とろけるものには毒がある
今では遠い遥か彼方の記憶だが、よく休みの日になると親の車に乗せられて、植物に囲まれたシンプルながらも清潔さに満ちた家にお邪魔したことを思い出す。その時々によって違ったが、行くとその家に住む仕立ての良い貴婦人が近くの子供達を集めて、神秘的でワクワクするいくつかの物語を語って聞かせてくれるのだった。
驚くべきことにそれなりの長さにもかかわらず、彼女は全ての物語を暗誦していた。おまけに頭の中にある物語をそれはそれは情感たっぷりに語って聞かせてくれるのである。私はその時間を迎え