国内と海外は大違い!?インド、スリランカ工場立ち上げプロジェクトの舞台裏
連載企画「ダイキアクシスグループ海外工場立ち上げ・運営の裏側に迫る!」
2022年に新しく建設されたインド工場、スリランカ工場。異国での工場立ち上げは過去、国内工場立ち上げに携わったプロフェッショナルの活躍により実現しました。
今回はダイキアクシスの工場立ち上げのプロフェッショナル、田井さん、宇和川さんにお話しをお聞きしました。
予想と異なる展開に戸惑いながら、自らも学び柔軟に工場立ち上げを進めた
普段の担当業務
田井さん:インド工場の生産設備の検討 、生産工程、品質の不具合、クレームの対応と対策を行っています。
宇和川さん:スリランカとインドで製造指導をしています。工場のラインを作ったり、自分でやってみせて現地ワーカーを細かく指導する形ですね。
工場設立時の業務
田井さん:私は建物の中に入れる生産設備の選定、納入、メンテナンスを行っていました。
インドで設備を選定するときは日本の工場と比較してどれくらいの物が必要になるかを考えて検討しました。それをまとめてリスト化して予算申請をして…という形ですね。
必要な設備をいかに早く具体化して発注出来るかと言うことを意識して業務をしていました。
また実際に納品された設備を検収する際は、例えば5トンの物が吊れるクレーンを導入したら、実際に5トンあるものを吊ってみて問題ないかチェックしたりしましたね。
特に既製品ではない鉄工所などに作ってもらう製作物は図面から必要なので、インドネシアの設計部隊や部署のメンバーに協力してもらい、型も入れたら100枚以上は作成しました。
ちなみに図面も細かく書くとキリが無いので、必要最低限「こういうものですよ」という事を書いて持っていったらインドの人は「OK!OK!」と言うんですよ。
だから良いかなと思って任せたら全然違うものが出てきて(笑)
宇和川さん:ありがちですね(笑)
田井さん:で、結局英語が堪能なスタッフに細かい所を説明してもらう事になってしまって。私が「これくらいで良いかな」でやってしまうと、後で2倍、3倍手間かかってしまうという事を学びましたね。
宇和川さん:私はスリランカ、インド工場どちらにも携わり、浄化槽製造ラインの早期立ち上げと作業員への指導を行いました。
スリランカの場合、製造する道具はほぼ日本から持ってきたのでその準備や、手順書の整理などですね。
インドは田井さんのお手伝いで行ったんですが製造準備と言うか…生産設備の設置とかが間に合っていなかったり、配管工事が遅れてたりしてたので、実際にそれの作業を手伝っていました。
工場建設が終わった後の従業員の指導で言うとスリランカは比較的楽でしたね。日本語が分かる従業員の方がいるので日本語で説明したものを訳してもらって。
でもやって見せないと分からない所もあるので私が実際にやって一緒に作業して貰って学んでもらいました。
それはインドでもそうですね。
けど中々指示通りやってくれないので付きっきりで教えたり、相手がどこまで分かっているか分からないので、聞かれた事に答えたりという感じですね。
製品初出荷の時は胸をなでおろした
苦労したこと
田井さん:価格の交渉は英語が堪能なスタッフにやっていただいたのですが、ゼネコンもサブコンも日本の企業では無く現地の業者なので、膨大な仕事量があったと思います。その上で支払い依頼などもやられていたので、本当に大変だったと思います。
インドネシア工場の時と比べると今回のインドの方が断然ハードだったと思います。
インドネシアはゼネコンもサブコンも日本の企業でしたし、元々ベースの会社があった工場の新築移転みたいなものでしたので。
しかし今回は初めてだらけの事だったので、やはりハードだったと思いますね。
あとは物を手配しようと思っても近くに工場が無くて、型の修正をチェックしに行くだけで一日仕事になってしまうんですよね。
宇和川さん:スリランカも同じですね。片道40分かけてコロンボに買いに行ってます。近くで買うと値段が高いんですよ。
やりがいを感じたこと
宇和川さん:浄化槽製造だけでなく、浄化槽の仕組みを現地で指導出来る点です。
恐らく現地の人たちは何を作っているのかも分かっていない可能性もあって。「これをやって」と言われているからやっているというか。
なので、浄化槽のここではこのように綺麗にして、ここではこのように綺麗になってというような形で教えています。
田井さん:私は製品が工場からラインオフ(完成)した時に感動した…と言いたいのですが、インド工場の場合は感動出来ませんでした…。思っていたものよりも形が悪かったので…。
「ありゃま」って言うのが正直な所でしたね…。
ほぼ100%インドで揃えた設備で0から作った製品なので、そういう意味ではもっと感動が得られるかなと思ったのですが、出来上がったものを見て「これはいかん!」と思ったのが正直なところですね。
もちろん作り方が違うという事もあるのですが、製品全体の見栄えが日本やインドネシアの製品と比べるとイメージと違ったので、順次その辺りを改善して良くしていって貰いました。
2023年の2月に初出荷された製品は「これだったら大丈夫」という製品になっていたので、胸をなで下ろしたという感じですね。
宇和川さん:あれはいけてましたね!一号機は本当にちょっと問題がありましたけどね(笑)
田井さん:あれはトライアルですから(笑)
けど初出荷された時は「ああ良かったなあ」と素直に思いましたね。
今後もっと早く、安く、良いものを作っていかないといけないとなと思っています。
今後の意気込み
宇和川さん:今後も小型・中型・大型浄化槽の新規工場の立ち上げに関わっていければと思います。
より良いものをより納期のかからないものを作りたいですね。
田井さん:今後は中長期計画を達成できるように設備の増強、メンテナンスを行い、より良い品質とローコストな製品作りに注力していきたいと思います。また、もっと製品の品質を高める努力が必要だと感じています。
実は宇和川さんと昔から一緒にこのような工場立ち上げをやらせていただいていて、国内で言うと信州工場も宇和川さんと私で一緒にやったんですよ。
個人的に形の無い所から物が作りあがっていくって面白いんですよ。モノづくり自体が好きなので、あるものを与えられて「こういうものを作って」と言われるより、自分で「こういうものを使ってこういうものを作れたら良いよね」という方が楽しさがあります。
なので新しい工場の設立の話があれば、ぜひやらせていただきたいなと思っています。