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文学フリマ初参加で自分の作品集をはじめて作った話

前書き

文学フリマ大阪、行ってまいりました。とてもとても楽しかったです。参加しているサークル「第九会議室」の冊子と私の個人冊子がセットでそれなりに売れて、テンション上がりました。ありがとうございました。

ニーズがある気がするので、私が個人の作品集を作った経緯を書いておきます。ど素人でワードしか使えない私でも、(イラストを描ける友達がいれば)、文庫サイズの個人作品集が作れたよ、というお話です。

作品集作成の動機

前の記事にもちらっと書いたのですが改めて。
文藝サークル「第九会議室」には9名から16作品集まり、私も文学フリマ大阪に出す創刊号のために2作品出しました。もともと1作のつもりが、締め切り当日になってもう1作品ねじ込んだものです。2作とも、公募に落ちたんだけど、いろんな方に読んでほしいな、と思っていたものでした。

「第九会議室」校正中に、文藝短編賞の結果が出ました。お若い方々が受賞されて、おお、となりましたが、私も出していました。通る気はしなかったので落ちても特にショックはなかったですが、個人的には今の私のベストかなと思うお気に入りの作品でした。落ちたんだしどこに載せてもいいんだから、いろんな方に読んで欲しいなと思いました。
さて、今「第九会議室」創刊号にこれをねじ込むのは、さすがに仕切ってるといえども手遅れでした。そこで少し考えたら、幸か不幸か、他に公募に落ちた作品が、ざっと考えただけで6つはありました。2年間応募しまくった結果でした。
そのうち4作品に絞ってみました。一番長く書いた188枚の作品も没にしました。純文学の賞に応募したのに火サスみたいな仕上がりになってしまったものでしたので・・・。
さて、残った4作品は、時代小説、文藝短編賞で落ちた、気に入ってはいるけど純文学ではなさそうなノンジャンル、SFの掌編2つ。ジャンルはばらばらでしたが、まとめてみたら全部自分が書いたのでトーンは揃っていて、なんとかなるような気がしました。

決意(挿絵登場)

とはいえ、無名の自分の個人作品集なんて小っ恥ずかしくて、あほなのか自分、やめとけよ、って声の方が強かったんです。それにデザインとかどうするの的な次の問題もありました。
試しに、仲良しの職場の人にラインしてみました。その方はイラストとか粘土でミニチュアフードを作ったりとかを得意としている人で、個人的にファンなので、何か試しにイラスト書いてもらおうと思いました。
いくつか書いて欲しいモチーフを挙げてみたところ、「明治時代の自転車に乗ってる紳士」という注文に、こんなイラストが届きました。

カワイイ!と思い、試しに表紙っぽくしてみました。

あ、これ、いけるわ、作ろう、と思いました。
1枚のイラストが後押ししてくださいました。

レイアウト

「第九会議室」創刊号は文庫本サイズで作成中でした。プロ編集者のメンバーの事務所にお邪魔して、彼がAdobeInDesignでかっこよく余白とか行数とか設定して、私たちの文章を落とし込んで文庫っぽく仕上げていくのを眺めていました。プロっぽいかっこいいソフトを使って作るものなのだなあ、かっこいいなあ、とみていたわけですけど。
当然うちにはそんなものはなく、使える技術もなく。とはいえ自分の作品集で彼の手を煩わせるわけにはいきません(結局いろいろ聞きましたが・・ありがとうございました)。

さて手元にはMacノートと中に入っているワードのみ。一太郎はレイアウトやりやすいよと言われていましたがMacなので入っていません。ワードもあとからいれました。
さて。困ったらまずは検索です。いきなり答えが出てきました。
文庫同人誌をWordで作る設定の6手順【初心者でも簡単】

