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【スヤマ】 第一章②

ブー・・・ブロロロ・・・・
ガヤガヤ・・・・

テクテクテク・・・


『無事に解決できるかわかんないよ?』

『うんいいよ。
あたしの命、あなたに預ける!』

『・・・わかった。
じゃあとりあえず出かけるから
ちょっと変装して?』

『変装?なんで?』

『それはキミが悪いトコから逃げ出してまだ間もないからでしょ!
見つかったらすぐ捕まっちゃうでしょ。』

『あそっか。
あと「キミ」じゃなくて「ユキ」ね。』

『うん。
で、これから行くのは「情報屋さん」。
この事務所開くのをサポートしてくれた人なんだけどさ、
まだ開業して間もないから
実質的に情報くれるのはそこしかないんだ。』

『情報屋?』

『うん。』

『え。もしかしてこの辺の?』

『うん。
え、まさか情報屋に知り合いいるの?』

『まっ、まっさかー!!!
あたしただの一般人だよ!?』

『そういえばバタバタしてキミのキャリア
まったく聞いてなかったね。』

『あっ・・・あー・・・それはまたおいおいね!
よし!じゃあ変装でき次第
その情報屋さんとこ出かけよう!
あとあたしの名前はユキね。』


テクテクテク・・・

『あそこの・・・』

『路地曲がった3軒目?』

『えっうんそう・・・
知り合い?』

『えっ・・・
まっまさかぁ!!!』

『あっそう。』
テクテクテク・・・

『えっちょっ・・・!
あっ・・・あぁぁ・・・ん!』

『ねぇちょっとヘンな声出さないでよ
周りに疑われる。』

『ゴメンあぁっ・・・でも・・・っ!』

コンコン

『あぁんっっ!!!!!』


ガチャ

『ようこそいらっしゃいましたスヤマくん。
おやそちらが今回の依頼ぬ・・・
おや?』

情報屋さんであり、わたしの命の恩人、
井川さん。(プロローグ参照)
パートナーのケンジさんと共に
事務所の立ち上げから携わってくれていて、
なおかつ初心者のわたしのサポートを
全てにおいてしてくれている。
本業に関してはわからないが・・・
あえて今詮索する必要もないと思っている。

『お知り合いですか?』

『・・・いえー。
よく似た女性は知っていますがねぇ。
・・・まさかこんな所にいるはずが
ないですからねぇ・・・・・。』

・・・ビクッ!

『・・・?
こちらの女性はユキさんといいまして・・・』

『ほぉ・・・ユキさん・・・・・。』

ビクビクッ!!

『捕らわれた友人を助けようと潜入した先が
ベスティア幹部の屋敷だったようで。
・・・「ガマ」という幹部をご存知ですか?』

『あぁ存じておりますよ?
この辺りを仕切る大幹部のひとりですねぇ。
管理能力は高いのですが、
ただひとつの弱点が、異常に絶大な性欲です。
まぁそれは、短所でもあり、長所でもあるのでしょうが、ねぇ・・・。』

『なるほど。
おおむねユキさんの証言とも一致してますね。』

『そして、ご依頼の調査内容は・・・・・』

『調査依頼というより、ご相談なんですが・・・』

『ほぉ。なんですか?』

『まず、ベスティアの幹部といえど、
管理ナンバーというものは持っているものなんですか?』

『はい。
戸籍を抹消されていない限りは、一様に。
おそらくは、奪い上げた一般人のナンバーとは別に、
厳重に保管されていると思っていいでしょうねぇ。』

『もしもそれを発見したとして、
そのナンバーを他の幹部に知られたとしたら・・・
どうなりますか?』

『まず大前提として
幹部同士での奪い合いは組織として禁止されていますが・・・
もしもそれが全くの第三者からの情報であった場合・・・
その晒された幹部の人間は、一瞬で地に落ちるでしょう。
一般人同士であればともかく、ベスティアには
その番号を解読し悪用できるシステムが各人に用意されているはずですから。
・・・しかし、よほどの恨みがない限りは
あまりお薦めするやり方ではないですねぇ。
まず、たとえ相手がどんな人間であれ、
他人を地に落とす行為であるということ。
そして、
おそらくは、
晒した人間の素性もあちら側に握られます。
それくらいは覚悟した方がいいですねぇ・・・。』

『・・・確かに。』

『諸刃の剣、ということですねぇ。
・・・気をつけてくださいねぇ・・・
ユキさん。』

ビクンッ!!!!!

続く→

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