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【復習用メモ】自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義

■動画
https://youtu.be/y7LJYEbbFHU

■私たちは世界を自分だけの視点で解釈している。
心理学には「パーソナル・コンストラクト(個人的構成概念)理論」というものがある。
「人にはそれぞれ独自の評価基準があり、それによって物事を予測したり、自分や他者を解釈したりしている」という理論。
言い換えると、他人をどう解釈しているかについては、「 自分自身 をどう解釈しているか」が大きく影響している。
■独自の評価基準から、科学的に信頼できる評価基準へ
独自の評価基準で物事を予測したり、自分や他人を解釈することで私たちは行き詰まってしまう。独自の評価基準の代わりに、科学的に信頼できる評価基準・尺度(パーソナリティ心理学)を用いることは、自分だけの視点から離れ、本当の自分、本当の他人、本当の世界を解釈することに近づく。
■パーソナリティ心理学のルーツ。学問として確立されたのは1930年代
・紀元前4世紀
古代ギリシャの哲学・医術理論。有力だったのが、身体の体液を基本とする「四体液説」と呼ばれる理論だった。
・20世紀初頭
次に台頭したのは「人間は無意識の衝動に突き動かされている」という、ジークムント・フロイトやカール・ユングなどが提唱した理論。現代のパーソナリティ心理学ではこちらの研究はあまり重視されず。
・20 世紀中盤
カール・ロジャーズやアブラハム・マズローなどによる人間性心理学がパーソナリティ理論の潮流として台頭。人間性心理学は、人間が持っているポジティブな側面に注目。今日では、こうした人間のポジティブな側面に注目する研究は、主として「ポジティブ心理学」の分野になっている。

■現代のパーソナリティ心理学は4つの主要な分野で進歩
進歩①
遺伝的要素が、パーソナリティにどのように影響するかがわかってきた
進歩②
環境が個人のパーソナリティに及ぼす影響がわかってきた。
進歩③
個人の動機とパーソナリティの関係について調査が進んだ。
進歩④
人間のポジティブな側面に注目するようになった。(これまでは、精神病理学に重点)
■ビック5モデル
現代のパーソナリティの科学における研究分野の中で、もっとも影響力のあるのが「主要五因子(ビッグファイブ)モデル」
五つの要因は、①誠実性、開放性、外向性、②協調性、③情緒安定性
これらの因子には、約5割の割合で遺伝的な要素が関係していることがわかっている。
■①誠実性因子の特徴
・「誠実性」のスコアが高い人の特性
「計画性がある」「規律正しい」「注意深い」「忍耐強い」「賢明」「非衝動的」
・「誠実性」のスコアが低い人の特性
「無秩序」「自発的」「不注意」「軽率」「衝動的」

・誠実性の高さは、勉強、仕事、健康に好影響をもたらし、その結果幸福度を押し上げていることが多くの研究でわかっている。
例えばある大学生の成績を予測するとしたら、彼の高校時代の成績を見るよりも、誠実性を見たほうが正確に予測できるという研究がある。
・誠実性の高さは実に多様な職業で、成功や目標達成と深く結びついている。
・誠実性が高い人は、生涯を通じて健康にいい習慣(歯磨き、運動など)を保つ傾向がある。

・誠実性が高いことのデメリット
変化が激しく混沌とした環境が苦手。
このような環境では、誠実性が高くない人の方が、突然の変化に対応できる。
■②協調性因子の特徴
・「協調性」のスコアが高い人の特性
「感じがいい」「協力的」「友好的」「支援的」「同情的」

・「協調性」のスコアが低い人の特性
「皮肉屋」「対立的」「非友好的」「意地が悪い」

・協調性は社会的に望ましいパーソナリティ特性であるとみなされている。
特に、他者と協力する必要がある場合は協調性が高い方が望ましい。

・人間が人の第一印象を判断するときにもっとも重視するのは、協調性。
初対面の相手の協調性を素早く観察しようとする私たちの習性は、人類の長い進化の過程で培われたという説がある。

・協調性は、誠実性とは異なり、成功との関連性は高くない。
他の因子と比較しても、組織内での成功と一番関連性が低いのが協調性。
給与を指標にした場合、協調性が高いことは、むしろ職業人としてのパフォーマンスを低下させるという研究結果すらある。