このサイトを見たら作れました。本当に初心者でも簡単でした!お世話になりました。

私の余白設定とかも出したいのですが、なぜか実際の文字数と設定の文字数が異なったりしているので、やめておきます。1行33文字で設定しているはずが実際は41文字になっていたり。等幅フォントじゃなければ設定したつもりの文字数と全然違う文字数になっていたりして、難しいですよね。
結局見た目的にOKだったので結果オーライです。
サイトを見ていただいてご自分で設定がよいかと思います。
行数や文字数は手持ちのいろんな文庫本を参考にしました。出版社もそうだし作品によってもかなり見た目は違ったので、好みのものを参考にして設定したらよいかなと思いました。

困ったのがレイアウトを実際に印刷して確認できないことでした。うちにはA4サイズの用紙と普通のプリンタしかなく、またMacのワードの印刷設定画面がMicrosoftのパソコン画面と異なり慣れない私はうまく設定できませんでした。仕方がないのでA4で無理矢理印刷して、手持ちの文庫に透かしたりして、なんとなく大丈夫そうな感じに修正していきました。

ここが8月8日時点。文学フリマ大阪の一ヶ月前です。

ページ番号問題

上記サイトでほとんどの設定ができたのですが、ページ番号の割り振りが、私はなかなかうまくいきませんでした。タイトルページのページ番号が消えないんです。試行錯誤して方法を編み出しましたので解説画像を貼ってみます。お役に立てれば幸いです。(ページ番号を左右に割り振るなど、他の設定は全て終わっている前提で読んでください。また、消したいページごとにこの設定は必要です)
※ワード画面をそのままスクショしたのでいろいろ綺麗じゃないですがすみません。

試し刷り

こうやって、とりあえずレイアウトは整えてみたものの、とはいえちゃんと印刷して確認できないものをいきなり50部、高いお金を出して頼むのはかなり躊躇しました。他の方のnoteを見ていたら「1冊だけとりあえず印刷してみた」という記事があり、そっか、1冊でまず注文すればいいのか、と思い立ちました。

印刷をお願いする先は決めていました。何箇所かめぐって一番お安かったこちら。ちょ古っ都製本工房様。大変お世話になりました。

私はもう今回は素人仕事だし、ブックカバーはなしで、文庫サイズの冊子になればいいというつもりで作りました。表紙をシンプルにしたのも、いろいろサイズ感とか難しいだろうと思ったからです。
発注時には、PDFで作成した原稿と、表紙の原稿が必要でした。
PDFにできない時はワード原稿のまま送れることになっていました(PDF変換のために追加料金が必要)。実際PDFへの変換は私はうまくいかず、行間が開いて行数が半分になり、ページが倍になるというエラーがでて、148ページのはずが300ページになってしまいました。わからないので委ねてしまおうと、ワードファイルを送りました。それと表紙絵はきっちりミリで作る方法がその時はわからず、ラフに作って送ってしまいました。こんな感じ。すごい雑。
この時点でもう8月17日くらいでした。

PDF問題はフォントのせいだった

早速、翌日の8月18日朝、ちょこっとさんからメールがきました。
「148ページで発注されていますが300ページになっていますので、PDFデータで送っていただけますか」と書かれていました。
困った、できないからお願いしているのに。と思って、「なんとかなりませんでしょうか」とお返事してみたら、また返信がありました。「ワードファイルもこちらでは300ページになっていますので修正は無理です」「フォントを変えるなどしていただけますか」とのこと。
こちらではワードは148ページで見えていましたから、あちらで見えていないということは確かにフォントの問題かもしれない、と思いました。
ワードにデフォルトで「ヒラギノ明朝」というのが入っていて、私はそれで作っていたのですが、もしかしてこのせいか、と思い、游明朝に切り替えてみました。PDFにしてみたら、148ページ、見た目通りにおさまりました。急いでPDFデータをちょこっとさんに返送。
また、表紙の背表紙がまんなかではない、という指摘もありました。表紙を3ミリずらしますけどいいですか、とメールがあったので、とりあえず試し刷りだしそれでどうなるかみてから修正しようと思い、OKしました。
これらのやりとりを終えて、確認できました、作業しますと返答がありました。

このやりとりは同じの午前中で済むくらいのスピーディなやりとりで、その日予定があった私もその場で対応できました。ありがとうございました。

試し刷りが届く

8月21日ごろ、試し刷りが届きました。
私はまさかのコロナ陽性で寝込んでいました。(しかも二回目)
ふらっふらで中身をみましたがテンションめっちゃ上がりました。
かわいいやん!!!

