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読書量

『関西文学』VOL.103(関西文学の会、昭和45年9月1日)。この雑誌、今となっては、けっこう珍しいのかも知れません。ある古本屋で(ぶっちゃけ古書ヘリングですが)100円でもとめました。

寺島珠雄の連載「低人低語」があったのがひとつの理由です。寺島さんの文章はちょっとクセがあって、妙に魅かれます。クセになりそう。

馬 15
https://note.com/daily_sumus/n/n0c9bb8e00075

夕暮れ忌、その他
https://note.com/daily_sumus/n/na90e12450695

一年間連載し、編集部が二年目も続けるようにと言ったとあります。この号のタイトルは「小説・読書量・岡本夫人通夜」。まずは読書量から。

 雨の日曜日、奈良へ栗田茂を訪ねた。家へ入ってまず嬉しかったのが、階段まで積み重ねられた雑書の山である。前に自分のした生活がやはりこうだったというなつかしさでもある。読む量の多少が書くものの質に短絡しないのはいうまでもない。だが原則的に、読む量は多いに越したことはない。強くいうなら、読む量の少ない書き手をぼくは容易に信じない。

p29

岡本夫人通夜は、岡本潤からもらった通夜の様子を述べた手紙の紹介。

ーーお通夜なるものが、全くお通夜らしくない、まるで討論会のようなものに自然となった、古いところでは近藤憲二未亡人の真柄[まがら]さん、文学関係では秋山清、中野重治、佐多稲子、壷井繁治、菅原克巳その他 このうち今の代々木共産党に籍のあるのは壷井一人だけなので、ちょっと気の毒なくらいだった。佐多さんが真向から「壷井さん、あんたも詩人なんでしょう。詩人のセンスをもってよく今の代々木につながっていられるわね……」と痛烈にやっつけたりした。

p29

寺島さんの「低人低語」をもっと読みたいなと思います。


本書より秋山清と岡本潤


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