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フランス南西部の街(14)Perpignan(ペルピニャン)

ペルピニャンです。
あのダリが「ここが世界の中心だ!」と言っていたという、あのペルピニャンですよ。

さて、ペルピニャンは「赤い要塞の街」というような表現がしっくりくる、歴史と由緒あるとてもすてきなところです。
まあ、街というより、ペルピニャンはもはやこのあたりでは一番の大都市ですね。
これまで紹介した街の中では群を抜いて大きいです。ベジエより、アルルよりペルピニャンのほうが人口も多いですし、栄えています。
辞書の後ろあたりに載っている小フランス地図でも、この近辺で載っているとしたらペルピニャンです。それくらい、このあたりのカタルーニャ・フランス世界の中心です。

ペルピニャン

ピレネー山脈ぞいのターミナルタウンとして、大西洋側がバイヨンヌなら内陸がトゥールーズ、そして地中海側にペルピニャンといったところでしょうか。
大西洋岸はわたくしいったことがありませんので、ターミナルと呼べるのがバイヨンヌなのか、ポーなのか、はたまたボルドーになってしまうのか、そのあたりはよくわかりませんが、ともかくペルピニャンは地中海岸のスペイン国境地帯では間違いなく最も重要な都市です。

つづりはPerpignan。カタラン語つづりだとPerpinyaでaの上に`です。
なんでカタラン語つづりがわかるかというと、ペルピニャン市街にはいると、フランス語標識と一緒にカタラン語標識が出るのです。Perpinyaなんて、つづりがいかにも異国情緒たっぷりじゃないですか??

ペルピニャンは都市ですから、大きな王宮のある古い中心街のほか、周辺にもいろいろな施設が広範囲に点在しています。ラグビーなんか好きな方で、観戦に来られた方もいらっしゃるかもしれませんね。
大学などもありますし、日本人も少なくないと思いますので、住んでおられた方も多いのではないでしょうか。
たしか、日本人の方がやっておられる(だか、奥さんが日本人だか・・・)お寿司屋さんも市内にあったんじゃないかな。ぼくはお伺いしたことないですが、いつも予約でいっぱいで、大変にぎわっているのだそうです。

他の大きな都市同様、中心街の郊外はベッドタウンになっており、国道沿いに巨大なショッピングモールというか、ハイパーマーケットみたいなのがいっぱいあります。ハイパーマーケットとは、まああのあたりに行かれた方はなんとなくおわかりであろう、AUCHANだとか、HYPER-Uだとか、INTERMARCHEだとか、その手のやつです。あと、ブリコラージュ(DIY)専門店もありますね。フランス人、日曜大工好きなんですよね。映画館複合施設なども確かありました。

ペルピニャンの街

ぼくのペルピニャンの街の印象はとにかく赤い街。そしてざらっとした空気、それでいていつもやさしくあたたかい。陽光がきらきらとまぶしく、ざっくりとした中にも人々の楽しさや陽気さが満ちている、そんな風に思っています。
さいぜんから出てくる「赤い街」ってなんなのか、という話ですが、写真を見ていただければおわかりのように、街の多くが赤い煉瓦で造られているんです。この赤が深みのある、いい色なんですよ。

美しいでしょう。
なので、あんまり怜悧な印象というよりは、ざらりとした感じが強いですよね。
これが、この地方の乾いた空気、輝く太陽、至る所で目にする黄色と赤のコントラスト(カタランのイメージカラー)とあいまって、とても混沌とした、それでいて確かに持っている美しさを生み出しているのです。
もちろん、人々の人間性もとても明るいですし、基本親切です。これらも、ペルピニャンの印象を強く後押ししていますね。

