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正しい期待・その②

幼少期の子へ期待することば

幼少期の子どもにはまずその存在を喜んであげてください。
「来たの?」「よく来たね」「やったの?」「よくやったね」と。
あなたがいるから私たちは嬉しい気持ちになる、ということを暗に伝えるのです。子どもは「存在する」ことが仕事であり、役割です。役割を確認できた子は自信になります。期待に応えようと、ますますがんばるでしょう。

かつて私の祖母は、孫の訪問に「よく来たね」と喜んでくれました。
昔の人はよくそう言ってくれたものです。
そう言ってくれた人を子どもは好きになります。人を好きになると好奇心や関心が高まり、活動にも意欲が生じます。それはやがて忍耐力につながっていくでしょう。

この時期の子に接する大人は、子どもがそこにいるだけで喜んであげられる大人でいましょう。子どもだけではなく、誰かが来たら「よく来たね」と言ってあげられると良いですね。
幼少期に与えるべき「期待」をすっ飛ばさないでください。
「言うことを聞いてほしい」「良い結果を出してほしい」「これをやってほしい」「あれはやらないでほしい」と、こちらの都合で迫らないように。
将来、自分の存在価値を自分で疑問視する人間にさせてしまわぬように。

小学校時代

小学校に入ると、集団への参加が本格化します。言われたとおりに通い、学び、そして遊び始めます。そんな時期にさしかかる子にかけるべき「期待」とは何でしょうか。

子どもがなぜ小学校に入学すべきなのか、考えたことはありますか?
深く考えずに学校に通うタイプの子の場合、家庭では「通う理由」についてそれほど話題にならないまま進級・進学していくことになりますが、それで良いという訳ではありません。

近年、小中高、専門校や大学、社会人も含め、どこかのタイミングで学校や職場と自分との距離感に悩む子(人)が増え続けています。大きな挫折を経験した社会人、学校に行く意味を見出せなくなった親子などが、私の元に来やってきます。

なぜ行くのか?
これを上手に説明できれば、ほとんど「正しく期待した」ことになります。

大人は子どもに説明してあげてください。
子どもに学校に行ってほしい理由、行ってほしくない理由を。
一般論よりも、お父さんの思い、お母さんの思いをそれぞれ率直に言葉にすると良いでしょう。正直な思いは説得力となり子どもに伝わります。子どもは最も近くにいる大人の教えを最初の動機とし、それを頼りに行動し始めるでしょう。
学校へ行くことがすべての子に最善だとは思いませんが、どんな選択・決断であれ、楽しみと我慢の混在する習慣を通じ、子どもは一定のバランス感覚を身につけます。

このやりとりが十分でないまま学校に通い始めた子はどうでしょうか。毎日の「いってらっしゃい」が苦痛になり始める子も出てしまうでしょう。
早い段階でその兆候が見られた場合、私の関わるケースでは、子どもを学校に行かせたい理由を親御さんに見つけ直す作業に戻ってもらうことになります。取ってつけた内容では子どもの意欲を後押しすることはできません。

うまく説明できない場合は、「ごめんね、世の中がそういうことになっており、私たちはそれをうまく説明できずに迷っている」と、正直に伝えるほうが良いでしょう。親御さんと相談を重ね、家族としてのポリシー(目標や根拠)を形成してもらう作業を続けます。

学校に通わない選択(通わせない選択)をした子はどうでしょうか。
本人の抵抗から始まり、親御さんなりに考えを固めてそうなったケースもたくさんありました。
親子がきちんと合意できていれば、本人は自分が学校に行かない理由(決断の根拠)を明確にわかっており、代わりの学びに取り掛かっています。
親子で考えが固まっていなければ、その作業に戻ることになります。

低学年の子への期待と評価
この時期の子どもは、親子で決めた方向性に従って行動しています。親御さんは、子のそんな姿を見て感心し、苦労をねぎらい、その努力を喜んであげてください。習慣化していることをスルーしたりせず、定期的に言葉で確認し合ってください。
「あなたはできている、期待通りだよ」と。
「すごいね、ごくろうさん、うれしいよ、ありがとう」と。

これをやらずに別の課題に急いではいけません。子どもに対して「あなたのためだから」という言葉で迫ってしまう場面をときどき見かけます。
子どもが努力するのは「子ども自身のため」だけではありません。
みんなで決めたことなのですから!
(お父さんは、あなたの仕事はあなたのためだからと言われたら…?)
(お母さんも、あなたの家事はあなたのためだからと言われたら…?)
(子どもも、あなたのためと言われたら、疎外感で苦しむかも…)

高学年の子には
高学年になると、自分で考え、行動し、結果を受け止める、という連続的な行動をたくさん経験するようになります。それを評価し、労い、喜んであげると良いでしょう。

この時期、他人とは異なる個性が強く表れ、その子のキャラクターが形成されます。単に長所や短所を指摘してごまかしたりせず、その「個性」を言葉にして本人に教えてあげてください。

子どもは大人から学ばない限り、自己理解が進みません。人は自分の力だけで自己を客観的に把握するのは難しく、他人から受けた評価や意見を取り込みつつ、選り分けながら自分のものにしていくものです。
(※最近は、律義さ、正直さ、公平性、サービス精神、直感性、思いやりなどを強く示す子が増え、そのような言葉をたくさん教えてあげると自信になります)

その個性を大事にしなさい、と。
それは長所にも短所にもなり得る、と。
どちらも自分であることを知っておきなさい、と。
それを使って人のためになる方法を考えなさい、と。

人のためとは、誰かを喜ばせるもよし、手伝うもよし、気にかけてあげるもよし。その子なりの使い方を見つけ、それを自分で自分の長所といえるようにしてあげることです。
以上が、自己に関心を持ち始めるこの時期の子への正しい期待のかけ方です。

だいぶ長くなってしまったので、中学や高校についてはシリーズ・その③を設定することにします。
ではまた。

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