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思わず引き込まれた話のまとめ

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ついつい語り口に引き込まれて最後まで読んで感服した話のまとめ。
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2024年3月の記事一覧

淡雪日記

2月某日 湯あがり、散歩に行く。 朝の林。恋い交わすような鳥の声を聴く。 3月某日 絵を贈っていただいたお礼に、プレゼントを贈る。 ガラスでできた、小枝のかたちのカトラリーレスト。お箸を置いても。ペンや、絵筆でも。 大切なものをひととき休ませる、とまり木になってくれたら。 3月某日 ここにいつも、ジョウビタキがいるんですよ、と見知らぬおじいさんに教えてもらった場所に、今日も鳥はいなかった。幻のジョウビタキのすがたを想う。おじいさんのほうが幻だったのかもしれない。

絵画 『View』

星は、しずかに瞬いていますか。 海は、やさしく凪いでいますか。 あなたの眼にうつる景色は、 あなただけのもの。

つれづれ雑記*或る名コーチ、の話*

 小学生の頃、バレーボールをしていた。  当時は、決して好きでやっていたわけではない。どちらかというと嫌いだった。    なぜ、好きでもないバレーボールをしていたかというと、それには今では何だかよくわからない事情があった。  私が小学生時代に住んでいた地域は、昔からの農村と新興住宅地が混在していた。  広い小学校の学区内には、2つか3つの町と、幾つもの、うーん、町名以下は何と呼ぶのかな、字(あざ)とでも呼ぶのだろうか、そういう地域がたくさんあった。  もちろん、今と違って児