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「沖縄の仏壇」の話をしよう

「沖縄の仏壇」は「仏教の仏壇」とは信仰的にまったく異なるものといえます。
前者は祖先崇拝に対して、後者は仏教の教えに関わるものです。

「仏壇」という言葉を調べると、
「仏像や位牌を安置する壇」というのが一般的な解釈で、
特に、位牌よりも仏像が安置されていることに重きが置かれています。

これを踏まえた上で端的に違いを述べれば、
「沖縄の仏壇」にはご本尊となる仏像がなく、
「仏教の仏壇」にはご本尊となる仏像が安置されています。
そもそも沖縄の場合、「仏壇」という言葉が後から持ち込まれた言葉であると考えるべきであり、
「亡くなった人=仏様」の位牌を安置しているので「仏壇」という言葉をあてていると考えるべきなのかなと思っています。

仏壇というのは仏教という宗教上の祭壇であり、
対して「沖縄の仏壇」は祖先崇拝という信仰上の祭壇といえます。

「仏壇」という名称が誤解を招きやすいのですが、
一旦、仏教と分けて考える必要があります。

沖縄では祖先崇拝、自然崇拝の2つが強い信仰といえます。
そのうちの祖先崇拝を表現しているものが「沖縄の仏壇」です。
ご先祖様を大事にする理由はいろいろありますが、大切にすることで、一族や家を護ってくれると信じられています。
そのため、「沖縄の仏壇」は家や家族を護るために、一番護りやすい家の中心に配置されます。
家の要になるものがご先祖様であり、「沖縄の仏壇」です。
「沖縄の仏壇」は、家を建てる時にはじめから家の要としてつくられて、動かせないようになっているのはそのためだと考えるべきでしょう。

さらに、おもしろいことに、
仏壇は観音様が安置されていることもあり、
「観音開き」という言葉もあるように、
基本的には観音開きですが、
「沖縄の仏壇」は観音開きではなく引き戸になっています。
当時、観音開きにする技術がなくてもいまだに引き戸というのは仏壇としての認識とは違うもの考えるべきでしょう。

1つの解釈として、
「沖縄の仏壇」とは何かというと、
「ご先祖様専用の特別室」と考えるべきだと思っています。
夜が明ければ引き戸は開けられ、日が沈めば引き戸を閉める。
日常生活の中でご先祖様と共に暮らす家が沖縄の家の特徴といえます。

とはいえ、時代は移り変わり、
生活スタイルは時代に合わせて変化するものなので、
徐々に「沖縄の仏壇」も形を変えたり、信仰自体も変化していっていますが、
これが人の営みというものだと思っています。

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