見出し画像

苦髪楽爪

高2くらいの時だったか。四国の海沿いにあるクソ忙しい飲食店でバイトしてる時に考えていた。

「苦髪楽爪の由来ってなに…?」

あの時はたぶんお盆だった。朝の8時に起きて、ジャンプを読みながら無理やり目玉焼きとソーセージを流し込む。すでに窓の外にできてる長蛇の列を見ては、こんなクソ暑い時にあいつらハマチ如き食うために並ぶのか…と同級生と悪態ついていたのを覚えている。

食洗機に延々と食器を入れながらどうでもいいことを考える。何日も経つと考えることのパターンが決まってくる。何を買おうか。帰ったら何をしようか。久しぶりに親に何か買ってあげようか(ここで働いてたら謎に親孝行がしたくなる)などなど。そしたら何故かその時は、その考え事に「苦髪楽爪の由来」が突然入ってきたのだ。

苦労していたら髪が早く伸びて、楽をしていたら爪が早く伸びる。

そんなの変化するわけないのに、なんでそんな四字熟語があるんだろう。

なんだかんだこのことについて2週間は考えていた気がする。

たしかにここでたくさん働いてると髪が早く伸びる気がするなぁ。もしかしたらワカメたくさん食べるからかもなぁ。とかとか。

何日も考えていたらだんだん言い始めた人の心理がわかってくる。

たぶん髪と爪に深い意味はない。

重要なのはどれだけ伸びたかを認識するスパンなのでは?

つまり、苦労してる人、忙しい人は、頻繁に爪の長さをチェックする時間なんてない。ふと気づいたら髪がこんな伸びてる!っていう生活を送ってるはずだ。

逆に暇人は爪の長さ程度のどうでもいいことを頻繁に確認できる時間がある。だからまた伸びたなぁとスピードの速さを実感するのだろう。

苦労してたらしてない人より髪が伸びるスピードが上がることはありえない。爪も一緒。伸びを確認する時間があるか無いかがこの四字熟語の真理なのでは。

食洗機を流しながらこの結論を導き出した時、舞い上がりそうだった。

たしかにその店に行くといつも髪がめちゃくちゃ伸びる気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?