ただ、ページ番号めっちゃデカくて主張してて笑いました。フォントサイズを変更し忘れたようでした。

発注

寝込んでいましたがそろそろちゃんと発注しないと、10営業日前の発注(大変お安くなる)に間に合いません。起きられるようになってから、ページ番号の大きさだけを変えて、PDFに自分で変換して、発注をかけました。
実はこの時にじっくり校正をするはずだったのですが、ふらふらでできませんでした。公募に落ちたとはいえ一次を通過したりしたものもありましたので、えーい、と思い、発注してしまいました。誤字脱字はともかく、書いてはいけないこと書いてるとか、致命的なミスがありませんように・・・

試し刷りで「表紙を3ミリずらして作りました」と連絡があったのですが、私が見た感じ、表紙タイトルもおさまりがよく見えたので、発注時に「前回同様に3ミリずらしてほしい」と注釈でお願いしておきました。
この時はちょこっとさんからは「承りました」的な自動返信メールしかこなかったので、ドキドキしながらメールを待ちましたが、データについての問い合わせなどはありませんでした。

そして届く

大丈夫だったのかな、と思っていた9月5日、商品発送の連絡がメールで入りました。そして届きました。こちら。50冊!!

テンション上がりました。文学フリマ当日まで、大事に置いておきました。
紙質のせいか、表紙がわりとすぐに反り返るのが少し残念ですが、はじめて作ったにしては素敵な感じに仕上がったなと自画自賛しています。あとは中身の小説が伴っているかというところですが・・・まあそれは仕方がない。

表紙絵を描いてくださった友達には作品を事前に読んでもらい、各短編の表紙に載せる挿絵を描いていただきましたが、ちゃんと読んで感想もくれながら、合うものを描いていただきました。
それを使って紹介用チラシも作ったりしました。

チラシに、「そもそも、筒井透子とは誰なのか。」と自分で書いて、じわじわきていました。ほんま、おまえ誰やねん。
生まれてこのかたこんなに自己アピールしたことないです。びっくりです。

文学フリマ当日

そして9月10日当日。
まさかの19冊、お手に取って購入していただけました!
第九会議室創刊号と合わせて1000円の価格設定にしたので「それやったら」と買っていただいた方もたくさんおられましたが、私のだけ買ってくださった方もいました。お一人は「ペンギン、ペンギン」と言って指定してくださり、お一人は「コロナのワクチンの話」と指定してくださったので、チラシ効果もあったのだと思います。ありがとうございました。

収支の話

少しだけお金の話をしますが、もちろん赤字です。まだ22冊手元にありますし。ただ、かかったお金を50冊で割ると、1冊360円程度になりましたので、全て400円で売り切ればプラスになるというのは、とてもお安いお値段で作れたのだな、と、改めて感謝です。

結論として、やってよかったです。

結局、「おまえ誰やねん」「じぶん何様やねん」と思いながらも、やってみてよかったと強く思いました。
これまで書いてきた、公募に落ちた作品たちが少しでも読んでもらえて供養ができたことも大きいですが、これからも「公募でダメでも作品集にすれば読んでもらえる」というモチベーションが生まれたことは、今後の小説執筆の大きな動機になりそうです。さすがに次はちゃんと校正したり書き直したりして、レベルを上げてからお届けしたいですが・・・。
それにとにかく楽しかったです。ものを作るのはいいですね。
ジャンルは絞れませんが、また第2号も出るような気がしています。
あと22冊残っています。文学フリマ京都でもお手に取ってもらえるように準備しようと思います。

そしてこの記事が、一から冊子を作ろうという方に、少しでもお役に立ちますように。


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