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神のDB (003)

そろそろ盛り上がります~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n6a02b591e115

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n9ad9ed4adbb1

【七】


朧月。
幻想なる世界で輝くその月は、狂気の世界を発現させる光を発する
其れが始まりの世界の扉を開く。
其れが終わりの理を導く。
其れが。。

【7】


朧月。

だねぇ。。いやいや。
酔っ払いました。
にゃんかいい感じですよ、こんな夜は。
ちょうど薄曇が覆っているんだろうけど、お月様がぼやってます。
ぼやぼやっすね。

久しぶりにみました、朧月なんて。
なんか幻想的な感じで、
なんか特別なことが起こる感じで、
なんか期待してしまう。。。ねぇって感じでふらふらと家への帰り道を歩いております。

まあ、なんも起きんのですけど。

良く妄想しますよ。
ボクは特別な人間で、こんな夜は刺客的なものに襲われちゃう!
で、そんな中、ボクは特別な力に目覚めて撃退!!
でもって、すんごいかわいい美女とネンゴロになってぇ。。ムフ、みたいな妄想。

いやいや、あほらしいです。

でもでも、そんなことも考えないとつまらんのですよ、
この世界は。

今日も会社の呑み会でなにか起こるかなぁ。。と思ってもいつも通りのお一人様帰宅。
なにか誘われるわけでもないし、なにかハプニングが起こるわけでもなく。
普通に上司に少し気を使い、
普通に同僚と他愛の無い話をし、
普通に気になる人とは話しは無く、
普通に締めてちょい不貞腐れつつとっちちひとりで帰る。


ホンと、いつもと同じ。

ホンに、いつもと同じ。

本当に、いつも同じな、、、世界。

これがボクの世界。現実の世界。


だから思う。
たまに、
時には、
最近、
良く思ってしまうんだ。。


こんな世界、壊れてしまえばいいのに、と。

思ってしまったんだ。


《なら、壊してやろう、おまえの世界、いや、終わらせてしまおう、おまえの人生を》


え、なんだこれ。。

なんだ、この声。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。寒気がした。


、瞬間だった。


光った。何かが。ボクの目の前に。


風が切った。何かが。ボクの頬に。


温かいものが。。。ボクの頬から出てきた気がした。

『えっ?』


ボクは頬を触ってみた。左頬にべっとりしたものが付いていた。
ボクは是を知っている。
ボクは是が嫌いだとも知っている。
ボクは是の匂いが嫌いだから。

鉄のような匂い。。震えが、震えが込み上げてきて、、、

『あっ、あ、あぁ。、ああああ、ああああああああっ。ああああああああ、血ぃ?』


これがパニックなんだろう、って違うボクが冷静に見ているようだ。
確かに、血だ。それもけっこうな量の。
そして来た。痛みが。こみ上げてきた、熱くなってきた。頬が熱い。熱い。。熱い、痛い!

『イテェぇぇぇぇ。なんだよ、これ。』


混乱しているボクの前に、何かがいる。
複数いる。
それも全員黒尽くめ。
忍者?なに、これ。

そいつらは一人はボクの目の前、一人はその後ろ、一人は電柱の上、一人は左のマンションの壁に張り付き、一人は

『なんだよ、だらしねぇ救世主様だねぇ。』

ボクの後ろから声をかけてきた。


『聞いていたヤツとは全然ちがうねぇ。。ホンと、違うねぇ。人違いじゃないのぉ?まあ、それでもいいけど、どうせ始末しちゃうし、関係ないしぃ』

『サジ、口が多い。間違いなくターゲットだ。オレの投擲を避けているんだからな。』

『隊長ぉ。それ偶然なんじゃないのぉ?だって、こいつ震えてるぜぇ。涙目な感じぃ』

『あは、かわいそうだにょ、サジっち。そんなにいじめちゃぁ。どうせここでその人死んじゃうんだにょぉ。やさしくにょ』

『うるせぇなぁ。えな。情けないのは情けないんだよぉ。なぁ、レンジ』

『・・・・・人目に付く前に、仕掛けることを提案する、隊長』

『おぅ、レンジ、無視したよぉ。おいおいぃ。この野郎ってな』

『サジ、其れぐらいにしなさいな。レンジの言うとおりですよ。』

『あは、サチネェに怒られてにゃんにょぉ、サジ。あははぁ。』

『なんだとぉ!えなぁ。。お前からやっちゃ・』

『みんな、仕掛けるぞ。抜かるな。』

『って。。ういっすぅ』『了解にょ!』『ええ。』『了解』


おいおい、ちょっと待て。なんだこれ。
なんのどっきり?
いやいや、ドッキリじゃないよね?
いやいや、え、なに、こいつら何?何、仕掛ける?始末?死んじゃう?

え、え、ええ、えええ、なんか身構えてやがる。
なんだこれ、なんだこれ、

え、なんだこれ。。

月が、月の光がやけに目に付く

ヤバイ、これはホンにヤバイ感じ、

これは、ヤられる。死ぬ、死、死、

死死死死死死死死死死死死死死死

死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死

死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死

死ぬのか、オレ。



『ちょっとぉ。勝手なことされると困るんですけど。』

声が聴こえた。
この狂気の空間に現実に押し戻してくれるような声。
どこにでもいそうな女の子の声だった。でも。。。

あれ、だれか、いる?

電柱の上?え、え、

顔が。。。え、笑ってる?


朧月からの光が少し強くなって、道を照らす。
さっきの奴らの輪郭も良く見える。

そして、その、笑っている、女の子の輪郭も見える。
そう、朧月の光を背に、ぼんやりとした光に包まれたその子は、

『その人は大事な人なんよ。勝手なことしてもらちゃ、困るよ。』

その子は、幻想の世界の住人だった。

【8】


ジャキーン!
ザッ、ザッ!
シュ、ビュッ、ブーン、ガシャーン!

