が行われており、日曜日には舞台上でのカラオケもできるそうだ。20代から70代までの幅広いキャストを200人以上抱えるグランドキャバレー。お近くの人も遠方の人も、ぜひ一度はあのパラダイスを訪れてみて欲しい。

私の知人には夜の店系の人へのインタビューを扱っている媒体関係者はいないのだけれど、何かのツテでつながって企画を持ち込みたいくらいの思いでいる。彼女たちに取材して本にしたいと思うほどの何かがあそこにはあった。本じゃなくても連載記事でもいいし、音声や動画でもいいかもしれない。どなたか企画の持ち込み先を思い当たる方がいたら、ご紹介ください!上原隆さん、岸政彦さんのようなテイストで(私に彼らのようなテイストを再現できる技術があるのかは一旦置いといて)キャストさん達の今や半生を記録したい欲が止まらない。

もしこのnoteにお気持ちがつくことがあったら、また訪れるための資金にします。媒体に持ち込まずとも、それで取材費を賄えたら許可をとって録音して記事か音声かで公開、とかも不可能ではない気もするので、「ミス大阪〜75歳現役ホステスを抱えるこの世のパラダイス」企画を目にしたい方がいたらご協力お願いします!!また会いたい気持ちがそこまでになるほどの魅惑さがあそこにはあった。それがなんなのかをまた訪れて私自身も知りたい。

でも端的に言うと、いやぁ、楽しかった。。。ってことなんだと思う。その後に訪れた熟女キャバクラでの数時間も負けじ劣らずな楽しさと気づきと愛しさだったので、機会があれば書きたいと思います。(ディープ大阪に密着のための取材費の捻出が目下の課題です。笑)

ああしたお店は女性が行っても楽しい、というのも発見だったので、男性に限らず興味がある方はぜひ一度は訪れてみてください。人間を好きになる、人間でいることを好きになる、そんなお店でした。

http://miss-osaka.com

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