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2021/11/30【EVシフト】自動車産業の未来、日本の生き残り方【世界情勢】#37

今回は、アメリカが最先端を走る自動車産業の大変革、このEVシフトの中で、遅れていると言われる日本がいったいどうすべきか、というお話の完結編です。

自動車産業のキーワード「CASE」とは

最初に簡単にこの産業の未来について説明すると、自動車産業は急速に、今までのものづくりから、CASEと呼ばれる様な複合的サービスに変化をしていきます。CASEとは、2016年にメルセデスが最初に提唱したワードですが、Cはコネクテッド(車のIT化スマホ化)、Aはオウトノマス(自動運転)、Sはシェアアンドサービス(公共交通一体化やウーバーなど)、EはElectricの4分野を言いますが、最後のElectric、つまり電動化以外はすべてデジタルやAIといった、最先端IT技術領域のビジネスです。これが何を指し示すかというと、今の完成車メーカーが専業化し、その変わりに、テスラ、ルーシッドやリビアンだけでなく、アップルやグーグル、アマゾンなどのIT企業が、今の完成車メーカーの地位に取って変わる時代がきます。
そして、完成車メーカーであるトヨタやホンダ、日産などが急速に負け組に、若しくは業態を変化させる可能性があり、ピラミッドの構成員である数十万の下請け企業は、いくら素晴らしいものづくり力を持っていても、彼らに従ってひたすら努力しているだけでは生き残って行けない時代がすぐそこに来ていると言っても過言ではありません。

日本の自動車産業における課題

ここまで話せばお分かりと思いますが、問題は、今までの最大の強みであった、ピラミッド型業界構造と下請け企業群です。帝国データバンクの数字によると、2019年、トヨタの下請け企業数だけで38,663社だそうです。今までは、これをピラミッド化し、それを強固に維持することが最大の差別化価値だったのですが、EVにシフトした場合には、部品点数は大幅に減少してシンプル化、簡略化され、技術開発も、次世代の電池開発を除けば、その中心はものづくりから、デジタルやAI分野にどんどん移行していきます。

日本の自動車産業がやるべき2つのコト

そこで、今日本の自動車産業がやるべきことは2つです。一つ目は、今までのピラミッド型産業構造を一分一秒でも早く終えて、アメリカと同等の水平分業型構造に移行することです。
遅かれ早かれ、今の完成車メーカーは今の地位を保有することは出来ず、例えばホンダは4輪から撤退してジェット機などの異業種に、日産、スバル、マツダは専業モジュールメーカーとなるかも知れない時代がすぐそこまできています。
今までの縦の関係ではなく、水平分業型構造に移行することに寄って、下請け企業は、徹底的に培ってきた「技術力」や、「ものづくり力」を大いに生かしながら、自社の強みに特化した商品をモジュール化し、世界中の新しいEVメーカー、テスラやリビアン、ルーシッド、そして今後の参入者であろうアップルやグーグル、アマゾンに対して、モジュール供給元として幅広くビジネスを構築していく体制を早急に構築していくことが、非常に重要だと思います。

そして二つ目は、下請け企業群は、M&Aを推進して体力をつけ、独自優位性を生かせる分野に一刻も早く進出する、ということです。
話が逸れるので詳しくは述べませんが、この2つ目の課題は、国の政策と支援が最も重要です。官民が一体となり、モノづくり力の優れた中小企業をうまく結びつけ、業態転換させることで、自動車産業の貴重な資源を自動車以外の全ての日本のモノづくり全体、サプライチェーン全てに行き渡らせることが非常に重要です。この件は、いずれまたの機会にお話をしたいと思います。

今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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