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息子がベースを始める

 高校生の次男が、アニメの影響かギターを始めたいと言い出した。
 来年受験のタイミングでどうかとは思うが、まぁでも、特に今好きなこともなさそうだし、そういうのやりたいのはいいことだ。
 とりあえず、家に一本ベースがあるから、ギターじゃないけどやってみたらと言って渡してみた。
 今は教則動画的なものもいっぱいあるので、そういうのをみて夜ごとボンボンボンボン練習をしているようだった。
 すると2週間くらいしたある日、「ベース欲しいからこれを通販で買って欲しい」といって、通販のサウンドハウスの画面を見せてきた。みるとジャクソンの5弦の11万円くらいのだ。

 「えっいきなり5弦なの??」
 「ウン」
 「え、ふつうに4弦じゃだめなの?オレ初心者でいきなり5弦ってあんまり聞いたことないよ」
 「いいの。移動が楽なんだよ」
 「移動って、そんな技術的なことまだ始めて2週間じゃわかんないじゃんか」
 「そう言ってた」
 「ネットでか」
 「ウン」
 「バンドとか組むの?一緒にやる人はいるわけ?」
 「いない」
 「ジャクソンがいいわけ?」
 「ジャクソン有名」
 「フェンダーとかがよくない?」
 「音が違うんだよ」
 「しかも、え、通販で買うの??楽器はマジで実際楽器屋で見て触って相談しながら買った方がいいよ!」
 「大丈夫」
 「いや、ほんとに通販は最初はやめた方がいいって、実際どうなのかわかんないじゃんか」

 やっぱり、今は情報が簡単に手に入るので、いろいろ情報過多になっているような気もする。ここはやっぱりちゃんと相談に乗ってくれる人が欲しい。
 しかしいるじゃんか。
 自分の弟はベーシストなのである。
 しかも、クラフトも専門にしていて、自分で作ったり塗装したりもしている。
 「一回さ、おじさんに相談してみよう、一回ちょっとちゃんと知ってる人に聞いてみようよ」
 「わかった」

 そして、弟と3人ラインで作戦会議を行った。
 弟はやさしく、これもいいけどあれもいいよ、というようなアドバイスをいっぱい次男にしてくれる。やっぱり、親から見ると、また変に音楽をかじっていると、あれこれ言いたくなってしまってつい強めに言ってしまったりするが、弟は決して次男の言うことを否定しない。ジャクソンいいよね、他にもこういうのもあってね。。といって広げてくれる。
 次男も、弟が相手だと「それめっちゃカッコいいっす」「こういうのがやりたいです」と素直に話している。
 いや、確かにそうだよな。オレも、自分の親の話って、あんまり素直に聞いたかっていうと、こんな感じだったような気もする。

 会話の中で、
 「自分左利きなんですけどレフティの方がいいんでしょうか」
 と次男が聞いてきた。
 それこそ、30年くらいバンドやっているけど、レフティのベース使ってる人なんて聞いたことない。だいたい楽器に右も左も関係ないじゃないか。
 「いやそれはさすがに、まず普通のが弾けた方がいいんじゃないの?」
 というと、弟が
 「レフティ1本持ってるよ。壊れてるし弾いたことないけど」
 と言って写真を見せてくれた。
 おぉ、これは、素直にカッコいい。。
 「貸し借りとかできないのは不便だけど、気に入ったなら直して持っていってあげるよ。弾いてみたら?」

 弟は1週間ほどでレフティのベースを持ってきてくれた。たまたま自分は不在だったのだが、どうも二人でずっと部屋で弾きながら何か話していたらしい。
 次男に「何話したの」と言っても「別に」と言う感じだが、まぁでもこんな感じって悪くないよなとも思う。
 というわけで、今家には初心者の部屋にベースが右左2台鎮座している。今日も部屋からボンボンボンボン練習の音が聞こえてくる。

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 そして相変わらず
 「弦買って欲しいんだけど」
 「えっ??この前変えたばっかりじゃんか。」
 「ネットで1ヶ月に一回弦変えた方がいいって書いてあった」
 「変えないよ!そんなやつ見たことないよ!」
 「指の脂で弦が錆びるって」
 「そんな錆びるほど弾いてないじゃんか!!」
 「ウン」
 ていうような会話を繰り返している。
 

これがなおす前のレフティのベース


どんなのがいいかを次男が言うたびに、次々に持ってるベース出してきて写真で送ってくれた
リッケンバッカー
エピフォン
フライングV

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