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「ビジョナリーカンパニーZERO」を読んだ

「ビヨンドアントレプレナーシップ」の改訂版。ビヨンドアントレプレナーシップは日本語訳されていない1992年の本。この本はスタートアップや中小企業が「偉大な企業」になるために必要なことを解説してくれている本でありリーダーシップを発揮する立場にある人には必読と言って良い程の名著だ。僕も小さな組織ではあったが技術職を率いる立場を経験しているので反省させられる点が多々あり、今後の参考になるうなずきを得られた。

正しい事業のアイデアより、正しい人材の方がはるかに重要

まず僕が驚いたのは2章のテーマ。「最高の人材がいなければ最高のビジョンに意味はない」だ。僕の中でこれらの整理はできておらず、最高のアイデアか、最高の人材のどちらかでもいれば偉大な企業(プロジェクト)になる、と軽く考えていたがどうやらそうではないらしい。本書では最高のアイデアを間違った人材に任せると駄作になる。だが間違ったアイデアを最高の人材に与えれば傑作に仕上がることを紹介している。事例ではピクサーを紹介しているが「最初に人を選ぶ」という戦略で14作品連続でナンバーワンという成果を出している。そして組織において一番重要な指標を「バスの重要な座席のうち、そこにふさわしい人材で埋まっている割合」としている。これを聞くと技術職を率いていた自分にとっては耳が痛いが(僕はお世辞にも相応しい人材とは言えなかった)これが真の偉大な企業をつくるには、常に重要ポストの90%がふさわしい人材で埋まっているように努力すべき、とのこと。

自分を振り返ってみると、人材からではなくアイデアから考えていることが多かったので反省させられた。ふさわしい人材をふさわしいポストに据えることは考えたことはなく、空いたポストに誰を配置するかという視点に囚われていた。結果小さな組織は瓦解したが根本的に考え方が間違っていたと思い知らされた。

あなたらしいリーダーシップを身につけよう

リーダーシップとは別の誰かになろうとしたり、あなたにそぐわないスタイルを身につける必要はない。企業での効果的なリーダーシップは2つの要素で成り立っている。

「機能」... 会社共通のビジョンを明確にし、実現に向けて揺るぎない決意と熱心な取り組みを促すこと。これはどんなリーダーシップスタイルを取ろうとも必ず果たすべきもの。

「スタイル」... 一人ひとり固有のもの。しかし有能なリーダーには共通して見られる7つの要素がある。1. 誠実さ 2. 決断力 3. 集中力 4. 人間味 5. 対人スキル 6. コミュニケーション能力 7. 常に前進する姿勢 だ。なぜこの7つなのかは本書を読んで欲しいので割愛する。

しかしリーダーシップの本質とは、明確なビジョンを示し、集団と共有し、行動を促すこと。そしてもう一つ、社員の魂に触れること。社員の気づいていなかった可能性に気付かして、新しい自己認識に目覚めさせ、自らのへの期待を変化させること。リーダーは社員の魂を掴み、表へ引っ張り出し、目覚めさせるのだ。

成功というコインの裏面は失敗ではなく、成長だ

失敗とは成長だ。言葉にするのは簡単だが、これを言葉通りに捉えて成長へつなげるのは難しい。僕もそうだったが成功することに固執し、失敗を通じて成長できそうな状況を避けがちだ。しかし自分の限界を知りたければなんども失敗しいつか成功するという経験をしなければならない。

失敗すれば改善し次に活かすというのは、PDCAの基本だが、それにより自分がどれほどの成長につながったか、意識するのを怠りがちだ。失敗からは自分が思ってるよりも多くのリターンを得られ、僕はそれを意識せずにもったいない失敗をしてきてしまったのかもしれない。

まとめ

ビジョナリーカンパニーZEROでは起業に必要なマインドやフレームワーク、思想やリーダーシップ論までをまとめてくれている。起業家、役職者、社員の誰が読んでもためになる一冊だろう。元のビヨンドアントレプレナーシップは日本語訳されていなかったとのことで日本語訳して改訂版を出してくれたことに感謝したい。(このボリュームの本を英語で読むには僕には役者不足なので)そしてこんな素晴らしい本が今まで日本語訳されていなかったことが残念だと思わされる一冊でもあった。読んで損はない。

ここで感想文としてまとめたのはほんの一部でまだまだ素晴らしい内容が書き連なれている。ビジョン、コアバリューと理念、パーパス、ミッション、イノベーション、このnoteに書いたのはあくまで僕が特に印象に残った部分であり、読んでためになった部分はこの本のほとんどだ。明日からでも活用できる内容もあるし、中長期に渡った組織作りに必要な内容もある。とりあえず言いたいことはこの本は全社会人にとって有益な本だろうということだ。

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