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選んでもらわない

仕事の帰り際、同期の人といい話し合いができた。その人は同期だが、社会人歴は5年ぐらい先輩である。

その先輩は来週休みで、毎週行う定例会には、いつもは2人で参加するのだが、来週は1人で臨む必要があった。なので、こういうものを準備していこうとか、こんな質問がきたら返せるようにしておこうとか、そういった話をしたのだが、その中でもスタンスの話は「確かにな」と思った。

いつものやり方の場合、2プラン持って行く時は、「どっちがいいですか?」か「こっちでいかがですか」のどちらかである。


「どっちがいいですか?」は、どちらにも同じぐらいのメリットとデメリットがあって、決めきれない時に、判断を相手に委ねる聞き方である。
「こっちでいかがですか?」は、理由を述べた上で、相手に選ばせる形をとりつつ、YES NOで済ませることができる聞き方である。

『今回のお客さんは「こっちでいかがですか?」だけで基本的には進まなくてはならないよね。』

と同期が言っていて、その通りだと感じた。

例えば、不安定に感じる吊り橋を渡れるか否かなんていうのは、渡る人には判断できない。判断できる人がいるとしたら、その吊り橋を作った人や、橋の構造に詳しい人である。


今回のプロジェクトだけの話ではないかもしれないが、基本的に提案している空間を作ったのは我々なので、その空間を使う人達に判断させるのは、難しいはずだ。空間の専門家ではないからだ。

プランAとB、どっちがいいか、いい答えを出せるのは、お客さんではなく、経験豊富な我々なのだ。今回のお客さんは頭がいい。判断力と決断力がある。だからこそ「どっちがいいですか?」と委ねていると「この人達は自分達で判断できないのかな」と思われてしまうのだ。


仕事帰り、ビルの下でマルシェがやってて、立ち寄った。ハンドメイドのピアスが並んでいる。そういえば4,5年ぐらい前に一度奥さんにプレゼントしたことがあったなと、ふと思い出す。ピアスを見るのは好きで、自分はつけないけど、眺めているだけでなんだか面白い。チェコガラスが使われているとお店の人が教えてくれた。確かになんだか机の上に置かれたデスクライトに光が反射して、キラキラしていた。チェコガラスでなかったとしても、デザイン自体がそもそもかわいかった。




「どっちがいいかな?」




悩んだ挙句、奥さんに電話した。

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