重なり合うような、叩き合うような金属音が鳴り響く。
その光景は観たことあるようで、現実感の無い光景。

シュッ、ザッ、ザザッ、ズササー!ガッキーン!!

黒いタイツのような、いや、どちらかといえば忍者のような格好に近い覆面をしたヤツら相手に
どこにでもいそうなシャツに短パンの女の子がひとりで遣り合っている。
覆面のやつらは日本刀のようなもの、それに対して女の子は同じ刀でもそう、『ソード』だ。

そう、それは騎士が持つような立派な柄が付いた中世の騎士が持つような剣を女の子はいとも軽げに振り回し、
そして。。。きれいだった。

満月の光を背に、その長髪を後ろで結んだ線の細い女の子は、顔は見えずラフな格好にも関わらず、神秘的で幻想的で。。
。。その殺意に寒気がした。

【八】


嫌だ、怖い、痛い、苦しい、なんだこれ。
こんな現実、嫌だ、嫌だ、嫌なんだ!
あんな殺気に満ち溢れた世界
あんな狂気に満ち溢れた世界
あんな、あんな、なんな知らない世界は嫌なんだ!

怖いのも嫌だ
痛いのも嫌だ
苦しいのも嫌だ
血は嫌だ。血は、血は、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血、血
ボクの頬に滴る、血。
嫌だ。こんなキズ。無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、
無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、
無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、
無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、無くなれ、

全て元に戻れ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

【9】


朝になっていた。

『あれ、家だ。』

ボクは普通に目覚めていた。
いつもの寝巻きを着て、いつもの布団にくるまって、いつもの天井を見ていた。

。。。夢?

『って、そんなわけあるかぁぁぁぁ!!!』

まさに「ガバッ」っていう効果音が相応しく、ボクは勢い良く体を起こした。

『あれ、なに、なんで普通に寝てるんだ?どうやって帰ってきた?あれ。あれ。』

ちょっとしたパニック、ワニワニパニック。泡吹きそうな感じのパニックから、
ボクはふと思い出す。

『あ、頬、昨日の傷。』

恐る恐る、ボクは、ボクの頬に、触ってみる。
。。。みる。みる?ん?あれ、

『痛くなーい』

どこかのシェーバーのCMに出ている外人さんみたいな感じで頬を触る。
うん、痛くない。っていうか、キズらしきものが。。。
すぐさま脱衣所の鏡に向かい、鏡に向き合う。

『キズ、なーい』

まだパニクッているのか、かなり寒い状態ながら、そんなことは無視して頬を確認。
うん、傷なし、血の跡もなし。
お、お、これはホンとに、夢?なんじゃないの~

って、希望感満載に再び布団に戻ったボクに、容赦ない現実が待っていたのでありました。

ハイ、布団、血でべっとり。


・・
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・・・へ?

『なんじゃこりゃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

たっぷり点線13行プラスαの後に、ボクはこれまでの人生で一番の発声の良い松田優作のものまねをしていました。


『しゃれにならん。。』

そして、次に口から漏れた言葉が、あせりの言葉でした。
確かに焦っていましたし、洒落にならんですね。
発している言葉がすべてひらがなになっているし。

『さて、状況整理ですな。』

漢字になった言葉を口にでも出さないと到底、冷静になんかなれない。
なんて、冷静でもなんでもないんですが。。体震えているし、血は怖いし、貧血で倒れそうだし。

『ふぃ~、しかし、今日が休みでホンによかったよ。』

ピンポーン!

はて、珍しい。めったに鳴らない家のインターホンがなりましたよ。こんな時に。

いつも通りにインターホンの画面をみてみると、そこには配達員を装っているようなねずみ色のTシャツと帽子を被って顔は不機嫌な顔を横に向いた女の子がいた。
そんでもって、その顔はよ~く覚えている顔でもあった。
。。。嫌な汗が出てきた。
とりあえず声をかける。

『どちら様でしょうか~?』

すると、これ以上ないくらいの、
『すんまへ~ん、配達で~す。』
不機嫌で投げやりな声が返ってきた。

こっちがしばらく黙っていると、
『あ、間違えた。すんまへんねぇ、ナルサワ え~と、タイキさんいますか~?』

。。。。
『いえ、いません。』ブツ

ふい~、いやいや、しょうがない。だって、ボクの名前は『ダイキ』だしね。『タイキ』はいないも
「ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴぴぴぴぴぴぴんぽーん!」
んって、『うるせぇ!!』

と、こちらがキレてインターホンのボタンを押しながら叫ぶと、すかさずの『なに舐めたこといってんやぁ!!!お前だろ!あんただろ!!舐めたこと言っていると』ブツ

ふぃ~、やだやだ、これはしょうがない。だって、怖いんだもん。居留守居留守。「ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ぴんぽーん!ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン『こりゃぁ!ドア壊すぞ !舐めんなこのインポ野郎!!」

。。。ガクガクガクガク。。やくざだよぉ。怖いよぉ( p_q)シクシク

って、玄関の前まできやがった。くそぉ、役立たずオートロックがぁ。。。

いまだにインターホンと罵倒とドアを蹴っている音がしているので、隣の方々にも迷惑がかかる。ので、しょうがなく玄関を開ける(もちろんチェーン付けて)と、

(バキィィン)へ?

『たくぅ、さっさと開けなさいよねぇ。せっかく迷惑かけないように変装してまで来てやったのに。。。。殺すわよ。(ニコ)』

と、ドアを開けながら(もちろんチェーンを引きちぎりながら)配達員を装った女の子は笑って言った。


この時からボクの世界は、一変した。

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