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読売ジャイアンツと、みんな違ってみんないい。

子どもの保育園へお迎えに行くと、園のまわりを歩いている子どもたちが読売ジャイアンツの帽子をかぶっていた。あの子も、この子も、みんな読売ジャイアンツ。

掲示に目を向けると、子どもたちが全員同じ帽子をかぶって笑っている集合写真が並んで貼ってあった。
子どものトートバッグの中には読売ジャイアンツの帽子や読売子ども新聞などが入ってる。

説明しよう。なんと、NEW ERAのジャイアンツの帽子を園児全員がもらったらしい。

みんなが同じ帽子をかぶっているってすごいと思う。近所の人が見たら「最近の子はジャイアンツが好きなんだ?」と思うだろうし、すごい広告効果だよな。

掲示されている写真にはオレンジのコスチュームのめっちゃ可愛いお姉さんが4人写っていて「すごー!豪華!!」と感動した。

さすが、ありとあらゆる大人の欲をあぶりだし、富を呑みこみ続けた巨大シティー東京の本丸、読売ジャイアンツである。

と、写真をじっくり見ていたら、年長の女の子が近づいてきて、「私が好きなのはね、この子とこの子とこの子」と、右から1、2、(ジャビットとばして)3人と指差したのでびっくりした。

べっぴんさん、べっぴんさん、ひとり(ジャビット)とばしてべっぴんさん、である。

でも驚いたのは、オレンジコスチュームのお姉さんが4人いるのに、3人を好きと言った点である。
「え?もうひとりお姉さんいるよ?(忘れてない?)」と聞いたら「その子は2番目!!!!」と言ったのだ。つよい。

我が子も帽子をかぶっての帰宅中、「この銀色のシールは剥がさないんだよ」と何度も説明をしてくれた。連絡コーナーにも「ニューエラは銀色のシールは剥がさないそうです」とご丁寧に書いてあった。

帽子をかぶってご機嫌で帰宅すると、長男が早速「貸せ!」と帽子を小さな頭から奪い、ふぅーんという感じで眺めた。
すると次男が「銀色のシールは剥がさないんだよ」と自慢げにいうわけだが、その後の展開は想像のとおり。

フリだと勘違いしてシールを剥がそうとする兄と、泣いて阻止する弟。
(この文章を読んで、幼少期の記憶か何かが疼く人がいたら申し訳ない。)

そんなお決まりの光景を見ながら、思ったのだ。

もしもだ。子どもが先生の話を聞いていなくて、親も掲示をよく読んでいなくて、おまけにNEW ERAについて過去一度も興味や疑問を持ったことがない、という人がいたら、この銀色のシールなんて、たやすく剥がしてしまうのでは?なんの躊躇もなく剥がしてしまうのでは?

そして、登園してきたその子を他の子どもたちが見て大騒ぎするのだ。

「先生!◯ちゃんが銀色のシールを剥がしているよ!!」「あー!◯ちゃん、剥がしちゃいけないんだよ!!」
そしてそして、みんなに囲まれた◯ちゃんをそっと抱きしめがら担任の先生は言うのだ。

「いいのよお、◯ちゃんは剥がしたかったんだもんね?先生も◯ちゃんだったらたぶん剥がしちゃう(笑)ね!だから、気にしなくていいのよ。シールの貼ってある帽子も、シールをとった帽子も、みんなの帽子、ひとつも同じ物がなくて全部かっこいい!」

こういう想像をしてしまうくらい、保育園の先生は優しいです。

これは本音を書こうと頑張るが、どうしても良く見られたいという欲が出てきてしまう人間の偽日常日記である。
(今回の自分解放率42%)



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