ペルピニャンの街は、相当古くからありまして、ここは歴史上はフランスだったりスペインだったり違う国だったりと、けっこう独自な道を歩んでおります。
街の外れにはマジョルカ王宮という、13世紀に造られたといわれる王宮が今も残っていて、当時をしのばせます。語感といい、たたずまいといい、フランスの中でも異国情緒たっぷりですね。
実際ここの街の雰囲気は、やっぱり他の地域、パリはもちろん、同じ南仏でもアルルやレ・ボー・ド・プロヴァンスなんかとは明らかに違う香りがします。

と、知っているようなことをいいつつ、実はぼくはマジョルカ王宮はいったことないんです。写真しか見たことない・・。

ぼくがペルピニャンといってランドマーク的にイメージしているのはこれですね。

これは街の入り口のところにある門です。
Castillet門と呼ばれています。カスティエなのかカスティーヨなのかわかりませんが、この呼び名もそれとなく異国っぽいですね。
これは確かカタロニア博物館になっている建物じゃなかったかな?
(これも中に入ったことはないんです)
この裏手あたりでは、よくステージが組まれて音楽が演奏されたりしています。

カスティエ門の近くには教会があります。

サン・ジャン教会かな(Cathedrale St Jean)・・??
なぜあやふやかというと、ぼくは「教会」としか認識していず、なに教会だか全く知らなくて、今グーグルマップでそれらしいのを調べているからです。
ぼくがいったときは工事中でしたね。

さて、まったく名所旧跡を探索するでもなく、お前はペルピニャンに何をしにやってきたのだと言われそうですが、どちらかというと純粋に「都会に買い物に来た」というニュアンスの方が強かったです。母が住んでいたサンタンドレから最も近い都市ですからね。
「ちょっと池袋まで出るか」的なノリで、フランスに滞在すると一日くらいはペルピニャンに足を運んでいました。
ペルピニャンの街は、いい子供服屋が多いんですよ。あと、チョコレート屋と・・・。
ここでおわかりのように、大概のフランスの都市は日本よりもカワいくて質のいい子供服屋がいっぱいありますし、ショコラについてはいわずもがなですから、要するに、ちょっと買い込んだ買い物をしたいときにここに来ていた、ということです。

街の雰囲気もとてもカワイイですよ。
城下町、という表現が正しいのかわからないですが、基本、王宮やカスティエ門、教会と同テイストで造られた街です。せまくてくねくねした道を抜けていくんですよね。
この街も、歴史が今に息づいている街です。
ただ、ここは歴史がヘンに重くないんですよね。「歴史の重み」っていうより、あくまでも大事に大事に暖かみと親しみをもって、人々がペルピニャンを大切にしている感じというか・・・。

街の中心には広場(たぶん、リパブリック広場)があって、カフェなどが多数あります。おみやげ屋さんも多かった気が・・・。
この近辺はお店屋さんがとても充実しています。

今、地図で見てたら、マジョルカ王宮はもうちょっと全然先でしたね。街から通りを隔ててますね。これはわざわざ行かないと行かないですね。

新市街と郊外

あと、よく行ったのはFNAC。これは、いわばヨドバシカメラ的な店です。電気製品の他、DVDやら本やら売っています。
こちらは先ほどお話しした旧市街からは外れた、駅の方の新市街の方にあります。
こっちの地区はビルやマンションなども並んで近代的です。
FNACはパリなんかにもある有名なチェーンなんですが、ここのFNACはなんだかやたらと時代物のレトロな建物です。
最近まであった老舗のデパートがつぶれて、その建て屋をそのまま使っているのだそうです。それこそ、横浜西口の松坂屋(旧ノザワヤ)がなくなってヨドバシになったようなものです。
カスティエ門の向かいあたりには、確かギャルリー・ラファイエットだかプランタンだかがあった気がします。こちらもよく行きました。

新市街と旧市街の境目にはかわいい運河が流れています。

だいたい、街のあちこちのポイントっぽいところや、入り口のロータリーあたりにはヤシだかソテツだかみたいな南国風な木が植わっていて、いかにも気分が盛り上がってきます。
郊外にあるホテルもみんなたたずまいがリゾートっぽいですね。

