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【サンドブラスト解説③】サンドブラストが使われている日常を探してみた

有限会社 秋山産業は、大阪府でサンドブラストバレル研磨に関する機械・材料や各種研磨機材の販売、歯科技工用研磨材料の製造販売を行っております。

秋山産業が取り扱う”マニアック”なジャンルを皆さんに是非知ってもらいたくて、前々回、前回と「サンドブラスト」について説明させていただいております。

前々回は「①サンドブラストとは?」、前回は「②サンドブラストを行うために必要なものは?」についてかなり掘り下げてみました。

今回がこのテーマの最終話になります。
サンドブラストが使われている日常を探してみた」です。

ちょっとひねった題名にしましたが、簡単に言うと「このようなところでサンドブラストが活躍しているの?」についてのお話しです。
なるべく身近であろう使用事例だけをピックアップしてご紹介します。

サンドブラストは様々な表面加工目的に使われています。
荒らす」「取り除く」「削る」「強くする」などの表面加工を、条件さえ見い出せば誰でも簡単に行うことができるのです。

1.荒らす(ザラザラにする)

1-1 金型の表面加工

プラスチック製品の表面って、ちょっとマットな感じの質感のものって多くないですか?
この質感を作るために、プラスチック製品を作る金型の表面をサンドブラストして細かくザラザラにしている場合があります。

写真はイメージです。実際にサンドブラストした金型で作られいるかは不明です。

1-2 ガラスアート

結婚式のウエルカムボードやトロフィーなど、ガラスや透明アクリル板に文字やイラストが白っぽく描かれたもの。これもサンドブラストで加工されております。

趣味のイベントで頂いたトロフィー。綺麗に作ってもらいました!
弊社会長の趣味はガラスアート。会社のガラスコップは全てが作品。さすが上手です!

秋山産業のYouTubeチャンネルでも、下手ながら奮闘してやってみた動画を公開しております。よろしければご覧下さい。

1-3 塗装、めっき処理前の下地作り

色を塗ったり、めっきを施したりするところに、サンドブラスト処理を行うことで、塗装膜・めっき膜の接着力を上げることができます。
サンドブラストを行うと表面がザラザラになりますので、実質的に塗装膜・めっき膜がのる面積が増えることから引っ付きやすくなるようなイメージです。

被加工物表面と塗装膜・めっき膜を横から見たイメージ

2.取り除く

2-1 バリを取る

金属や樹脂を切ったり穴を開けたりするとバリが発生します。
サンドブラストはバリを取り除く目的でも広く採用されています。
砂を選び方や加工条件を工夫することで、バリが発生していない箇所に対してダメージをほとんど与えずサンドブラストできる場合もあります。

サンドブラストによるバリ取り

2-2 酸化被膜、錆を取り除く

金属を熱処理や溶接したり、火花を飛ばして切断したりした場合には、その表面が焦げて黒ずんでしまいます。これを「酸化被膜」と言います。
また、生鉄などの場合は水分・湿気を帯びていると「錆」が発生します。
サンドブラストはこれら酸化被膜・錆を取り除く目的でよく使われており、代表的な加工目的の一つとなっております。

サンドブラストによる錆取り

秋山産業のYouTubeチャンネルでも事例動画を公開しております。よろしければご覧下さい。

2-3 色々こびり付いているものを取り除く

バリや酸化被膜、錆の他にも、色々とこびり付いているを取り除くのは得意です。

例えば、高温で液状にまで溶かした材料を型に流し込む「鋳造」いう加工技術がありますが、その型として使った石膏などのこびり付いたものを取り除いたりするのにも用いられます。
写真、動画は入れ歯(義歯)の金具の部分を鋳造で製作した際にこびり付いた石膏系材料を取り除いたものです。

サンドブラストによる石膏系材料の除去

今流行りの、3Dプリンターを使ったモノづくりでもサンドブラストが活躍しています。
一例として、造形物を支えるサポート材というもののこびり付いたものを取り除く用途に採用されたりしています。

サンドブラストによる3Dプリンターのサポート材除去

3.削る・彫る

3-1 表札作り・墓石の文字入れ、模様入れ

写真はイメージです。フリー素材.comさんから写真を拝借しました。

表札作りや墓石の加工(文字入れ、デザイン加工)にはサンドブラストが用いられます。
最近の墓石は本当にすごいです!
墓石業者さんのホームページを見てみると、浮き彫り、線彫り、立体彫刻等多彩な加工をサンドブラストで行われております。
もう芸術ですね!

3-2 3Dプリンター造形品の表面処理

2-3でご紹介したのと別事例になります。
3Dプリンターで作ったモノの表面は、段差ができたようにザラザラな状態です。これは「素材を積み上げて作り上げている」という3Dプリンターの原理によるもので、「積層痕」と呼ばれています。
サンドブラストで表面を少し削り出すことで、この積層痕を消して段差が無い滑らかな表面を作ることができます。

サンドブラストによる3Dプリンターの積層痕除去

4.強くする

4-1 ピーニング

球形の砂をサンドブラストすることで、加工物の表面を強くすることをピーニング(ショットピーニング)と言います。
金属の表面を叩いて強くする「鍛造」という加工技術がありますが、簡単に言うと、そのサンドブラストバージョンといったところでしょうか?
高速で球形の砂を加工物に衝突させる=たくさんの小さいハンマーのようなもので連続的に叩いている」というイメージです。

耐久性や長寿命性が求められる自動車部品や航空機部品、ばね、刃物などを作る工程で広く採用されております。

最後までお読みいただき有難うございました

いかがでしたでしょうか?
全3回に渡り、「サンドブラスト」というマニアックな世界についてお話しさせていただきました。

なるべく専門的な内容は避けて、知らない人に親近感をもってもらうことを目的に説明してきたつもりです。
しかしながら、ついつい熱が入ってしまい、、、いささか専門的過ぎて難しい内容がございましたら誠に申し訳ございません💦

またご不明な点等がございましたら、コメント欄にご記入いただきましたら喜んで回答させていただきます。

最後までお読みいただき誠に有難うございました。

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