ブックライター塾と「1万字課題」

今年の春、「上阪徹のブックライター塾」に6期生として入塾。全4回の講義を受講させていただきました。

上阪徹先生は、書籍のライティング分野におけるパイオニア的存在で、20年以上にわたり第一線で数多くの書籍を手掛けてこられた方です。
かつては「ゴーストライター」とも揶揄されていた書籍のライターに、「ブックライター」というネーミングでポジティブな印象を与え、その役割の重要性を様々な形で発信し続けている上阪先生。「ブックライター塾」もその活動の一環として、ブックライターの後進育成のために設立されたものです。

私も5年ほど前に上阪先生の『職業、ブックライター。』(講談社)という書籍をたまたま書店で手に取り、
「世の中にこういう職業があるのか…!」
と、魅了された一人です。
ただ、その時はブックライター塾の存在を知らず、以降は自分自身の転職もあって目の前の仕事に注力していたので、久しくブックライターのことは忘れかけていました。
それが、たまたまSNS経由で塾のことを知り、5年前に抱いた思いが再燃。慌てて滑り込むように申し込み手続きを行いました。

「ブックライター塾」を受講して、「ブックライター」に対する思いはますます強くなりました。
決して今の会社、仕事に不満があるわけではありません。
なのに、自分はなぜ「ブックライター」という職業に魅了されているのか。

「ブックライター塾」では、最後の課題として「1万字課題」が出題されます。
実際の取材原稿をもとに、1万字(ビジネス書のおよそ1章分)のライティングに挑戦するのです。
今振り返ると、この「1万字課題」が、本当に楽しかった。
膨大な資料を読み込み、情報を整理・取捨選択し、キーボードを叩き続ける作業は、実際にやってみるとかなり大変です。
それでも、文字どおり寝食を忘れて、作業に没頭している自分がいました。

どうしたらこの人(取材の対象者)の苦労や感動が読者に伝わるだろう。
どうしたら読者が共感できるようなリアリティ、ドキドキするようなライブ感を、文字だけで表現できるだろう。
こういうことをずっと考え続ける作業が、実はとても楽しかったのです。

「ブックライター」という職業にずっと魅了され続けた理由は、そこにありました。
すごい偉業を成し遂げた人。想像を絶する苦労を重ねてきた人。世の中にない新しいアイデアを持っている人。
自分がすごい!と思った人のエピソードを、その人に代わって分かりやすく伝える役割をとことん担いたい。
自分はそのことに没頭できる人間なんだということが、この「1万字課題」を通して再発見できたのです。
それが、「ブックライター塾」で得られた最大の気づきだったかもしれません。
(もちろん、上阪先生や講談社の唐沢暁久先生など、第一線のプロの方々から得た学びはとても貴重なものでした。おいおい書いていきます)

「ブックライター塾」を卒塾して以降、少しずつライティングの仕事にもチャレンジしているところです。
実績をこつこつ積み重ねていきながら、あの「1万字課題」の時の
「伝えるために考え続ける楽しさ」
を、また味わってみたいと思っています。


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