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情報1:「ルールを守る」じゃない著作権の授業
こんにちは。高校で情報の先生をしていますTakitoです。
ご高覧いただきありがとうございます。
今回は著作権の授業を記しておこうと思います。
著作権の授業に対する考え方
今の高校生は、小学校、中学校で情報モラルとして著作権を学んでいます。そのため、高校生で改めて権利の名称や利用ルールを扱う必要性は低いと考えています。一方で、インターネットやAIの登場によって、著作権はどんどんと変化しており、「法律が現状に追い付いていない」とまで言われることもあります。
これらからを生きる高校生には、著作権は「ルールだから守る」だけでなく、「今の著作権は著作権の目的に合っているか」という懐疑的な視点を持ってほしいと考えました。
授業の方向性
https://jaeis-org.sakura.ne.jp/taikai/t20/pdf/Oral_Presentation/3-B-2.pdf
今回の授業は上記の授業実践を参考にしました。この授業実践では、パブリックライセンスを題材にして、著作権の目的である「文化の発展」の理解を目指しています。
パブリックライセンスは、言わば著作権者が勝手に作る著作権とも考えることができ、パブリックライセンスが懐疑的な視点で著作権を考えるきっかけになると考えました。また、身近な事例を挙げて許諾のガイドラインを作成する活動は、そのまま著作権の目的に適合しているか考える活動になりそうです。
グループ討論で学んでほしいこと
文化の発展を踏まえた著作物の利用に関して、それぞれ色々な考えがあっても良い。
教師が講義をして教えること
著作権の目的は「文化の発展」
著作権は年々変わっており、今後も変わっていくだろう
授業の流れ
目標と問いかけを理解する
目標:著作権の目的を理解する。
問いかけ:目的に合った著作権はどんなものなのか。
著作権の目的を確認する
著作権の目的は「文化の発展に寄与すること」と教える。
著作権の改正履歴、「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を紹介して、著作権の対する懐疑的な視点のきっかけを作る。
様々な事例に対して許諾の有無をグループ討論する
下記のような身近な事例を「文化の発展に寄与しているか」という視点で「許諾無く行って良い」「場合によって許諾が必要」「許諾が必要」のどれに分類されるかグループで討論する。
各事例には現在の著作権法では許諾が必要かを〇×で示すが、あくまでも「文化の発展に寄与しているか」で判断する。
×地域のお祭りのイベントでK-POPアイドルのCDを流して、ダンスを完コピする
×人の描いたイラストをSNSの自分のアイコンに使う
〇自分の所属する音楽バンドで、あるロックバンドの曲を演奏し、その様子を動画投稿サイトに投稿する
△画像生成AIを使ったところ、あるアニメキャラにそっくりなイラストが生成され、そのイラストを宣伝チラシに利用する
事例に対して、異なる分類を行った2グループに「なぜそう思ったのか」を聞き、考え方をクラス内でシェアする。
まとめ
著作権に関して、これからどんな意識を持って暮らしていくか、文章でまとめる
授業結果と振り返り
事例分類のグループ活動を振り返る
各事例に現在の著作権と照らし合わせて、許諾の必要性を表す〇×を付けました。しかし、〇×を判定するには事例の中に曖昧な部分が多かったと思います。ただ、生徒は「著作権に沿っているから」ではなく、各々の考えをもとに分類しているようでした。
例えば、SNSのアイコンに関して「アイコンのような小さな画像に対して許諾やお金が必要になると、だれも使わなくなってしまう。それより多くの人が勝手に使ったほうが宣伝効果が高いので発展できる」という意見もあれば、「SNSの発信がアイコンイラストの発信のように感じるので、もし、悪用された場合イラストの価値が下がるから許諾は必要」という意見もありました。様々な意見が出てきたので大変面白い活動だったと思います。
まとめを振り返る
生徒のまとめを見ると、思っていたより「著作権を守って暮らしていく」というまとめが多く、著作権に対する懐疑的な視点や著作権の目的に言及する表現はあまり見かけませんでした。
一方「作った人が傷ついたり、不快にならないようにしたい」「製作者に敬意を払って」といったルールだからではなく、著作権者の気持ちを考える表現は少なからず見かけました。
当初の授業目標は達成できなかったけど、面白い活動になったのでブラッシュアップしていきたい。
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