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情報1:授業で文書生成AIを扱ってみる(2)授業実践

こんにちは。高校で情報の先生をしていますTakitoです。
ご高覧いただきありがとうございます。
前回に引き続き文書生成AIの取り扱いについて授業を実施したので記しておきます。今回は授業実践の結果です。授業設計については下記の記事となります。授業展開は2時間グループワークで行いました。

1.目標と問いかけ

目標:文書生成AI(ChatGPT)の特徴をつかむ
問いかけ:ChatGPTはどんな場面で利用すべきか。

クラスを4人程度にグループ分けをして、目標と問いかけを伝えます。数人程度ChatGPTをまったく知らない生徒がいたので、アイスブレイクも兼ねて、「ChatGPTって何か知ってる?」でグループ内で確認させました。

2.「最初の答え」をクラスでシェア

まず「ChatGPTはどんな場面で利用すべきか」に対する答えをグループで討論し、クラスでシェアしてまとめました。どのクラスもおおよそ4つにまとまりました。

  • 分からないことを調べる時

  • なにか文章を作る時

  • 話し相手が欲しい時

  • 何か画像が欲しい時

3.実際に使ってみて再度判断する

生徒が提案した4つの使い方を私が実践し、「使える」「改善すれば使える」「使えない」をグループで検討させました。

・分からないことを調べる時

 ●●高校(本校)について教えてください

真偽が混在した文章が出力され、生徒達から戸惑いや笑いが起こりました。その後、検討させた結果、「間違った情報が出てくるので使えない」という意見が多数になりました。

また、他の意見として、
「正式名称(●●高校は略称)にすると正しい情報になるかも」
「同名の他校の可能性があるので、県名を入れると正しい情報になるかも」
「今は使えないけど、今後、性能が良くなれば使えるようになる」
といった意見もありました。

改善案を試し、情報が正しくなったか確認しました。
しかし、再度、真偽が混在した同じような文章が出力され、生徒たちは残念そうでした。

・なにか文章を作る時

高校入試の面接で志望理由を聞かれた時に、どう答えると良いですか。

今回は、もっともらしい回答が出力されて、生徒は驚いていました。
ここでは、恣意的になってしまいましたが、生徒に「このまま話せば入試で合格できそうか、自分をしっかりアピールできているか」という視点で考えるよう指示しました。

生徒の意見は、
「部活のことが書いてないので、書いてあれば良いと思う」
「面接の回答としては長すぎる文章が短くなれば使える」
「難しい言葉を使っているので、中学生っぽい感じの文章なら良い」
というような、少し改良すると良いという意見が多数を占めました。また「このままの文章を答えれば良い」と感じる生徒も少なからずいました。

こちらも改良案については試してみました。今回は「調べもの」の違い、部活動のことを追加したり、文章を短くたり、簡単な言葉を使うようになり、「これなら使えそう」と生徒は感動していました。

・話し相手が欲しい時

おしゃべりしましょう。

生徒から質問や回答を募ってChatGPTと会話しました。途中「私はAIなのでできません」のような答えや、話がかみ合わないこともありましたが、それはそれで普段の会話と同じだと感じているようでした。
「問題なく使える」になるかと想像しましたが、生徒の意見は

「ポジティブなことしか言わない」
「敬語で話してくるのでよそよそしいから、タメ口が良い」

と、意外におしゃべりに対して厳しい意見が多かったです。
「タメ口でしゃべって」など改良案を試すと、その後は口調が変わるので生徒は驚いていました。

・何か画像が欲しい時

●●の画像を作ってください。

今回はChatGPT-3.5を利用していたため、画像は生成されません。
グループ討論の必要なく「使えない」となりました。
「有料版や他の生成AIならできる」と紹介して終わりにしました。

4.「最後の答え」を書く

ここまでの授業を踏まえて、問いかけに対する「最後の答え」を個々で書かせました。ここでは、利用場面だけでなく、利用しない場面や感想も書いてよいことにしました。生徒の感想を抜粋します。

  • 便利だと思ってたけど、不便だったり足りないところがあるので、重要な場面では使わないほうが良い

  • 話相手にはなりそうだけど、悲しくなるのでやめといたほうが良い

  • 作文はChatGPTの文章に色々な条件や設定を教えると良い文章になりそう

  • 嘘情報が多いから、検索で使うならGoogleのほうが良い

  • ChatGPTは普段使わない難しい言葉を使ってくるので、使いづらい

  • 全部任せっきりじゃなくて、こっちも少しは頭を働かせて活用しないといけない

5.教員による補足

最後に文科省「生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を紹介し、個人情報を入力しない等の「教師が教えてしまうこと」を伝えました。また、「オープンエンドに問いかけて終わらせること」も伝えて授業終了しました。

授業実施後の振り返り

生徒の「最後の答え」を見る限り、本授業の目標はそこそこ達成できたと考えています。ただし、生徒の感想で「使えない」というネガティブな言葉が多かったので、もっと有用性も感じる授業展開にする必要がありそうです。
今後の授業内の生徒の様子を観察しながら、生徒が実際にどのように生成AIを利用していくのか観察していきたいと思います。


ネームバリューでChatGPTにしてみたけど、画像生成も考えたらCopilotが良かったかも。





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