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本との遭遇覚書・大人のファンタジー読本

古本屋というのは、日々本が動いている場所です。やって来ては旅立つ。その繰り返し。
何度もやって来ては、何度も旅立つ。そんな本もあります。同じ本という訳でなく、同じタイトルの本ですね。

そんな本の1冊。
『大人のファンタジー読本 未知なる扉をひらく180選』(やまねこ翻訳クラブ・編)と遭遇。
子どもの本を愛する人たちの集まり「やまねこ翻訳クラブ」が紹介する大人にとって面白いファンタジー。古典児童文学から現代小説まで、翻訳ものも日本のものも幅広く取り上げられています。
パラパラとページをめくって目に入るタイトルを眺めているだけでも胸が踊る。簡潔な紹介文からは、この作品が好きなんだという想いが伝わる。そんな素敵なブックガイド。
これが店に来るたびに、すぐ旅立つのです。

大吉堂は「10代の心(実年齢問わず)を刺激する本」を扱っています。実際に店を利用されるのは現役の10代でなく、かつて10代だった人たちが多いです。
そんな人たちに、児童書などを「大人にとって面白いファンタジー」として紹介しますよという本のコンセプトがピタリと合うのかも知れません。
10代向けの本を読む大人の心境は様々です。そんな心境に寄り添ってくれるのかも知れません。
大吉堂もそんな店でありたいと願うので、やって来ては旅立つたびに嬉しくなるのです。

『カーテンコールが鳴る前に。』(ハセガワケイスケ)読了。
空気に飲み込まれることから逃避した少女は、青春を取り戻すため演劇部オーデションを受ける。
落選組4人が学園祭に向けて演劇に取り組む。挫折を乗り越えたい気持ち。変わらないけど進んでいる。そしてスタートラインへとたどり着く。
何かに取り組む少女たちの青春。いわゆるラノベ的展開やキャラクター設定は控えめです。そこが僕の好みと合っていたのですね。決して「ラノベ的」なものが苦手だとかそういう意味でなく。
始まりの物語でもあるでしょう。だから作中のあれやこれやの真意や真相が明らかにされていません。続きを意識して書かれたのかも知れませんが、これだけでひとつまとまるのもありじゃないかなとも思うのです。

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