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2021/10/18【二重路線外交】中国、外交政策の現状【世界情勢】#24

今回は、アメリカで報道されています、中国の「二重路線の外交政策」という話題についてお話をしたいと思います。

10月12日のウォールストリートジャーナルに、「習近平氏の二重路線の外交政策(Xi Jinping’s Two-Track Foreign Policy)」という、現在の中国外交の様子を上手に纏めている記事が載っていましたので、以下に概略をご紹介したいと思います。

中国の二重路線の外交政策とは?


・去る10月9日の(辛亥革命110年)記念式典で習近平氏が演説したが、台湾併合について軍事的脅しは一切示さず、「一国二制度」に基づく再統一、と平和的な発言であった。年内のバイデン大統領とのオンライン会談も引き続き開催予定。
・しかし、7月時点での演説では、台湾の独立に向けたいかなる試みも「完全に粉砕する」と言い、10月最初の週には上最多の戦闘機/爆撃機を台湾領域に侵入させる、という強い圧力を掛けている。

このちぐはぐなシグナルは一体何なのだろうか。
・その答えは現在の国内政治と大いに関係している。中国は現在、国内で破壊的な状況に直面しており、原因は3つ有って、一つ目が、巨大不動産開発企業の恒大集団の崩壊(これによって貯蓄を投資した中間層が大損、1兆ドル、110兆円の資産価値の損失)、二つ目が、オーストラリアからの石炭輸入を経済制裁で締め付けた為に大規模の停電が発生、三つ目がコロナ対策での民衆の締め付け、である、と。これが、中間層の世帯には大きな不満となって溜まっている。
・だからこそ共産党にとっては、深刻な台湾危機を引き起こすことは今は出来ない。
・しかし共産党は同時に、他国が恐れ尊敬する、日の出の勢いの超大国である中国、という、ナショナリズムの高揚の維持は必要不可欠である。外国勢力の台湾問題への介入をふがいなく受け入れたように見られてはならない。

そして最後に、
・しかし、騙されては行けない。アメリカが沈む一方で中国が台頭するという想定を、中国が再考することはない。米国が予想以上に回復し、中国が予想以上に強くないとの証拠を中国の指導者が見いだせない限り、国内で抑圧を行い、国外では攻撃、という現在の政策を見直すことはない。

と言った内容です。
ここのところ、アメリカバイデン政権の統率力低下に関わる問題をお話してきましたが、中国でも同様の心配がある様です。しかし結局は、国内問題山積というタイミングの問題と、「対話と圧力」という交渉手段の一側面に過ぎないのであって、今もし国内問題が無ければどうなっているのかということを考えると、決して予断を許さない状態だと思います。

今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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