エッセイの話

エッセイを書かせていただくことになった。

仲良くさせていただいている”3000円ワインの民│ますたや”さんが企画しているエッセイアンソロジー (3000winemasutaya.wixsite.com) だ。ワインに関する楽しみ方を諸々模索している方で、ポッドキャストやnoteも精力的に行っているので尊敬の念に堪えない。ワインの仕事してるんだからお前ももうちょい頑張れよ!という突っ込みはしないように。

ちょっと前に文才のある方から文章を(お世辞込みで)褒められたこともありちょっと調子に乗ってしまった、書いてみたーい!といって書かせていただくことになり、その日のうちになんとなく書き始めた。1500字くらいの短いものをその日のうちに書いてみたもののなんとなくしっくりこない。だって書いたことないんだもの当たり前の話なのだけれど気分だけはすっかり文豪気分で(むぅ、なんか構成が良くないのかもしれない。。)とか(ここの言い回しはこうしたほうが良いのか?)などと100点満点中2点の内容を2.5点にしてみたり1点にしてみたりとゴチョゴチョイジっては消し、以前に誰かから聞いた「クリエイトは自分のため、観衆のため、特定の誰かのための3つを造ったのちに誰に向けたいかを考えて残りの2つを捨てるのだ」という言葉を思い出して誰に向けているのかわかってないくせに「そうだ!あとふたつ書き上げなければ!」と貧相な脳みそを捻って思いつく限りの2本を書いてみて3本並べて考えて、1本捨てて残りの2本からもうちょっと膨らましたいほうを採ってちょこちょこと自分で校正してみたりしながらとりあえず完成させた。

何人かに見ていただいたりしながらお世辞100%のお褒めの言葉もいただき原稿を送ったけれど、ここで自身のどケチ根性といいますか貧乏性と言いますか、(結局書いた文章、もったいないなぁ…)という気持ちが沸々と湧いてきてしまった、多分わたしの守護霊はもったいないお化けだと思う。

ということで以下にボツ原稿を置いておきます。


ワイン選びは三井淳平に学ぶべきである

 レゴブロックを知っているだろうか。
 色々な形の小さなブロックを組み合わせて自動車、お家、お城や恐竜、多岐にわたる形状を作り上げては崩し、また新しい形を作り上げる、子供のころに皆いちどは辿ったオモチャではなかろうかと思う。
 近年(もう20年近く前くらいからだけど)は東大レゴ部をはじめとして大人が楽しむものとしても人気が高い、東大レゴ部が作成した作品はもはや芸術としか言いようがないほど立派な制作物だったりする。
 その東大レゴ部を創設し、日本人初のレゴ認定プロビルダーに認定されたのが、タイトルにある三井淳平氏。
 以前、何のタイミングだったかは全く忘れたのだが彼にインタビューした記事を見たことがあり、その記事をうっすら覚えている。
 最初は説明書通りに作成し、慣れてきた後は解体したブロックで飛行機だか貨物船だかを自分で考えて作成し、その後はディティールにこだわって立体的に作り始めた、その時には強度が足りなくなってそのバランスに苦労した、多分そういった内容だったように思う(間違えてたらごめんなさい)。
 これは個人的な見解としてワインを楽しむルートに似ている気がしている、ワインだけではなく多岐にわたる趣味に通ずる楽しみ方の基本なのかもしれないけれどこの場はワインに関するエッセイの場なのでワインに限定した書き方にされたい
 まずは基本的なワインと料理の合わせ方(マリアージュ)を教科書通りの合わせ方で楽しんでみる。白ワインと魚料理だとか、肉料理に赤ワインなどなど。このあたりは多分ワインに対するお手本としてどんな本にも書かれていたりするだろうしなんなら結構常識的な話としてワインを飲まない人でも知っている情報かもしれない。
 ある程度飲み慣れてくると今度は色々試してみたくなってくる、白ワインはどの程度許容してくれるのか、例えば3Cの法則(Color、Country、Contrast)の色合いで、白ワインと鶏くらいなら合うのかな?とか赤ワインに赤身の魚はいけるのか?とか。赤ワインでもピノノワールだと魚もイケるな、でもカベルネだと臭くなるな、とか。
 そのあたりも熟知してくると今度はピンポイントでこの料理とこのワインを合わせるには?とか考えてみたりする。この赤ワイン、魚には合わないんだけど魚をこんな感じで調理してみたら合うんじゃあないのか?とか白だけどちょっと温度上げてみたらこんな料理に合うんじゃあないだろうか?細かなバランスを駆使して合わないと思われるマリアージュで合うポイントを探してみたりなど。
 できるだけわかり易く書こうと思ったので少し比喩力が貧弱だけれど、ワインを選ぶ、ということに対してのロードマップは、三井淳平氏がレゴブロックに対して向かい合ってきたやり方を辿ればかなりうまくいくんじゃあないだろうか。彼のインタビュー記事を読んだときにそう思ったことだけは強く覚えている。

 いろいろな物事で、傍から見れば全くの違うことのようにおもえるが抽象化すると実は共通する、という考え方が往々にしてあると思う。今回は初めてエッセイを書く、ということで切り口を作りたくて若干無理やり結び付けた感は否めないのだがそういうものを今後も探していければひとつの人生の楽しみになるのではないだろうか。わたしの場合はワインのお仕事なのでそこに繋がる楽しみ方をみつけていくのが生涯のテーマになりそうだ。

 幼少期、父親に連れていかれたレストランで初めてソムリエという職業を見たことを痛烈に覚えている、ハチャメチャにかっこよかった。あの原体験があったから多分だけれど今の仕事に行きついた気がしている。私自身はワインの卸売業に従事して15年、飲食業に従事していた期間も含めると30年ほどワインに触れあってきたのだけれど、三井淳平氏のレゴブロックに対する取り組みに学びながら、今後もお客様に対してワイン選びのブロックを積みあげていきたいと思う。そしてその積みあがったブロックを、なにかしらのカタチで誰かに伝えていくことができればいいなぁ。


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