羨望とスニーカー : 物語の種 #05
その日は久しぶりの晴天だった。体の芯まで冷える日々は変わらないけれど、それでも、こんな日はなんだか気持ちも暖かく感じる。
公園で走り回る子供たちを見て、なぜかスニーカーにしなかったことを少し後悔した。
イヤホンから流れる音楽を口ずさむ、「あなたに会いたくて、会いたくて」。とても自分は言えないであろうその言葉に、言える人を羨ましく思う。
最後に付き合った彼は、花を愛でるような眼差しで、風が吹けば消えてしまいそうな優しさで、好きの二文字を大切に扱う人だった − - -
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