・しかし、環境に着目してみると、一概にはいえない。
たとえば、重要な顧客と友好な関係を築くことが求められるアカウントマネージャーをのような職種では、協調性が高い方が活躍する。
協調性とパフォーマンスの関係を考えるには、文脈やタイミングも考慮すべき。「協調性は高すぎても低すぎてもパフォーマンスは低くなり、最適なパフォーマンスをもたらすのは、協調性が中程度のときである」と考えたほうがよさそう。

・協調性の低い人には、外向性が高い人と同じく、自己主張が強いという特徴がある。
自己主張の強さは、目標達成には効果的ですが、その分、人間関係をぎくしゃくさせることがある。職場においては、部下は、自己主張が強すぎたり弱すぎたりする上司を低く評価し、適度に自己主張する上司を高く評価する。

・協調性の低い人は、重要な物事とそうでないものを区別する能力が低い。
一方、外向性が高い人はこの能力に優れている。


・一般的に、協調性が高い人のほうが幸福感を味わっている。
協調性が低い人は、周りと協調していないときに幸福感を覚えやすい。
■③情緒安定性因子の特徴
・情緒安定性はパーソナリティ特性のなかでも大きな研究対象であり、幸福とさまざまな面で結びついていることも指摘されている。
情緒安定性が低い人は主観的な幸福度が低く、ネガティブな感情を抱きやすい。
具体的には、結婚や対人関係で問題が生じやすく、仕事の満足度が低く、健康状態があまりよくない傾向がある。

・情緒安定性の低さは、ネガティブな物事に対する感度に大きく関連している。
この感度は神経学的にも説明できる。
情緒安定性が低い人は、危険を察知する脳の器官である「扁桃体」が過敏であることがわかっている。
情緒安定性が低い人は、他の人なら見過ごしてしまうような小さな危険の兆候を察知し、それについて熟考する能力に優れている。
しかし、身の回りに危険はないかといつも警戒しているために、慢性的に強いストレスを感じており、免疫系の疾患に罹りやすい。
動物に襲われる危険性があった昔は重宝された能力だが、現代ではデメリットの方が大きい。
■④開放性因子の特徴
・「開放性」のスコアが高い人の特性
「好奇心旺盛」「冒険的」「哲学的」「権力に対して挑戦的」−芸術や文化に強い興味を示し、エキゾチックな味わいや匂いを好み、世界を複雑なものとしてとらえている。

・「開放性」のスコアが低い人の特性

・「否チャレンジ」、「行動力低い」、エキゾチックな誘惑にも魅力を感じない。

・開放性は、新しい考えや人間関係、環境をどの程度受け入れるかを表すものでクリエイティビティと深く結びついている。

・開放性が高い人は、情緒安定性が低い人と同じく、不安や抑うつ、敵意などのネガティブな感情を多く体験する。

・情緒安定性が低い人とは異なり、喜びや驚きなどのポジティブな感情も多く経験する。

・開放性は、特に遺伝的要因が高いと言われている。

・開放性の高さは、新しさが評価される職業での成功と、関連があることがわかっている。
■⑤外向性因子の特徴
⑤外向性因子の特徴
・「外向性」のスコアが高い人の特性
「精力的」「強い自己主張」「陽気」「刺激を求める」「付き合い上手」

・「外向性」のスコアが低い人の特性
「のんびり」「控え目」「険しい」「平穏を求める」「遠慮がち」「独立心が強い」

・情緒安定性と同様、外向性は研究対象になることがもっとも多いパーソナリティ特性である。

・外向性も遺伝的な要素によって決まる割合が高いことが知られている。
生理学的には、外向型──内向型の違いは、脳の 新皮質 の特定領域における覚醒レベルの違いだと考えられている。
外向型は普段の覚醒レベルが低く、内向型は普段の覚醒レベルが高いことがわかっている。
人間は覚醒レベルを最適に保つ必要があるので、外向型は覚醒レベルを上げようとし、内向型は下げようとする。
普段から覚醒レベルが高い内向型は、最適なレベルを維持するために、刺激的な状況を避けようとする。そのため、周りからは人づきあいが悪いと誤解される。
逆に、もともとの覚醒レベルが低い外向型は、刺激的な状況を好む。

