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今年もNEW EDUCATION EXPOに行ってきました2023

こんにちは。高校で情報の先生をしていますTakitoです。
ご高覧いただきありがとうございます。
今年も、NEW EDUCATION EXPOに行ってきました。昨年、このイベント参加をきっかけにアウトプットしてみよう思い立ち、noteを始めて約1年、早いものです。さて、今回も気になったセミナーの内容を書き記しておきます。太字がセミナー内容、細字は自分の感想。

ChatGPTの衝撃!教育現場は生成AIとどう向き合うか

  • 生成AIを使いこなすことは、有能な部下、秘書を何人も持つことと同義であり、少人数でも高い生産性をあげることができる、そのため、生成AIは仕事のあり方を劇的に変える可能性がある。

  • 教育的にも個別最適な学習、ライティング支援など良い点もあるが、思考力・判断力を育む学習への悪影響、AI利用によって、本当に生徒が理解しているか分からず、成績評価の公平性、生徒に正しいフィードバックができないなどの問題点がある。

  • 生成AIには「間違いが含まれる可能性」「著作権などの法律違反」「犯罪に加担しうる情報が含まれる可能性」といった問題点がある。

  • 各大学が生成AI利用のガイドラインを作っているが、まだ手探り状態。夏前頃には文科省からのガイドラインも出るはず。

  • 文系理系を問わず、AI活用人材は必要

生成AIの教育利用は、始まったばかりで、まだまだこれから考えていく段階だと感じる。ただ、AI活用人材の育成は必要。今の生徒にもAIを「学ぶ」ことは難しくても、「体験」くらいはさせたい。ChatGPTはPCスペックも低く扱いやすいので、生成AI体験には良い教材だと思うが、現在のChatGPTのガイドラインを見ると、高校生が扱うためには、親の同意が必要になる。授業の1テーマのために同意書を全員分集めるのはちょっとめんどくさいと感じてしまう。希望者対象の体験会にして、申込書に親の同意を入れるくらいが現実的かもしれない。

子どもたちと考える、賢いネット・SNS

  • ある中学校のホームページでは、先生・保護者または生徒同士で相談できるページを設けている。

  • ある中学校では、生徒が教頭先生へ直通で相談ができる仕組みを作った。

  • ある高校では生徒が先生に対してSNS学習会を開催してSNSへの意識を生徒、先生がお互いに高めている。

  • ある調査の結果では、中高生は先生が決めたルールに対して守らない率が高いが、生徒会や自分達で決めたルールは守る傾向がある。

  • 学習利用、趣味・遊び利用を含めて、多い生徒では1日10時間、少ない生徒でも3・4時間はネットを利用している

  • お小遣いがPayPayの子どももいる。

  • 現在では2歳頃からネットに触れることが当たり前。

大学教授をファシリテーターに複数校の中高生が登壇し、スマホに関して学校の取り組みや、スマホ利用に関するパネルディスカッションをした。
生徒の意見を直接聞けたのが良かった。特に印象に残った中高生の意見を書き留めておく。

  • SNSで困っていても、相談することで禁止にされたり、怒られるので話すことを躊躇う。

  • 先生がSNSのことを知らないので理解してもらえない。

  • 様々な場面で何度もSNS・インターネットの注意事項を聞くが、一般的な注意ばかりが何度も続くので聞く気がなくなる。もっと身近なことだったり、実例をあげてほしい。

様々な学校の取り組みも分かったので、勤務校に取り入れられれば面白いなと思う。何より大人50名を前にして、次々に飛んでくる質問に対して、堂々と自分の意見が言える中高生に一番驚いた。

ICTによる授業改善、学校改革

  • 今、ICTを導入しても従来の授業から抜け出せない(SAMRモデルA)学校と授業の形が変わった(SAMRモデルM)学校で二極化が起きている

  • 学校改革、授業改革はICTを使ってでしか出来ない活動をすること、子どもを伸ばすことが目的。例えば昔駅にあった伝言掲示板を電子化しても意味がない、人と簡単に連絡が取れることが目的。

  • 授業改善・学校改革が進んでいる学校では、小学校低学年ではICTに慣れる授業、高学年では授業の目標、分析・検索方法、提出形式を指示して、自分達で進める授業をしている。

  • 中学では授業の目標だけを示して自分達で学びアウトプットする授業

  • ICT機器により子どもが相互で進捗を確認できることが協働に繋がる。

  • 子どもが学びの複線化することが個別最適な学びに繋がる

  • クラウド禁止などの禁止事項が学校改革、授業改革の障害となる

これからは従来の教師主導で教えられる学びではなく、自分たちで主体的に学んできた生徒が増えてくるだろう。一つ気になるのは、現状でも小中学校でICT機器をずっと利用して学んだ生徒と、そうでない生徒でICT機器利用の差が大きい。これに授業形態まで異なると、どうなってしまうのかと不安を感じる。今後は「ウチの学校はこういう授業形態ですよ」というは案内が必要になるかもしれない。

VR・メタバースの教育利用!

  • 研究授業の生徒のグループワーク中に、360度カメラを生徒の輪の中心に設置して授業観察した。この方法だと生徒の発言、行動がよく分かった。その後の研究授業は、カメラの目線で生徒を見るようになった。

  • 生徒の意見では、疑似体験をすると実際の現物も見たくなるという意見が多かった。

  • 音楽の授業でオーケストラを360度カメラで撮影し、どのパートでも見えるようにした。生徒が自分の興味関心に合わせて、自由に課題を見つけ、VR空間で答えを探す活動ができた。

  • 2Dではカメラアングルが固定されており、撮影者の意図に沿った画面しか見られないが、VRは自分の見たい部分を観察することができる。

  • VRゴーグルが無ければ、VR、メタバースが利用できないと思いがちだが、現在導入されているiPadなどのGIGA端末でも利用できる。

  • 危険な体験、知らない分からない体験、見るためのコストが高い体験にはVRは適している、だが、作るのが大変なので、まだ教材は少ない。

VR、メタバース大きなポテンシャルを感じているが、VRゴーグルやメタバースへの金額的・時間的コストで思い切って進むことができなかった。今回、360度カメラの利用、一般的なGIGA端末でも可能、は自分の視野が広がった感覚がする。セミナーで発表されていた方も、小さくても一歩進むのが大切と話をされていた。もう少し色々と考えてみたい。


全体として「探究活動」「SAMRモデルのM(変形)」をテーマにしたセミナーが多かった印象です。これが今の教育のメインストリームなんだろうなと思います。自分の授業もこれらを意識した設計を考えようと思いました。
とにかく楽しかったです、来年もまた行きたい。


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