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お金と投資の読書:おすすめ本(その2)

利回りとリターンの考え方(投資の基本1)

バランスシートの考え方を身に着けたら、いよいよ資産(BSの左側)を増やすための知識を蓄えましょう。私が初心者におすすめしているのは山崎元さんの著作です。楽天証券経済研究所に所属しながら、所属企業に気を遣わずに投資家のためになるシンプルなアドバイスをしている、尊敬すべきプロだと思っています。

この本は対談形式で軽快に書かれており、山崎さんが理論的な話をしても読み飛ばしてしまう読者も多いかもしれません。結論だけがわかればいい、ということではなく、山崎さんが「増やすとはリターンを上げていくこと」「リターンって何?」という点をちゃんと解説しているので、2回読んでコンセプトを理解した方がいいでしょう。

要は、株式が上がったり下がったりしたとしても、結果として自分が使う時に初めに投資した時より増えていればいいわけです。5年以上の長期にならしてみた時に、1年あたりの利回り(年率)になおすと5%も回る金融商品は、世界株式しかない、というのが山崎さんの結論でした。「高利回りで毎年安定したリターンが得られる」なんていう都合のいいものを探している人は、リスクとリターンの考え方を理解していないと言えます。

ちなみに山崎さんの日本国債の安全性に関するコメントだけは、個人的にやや疑問に思っています。(詳細は割愛します)

リスクとリターンの考え方(投資の基本2)

「長期にわたって資産を増やしたいと考えるなら、ある程度のリスクを許容しないと」という、平均的な日本人には嬉しくないであろう真実を突き付けられた後、じゃあ「投資はギャンブルなんだな。イチかバチかやってみるか」と勘違いしてとんでもない方向に走ってしまう人も少なくありません。

自動車は人間が歩くよりはるかに速いスピードで走ります。だからこそ、どうやれば安全運転ができるかを最初に学び、運転に慣れてからもルールを守り、油断なく運転を続けることが事故を避け、自動車の利点を存分に活用するコツだということは、ほとんどの人が本能的にわかっています。ところが投資となると「どうせ株をやるなら短期間で二倍にしたい」などと欲張ってしまい、一般道を時速200キロでぶっ飛ばすような投資を始める人がけっこういるのです。

投資で一番大事なことは「分散&長期投資」であり、ドタバタ売買を繰り返すことは百害あって一利なし、です。特に株式投資においては、どんな株式を選ぶかではなく「株式という資産にどれだけ長く投資できるか」がリターンを決める、という事実は、プロの間では常識として知られていることです。初心者にありがちな誤解は「下がる前に売って上がる前に買う、タイミングが大事」「たくさんある株の中から、成長性のある株を選ぶことが大事」という説ですが、こうしたもっともらしく聞こえる説に惑わされ、株式を資産形成に活かす機会を失っている人が少なくないのは残念です。エリスが進めるのもまた、インデックス投信への投資です。

十分な投資の知識があり、私のようにCFA(米国の投資アナリスト資格)を持っている人であれば、まずこの主張にまっこうから反対する人はいません。チャールズ・エリスは米国では最も尊敬されているプロといえるでしょう。「敗者のゲーム」はバイブルともいわれ、賢い投資家の間で読み継がれています。(続く)

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