・ビッグファイブにおけるパーソナリティ特性の次元は、特定のタイプかどうか割り切る「タイプ分け的」なものではなく、「連続的」な尺度で測定されるので、ほとんどの人は中間レベルのスコアになる。
真ん中の場合は、「両向型」と呼ばれる。
組織心理学者のアダム・グラントによれば、「販売の仕事には外向型が向いている」という通説に反し、両向型は外向型や内向型よりも販売における成績が良いということを明らかにしている。

・また、作業における「質か量か」のアプローチの違いもある。
「速度を上げれば多くの仕事をこなせるがミスは増え、速度を落とせば達成量は減るがミスがない」というトレードオフにおいて、外向型はスピードを、内向型は質を優先させる傾向がある。

・外向性──内向性は、それぞれのモチベーションを理解するのにも役立つ。
外向型の人は、「報酬」を知らせる合図に敏感、
一方、内向型の人のモチベーションは、報酬の合図を察知してもあまり上がらない。
内向型の人、さらに情緒安定性が低い場合はとくに、報酬ではなく「罰」の合図に敏感。
■5つのパラメーターはどのように形成されているのか
・人間の行動を動機付ける要因は、三つあると言われている。

①「遺伝的動機」
・これは現在パーソナリティ神経科学の分野で急速に研究が進んでいる分野。
・遺伝的動機は、生まれ持った気質から生じる。
・その違いは、新生児のときから見られる。
・近くで大きな音を立てると、音の方に近づこうとする新生児と、音から遠ざかろうとする新生児がいる。
・大人になったとき、刺激に惹きつけられる新生児は外向型に、刺激を嫌がる新生児は内向型になることがわかっている。
・五つのタイプのパーソナリティ特性にはどれも、このような生物学的な要因が影響している。
・たとえば協調性が高い人は、オキシトシンのレベルが高いことがわかっている。
②「社会的動機」
・私たちは生涯を通じて、さまざまな状況下での「社会的に適切な振る舞い」を繰り返し学習し、自然にその場に応じた適切な行動をとるよう学ぶ。
・例えば、外向的──内向的な行動スタイルも、生物学的なものだけではなく、社会的な要因によっても強く影響されている。
・たとえばアメリカでは、外向型が高く評価され、対照的に、内向型に価値を置く文化もある。
・アジア諸国の中には、子どもに対して、周囲に合わせて目立たないように振る舞うことを促す文化もある。
・同じような文化的違いは、協調性や誠実性などにも見られる。
・おかしなことがあれば文句を言うことが当然と見なされている文化もあれば、ちょっとばかり不条理なことがあっても黙っておとなしく振る舞うことがよしとされる文化もある。
③「個人的動機」 
・これは、生活の中で追求している計画や目標(パーソナル・プロジェクト)と深く関連する、その人固有の動機。
・パーソナル・プロジェクトとは、私たちが日常生活で取り組んでいるさまざまなプロジェクトのことで、木曜の朝に犬の散歩をするといった些細なものから、人生最大の夢といったものまで実にさまざま。
・遺伝的動機は生まれもった自然な行動を、社会的動機は社会の規範に従った行動を導くと言える。
・しかし、個人的動機が導く行動は、傍目にはその理由がわからない。
・内向型の人が、パーティで外向型のように振る舞うことがあったり、普段はピリピリしている人が、休暇中だけは、家族でも驚くほど優しくなる理由は個人的動機によるもの。
・性格は、変化するパーソナリティの一面である「自由特性」を持つ。
・多種多様な個人的な動機があるが、「プロフェッショナリズム」や「愛情」で、人は自由に性格を変化させられる。
■性格に合った自然な行動とは
私たちの日々の行動を導く三つの動機(遺伝的動機、社会的動機、個人的動機)について考えるとき、「自然な行動」とはいったい何なのか。

・遺伝的な気質に基づく行動は、文字通り自然な行動だと見なせる。
生まれ持ったパーソナリティが環境に合っていれば、幸福度も高まると言われている
例えば、協調性が高い人が協調性が求められるプロジェクトに従事している場合において、強く幸福を感じることがわかっている。
遺伝的な気質と社会的な環境が一致すると、ストレスが少なくよりよい結果につながることは確か。

・それでは、プロフェッショナリズムや愛で態度を変えるのは、「不自然」なのか?
"これらは、「幸福」のために私たちが自ら選択して行動している成熟した人間の姿なのだ" byリトル





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