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帰ってきた、悪名高き「漫画村」。

「漫画村」。
皆様はこの名前を聞いたことはありますでしょうか。
2016年頃に姿を現したサイトで、2018年4月に閉鎖され、今は存在しない海賊版漫画サイトの名前です。

大量の漫画の画像(おそらく電子書籍のデータ?)がサイト上には存在し、利用者はそこにアクセスすることで無料で漫画を読むことができるという恐ろしいサイトです。

何が恐ろしいか。少し見ていきましょう。

まず一点目。
「漫画村が利用されると漫画家の収入が減る。」
これは簡単な話です。
漫画家は漫画を描き、読者はそれを購入し読む。
購入の際の代金は最終的に漫画家の収入になる。
読者が漫画を購入せずに漫画が読めてしまえば、漫画家には漫画の購入代金は入りません。
結果的に漫画家の収入が減るというわけです。
物凄く簡単な話ですね。

二点目。
「漫画業界が衰退する。」
これは少し事が進んだ段階での話なのですが、漫画家が漫画を描く、その漫画を読者が買うことで代金が最終的に漫画家の収入になるという話は既にしました。しかし、その収入がなくなると漫画家は漫画を描くことを仕事とすることが難しくなっていきます。
そうすると漫画家が減っていき結果的に漫画業界が衰退するという話です。

どうでしょうか。漫画を愛する者にとって、これがいかに恐ろしいことかが分かりますよね。
しかしここまでは、実は様々なサイトで既に話し尽くされている事です。
せっかくなのでもう少し踏み込んだ点まで見ていきましょう。


三点目。
「利用者の利用行為が犯罪にならない。」
ここから少し踏み込んで、著作権法の話も絡めていきます。
簡単に説明するのでご安心を。

これはあまり語られていない話です。
現在、漫画村の運営者は逮捕されていますので、漫画村の「運営行為」が犯罪になるということは想像に難くないと思います。
では漫画村を「利用」した人はどうでしょう?
逮捕されたという話は聞きませんよね。
それもそのはず、ピーク時には利用者は1カ月に億単位で存在したと言われていますから、全員逮捕しようとすると日本国民一億総逮捕になってしまうわけです。
しかし、利用者が多いから逮捕しないというわけではありません。
漫画村の「利用」行為を著作権法上の犯罪とみることは困難だからです。
著作権法は違法アップロードや違法ダウンロード等については刑事罰を設けて禁止(No More 映画泥棒!のCMを一度は目にしたことがあるはず)しているのですが、「閲覧」行為までは禁止していないのです。

それは何故か。
うっかり当該サイトの漫画を見てしまってちょっと読み進めてしまっても「閲覧」になるということですが、これが犯罪になるのでは我々はうかつにネットサーフィンをすることもできません。
一般人の行動を制約しすぎるため、「閲覧」自体が犯罪になることは難しいということです。

いかがでしょうか。
一点目や二点目は、様々なサイトで語られている有名な話でした。
善人はこれら二点を見て、漫画や漫画家、漫画業界のためにこのようなサイトの利用を控えようとなるでしょう。
ですが、悪人は三点目を聞くと、犯罪じゃないなら…と利用を続けるかもしれません。
ここに三点目があまり語られない理由があるのではないかと私は考えています。

漫画村という悪が、悪たる所以の一つを、皆さんにお話しした次第であります。
漫画村の利用者が捕まらないから利用者は増え続けるという仕組み。
この点が違法薬物なんかとは根本的に違いますよね。
ですが、海賊版漫画サイトの運営はれっきとした犯罪行為ですし、利用者がサイトにある画像データをダウンロードすることも犯罪行為です。

さて、また最近このような類似の違法海賊版漫画サイトが出現してきたとのことです。
今、海賊版漫画サイトで見た1冊の漫画は、将来あり得たはずの1冊の漫画を永遠にこの世の中から失わせることに繋がるのです。


漫画を愛する我々が、警鐘を鳴らしましょう。

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