『串田孫一随想集』をまとめて買ったので拾い読みをしていると、短いエッセイを集めた第7巻「ヘンデルと林檎」のいちばん最後の「珈琲」というタイトルが目にとまった。
全部引き写してもいいくらい短い。が、著作権も多少気にしつつ、喫茶店に関するところだけを引用しておく。
東京駅の前を歩いていた。巡査に職務質問をされたらいやだなと、おどおどしながら歩いていると、知らない男が話しかけて来た。「君は岩下三平だったね。ずいぶん久し振りだなあ。一体どうしてた」。(引用文では改行を一行アキとした)
戦後間もないこの時期の丸ビル(丸ノ内ビルヂング)にどんな喫茶店が入っていたのか分かる資料があればいいのだが、すぐには見つからない。