マガジンのカバー画像

映画

77
映画のレヴュー的なものから、主題は別でも映画の話題が多少とも入っているものまで。
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

IMAGINE (John Lennon) 〜 Neil Young (歌詞和訳)

1. 前説本投稿では、ニール・ヤングが 2001年の 911 アメリカ同時多発テロの後に歌ったジョン・レノン「イマジン」のカヴァーを取り上げる。今日のこの投稿は、最近フランスで起きている、イスラム教という一つの「宗教」への「狂信」を背景とした「憎悪」的感情に「動機付けられた」(少なくともそれを主因の一つとした)一連の残忍なテロ行為に関するニュース記事複数を観たり見たり聴いたり聞いたり読んだりしているうちに、筆者の頭なのか心なのか、とにかく筆者の中で形成された感情と思考に「動機

「兵役拒否」 (イスラエル映画, 2019年) を観て 〜 あらためて

はじめに5日前に観たこのドキュメンタリー映画 "OBJECTOR", いま初めてその副題らしきものに意識が向かったのだが、"FROM AN ISRAELI RITE OF PASSAGE TO A BATTLE FOR HUMAN RIGHTS", これの意味するところは、直訳すれば、「イスラエル(イスラエル人)の通過儀礼から人権のための闘いへ」といった感じだろう。「通過儀礼」とは、ここでは当然ながら国民皆兵であるイスラエルにおける兵役もしくは徴兵のことを指しているわけで、

「兵役拒否」 (イスラエル映画, 2019年) を観て 〜 その1

一見、いや二見、三見の価値がある映画 〜 予告編付き「同胞を裏切るのか」「恥知らずの反逆者め」などと罵倒されながら、母国イスラエルのパレスチナ占領政策への加担を拒否するイスラエルの若者たちを描いたイスラエル映画、「兵役拒否」(原題:OBJECTOR, 2019年製作)を観た。彼らの中で特に2017年に兵役を拒否し、母国イスラエルの軍事刑務所に110日間にわたって収監された後に兵役免除を勝ち取った当時19歳の女性 Atalia Ben-Abba さんの例を取り上げた、ドキュメ

トム・ウェイツ 〜 アサイラム・イヤーズ、「人生のポケット」の底で、たまたま手にしたレコード

トム・ウェイツ (Tom Waits: born December 7, 1949) は、アメリカ合州国のミュージシャンにして俳優。投稿タイトルの上に掲げた写真は、彼が初主演した映画「ダウン・バイ・ロー」 (Down by Law, 1986) の一コマ。 トム・ウェイツにはちょっとした縁がある。と言っても勿論、会ったことはない。「勿論」とまで書くことはないかもしれないが。何しろ、音楽業界の人間でも何でもない筆者だが、コリーヌ・ベイリー・レイ (Corinne Bailey

「卒業」(1967年) 〜 原題は The Graduate だから 「卒業生」 なんだけど、邦題はまぁあれでよかったのではないかと思う

前説昨日、ちょっとした切っ掛けがあって、この懐かしい映画のいくつかのシーンを YouTube から拾って観ていた。若者世代(大抵こういう場合、1960年生まれの筆者は 1980年代以降の生まれの人を想定しているような気がする)の日本人にはもうあまり知られていない映画かもしれない。映画好きという人でこの映画を知らない人は、世代を超えて少ないと思うが、一般的には、若い人にはもうあまり有名な映画ではないんじゃないかと思っている。 後述するけれども、ある意味で普遍的なテーマを扱っ