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街の郊外といえば、おおきなマクドナルドがありますね。
フランスでマクドナルドってあんまり行ったことないんですが、若い世代やファミリーにはそれなりに人気なようです(基本、メニューは日本とは違いますが、味は似てます)。
ただし、ぼくの母の旦那のアンドレみたいな老人世代は原則的にマックやピザハットのたぐいは問答無用で拒否反応です。
たしかですね、ミヨー渓谷のあたりで、農家のおじさんがあまりにもマクドナルドの存在が頭に来て、ついに襲撃して破壊しちゃった、という事件があったそうですが、基本、高齢者層の世論は「よくやった」的な反応だったようで、むしろどっちかっていうと英雄扱いみたいになっている、という話を聞きました。えーと、もうすごい有名人なんだよな。なんていったかな・・・。たしか、もう代名詞みたいになってたような気が・・・。

で、調べてみたらすぐわかりました(インターネットって、便利だ・・)。
そう、ジョセ・ボヴェ(Jose Bove)です!
ああこの人は有名ですよ。フランス人ならだいたい知ってると思います。
世界中にファンがいるみたいですね。彼の本、日本語でも出版されてるようです。買ってみようかな。

アクセス

この街はターミナルタウンですから、ペルピニャン内部もみどころは多いですけれど、むしろここに滞在して、海や山やお城などに足を延ばす、というのがケースとしては多いかもしれないですね。
地中海沿いには普通に電車も走っていますので、ナルボンヌやベジエ、セート、アグドにも一時間ほど乗ればすぐ着きますし、反対側のアルジュレス、コリウール、バニュルスなんかもっとすぐです。
海に行きたければこの電車でいいですね。スペイン方面に二駅行けばアルジュレスですから、ここで気軽に海水浴もできますし、もっと高級な感じでコリウールやバニュルスまでいけば、駅から歩いてすぐ海です。

あと、鉄道で忘れてはならないのが「プチ・トラン・ジョーヌ」ですね。
これは黄色いかわいいトロッコ列車的なもので、ピレネー山脈のふもとをずーっとはしっていく観光列車です。
夏は、屋根のない車両もあって大変混雑します。
・・と思います。すみません。乗ったことはないので、何かで見た情報のままです。
でも、併走している道は車で何度も走っていて、大変素晴らしい景色がずっと続くので、いい旅になることは間違いありません!

あとはバスの起点でもありますから、バス運行関係の情報をおさえれば大概のところには行けます。ぼくも、最近いろいろ調べるまで、あんなにも細かくバスが行っているとは思いも寄りませんでした。

意外に知られていないのですが、ペルピニャンには飛行場もあります。
パリとはオルリー空港にしか便がつながっていないので、ここから直で日本に帰るには不便ですが、もし行き帰りパリでも滞在するのならノープロブレムです。
すごい小さないかにもな地方空港です。
空港から街まではシャトルバスみたいなのがあると何かで読んだことがありますが、乗ったことはないので定かではありません。
まあ、最悪タクシーがいますね。市内まで値段どれくらいでしょう。まあ、他に足がなければしょうがないかな、くらいの値段だと思います。
というのもなんなので、今調べてみました。あ、なんだ、数kmですね。近い近い。

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大きな街の割には「地球の歩き方」などでも割かれているページが少なく、情報がなかなかないですが、ここはやっぱりここにしかない空気が確かにあります。

フランスの中の異国、カタランの中心都市。
赤い風ときらめく太陽。
息づいている歴史の美しさと、どこまでも深いあたたかさ。

ぜひ一度訪れてみてください。
そして、「赤い要塞の街」を隅々まで歩き回っていただきたいと思います。

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※この文章は2009年に書かれたものをリライトしたもので、現在では状況が違っている場合があります。ご了承ください。でも多分たいして変わっていないと思います。

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