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本との遭遇覚書・虹いろ図書館

図書館が舞台の物語は、それだけで手に取りたくなります。図書館は本屋とは別の魅力と機能があり、それを活かした物語に遭遇すると嬉しくなります。

「虹いろ図書館」のシリーズもそんな物語のひとつです。
様々な背景や境遇を持った子が、この図書館に来て司書のイヌガミさんと出会い、自分の居場所や進みたい道を見つけていく。イヌガミさんの子どもたちとの距離感が実に心地よく胸に響くのです。

そんなシリーズの最新刊が出たのです。
『虹いろ図書館 司書先輩と見習いのぼく』(櫻井とりお)と遭遇。
まさかの新人イヌガミさん。イヌガミさんはこうしてあのイヌガミさんになったのかと感慨深いです。
図書館職員のお仕事小説でもあり、前作との違いにはじめ戸惑いましたが、読み進めると確かにおなじみの「虹いろ図書館」なんですね。
前作までは謂わば児童書のフォーマットで書かれ、子どもたちの視点で描かれていたものが、今回は子どもたちを受け容れる大人側の視点で描かれる。(イヌガミさんはまだ18歳ですが)
逆の視点で「虹いろ図書館」の図書館としての意義が伝えられることで、魅力がより強調されるのでしょう。
そのことにより、子どもたちに「あなたたちを守ろうとする大人がいるんだよ」と伝えることになるのではないでしょうか。だから書かれ方が変わったとしてもこれは児童書としても読まれるものなのでしょう。子どもたちへのメッセージなのでしょう。
希望を伝えること。それが児童書の役割のひとつだと思っています。この本を読むことで胸に希望が芽生えるといいなと願うのです。

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