澎湖(ポンフー)のびっくり不動産事情

今、澎湖(ポンフー)ではポンポコポンポコ新しい家が建っています。
しかもそのほとんどが、3階建てでトイレ付きの部屋が5つとかの比較的大きな家ばかりです。
いっくら家族を大切にする台湾人とは言え、核家族化が進んでいるのは日本と同じです。
それではなぜ、こんなに大所帯向けの家ばかりが建つのでしょうか?
正解はズバリ、民宿にするための家だからです。
だって部屋が5つも6つもあって、トイレも同じだけあったらもうお掃除だけで大変ですよ。どう考えても普通の家じゃないですよね。
澎湖は山手線の内側が2つ分くらいの面積しかなく、人口も10万人ほどだというのに、ホテルと民宿の数はなんと1,000軒以上! 台湾でもっとも民宿が多い地域です。
しかもそうした家が建っているのが、周りが林に囲まれている辺鄙なところだったりするわけです。バイクがないとゴミ捨てすら満足にできないような場所に建っているのは、首をかしげたくなりますよね?
実はこれ、台湾広しと言えども、澎湖にしかないある特殊な法律が影響しています。
それが、農地の50%までを宅地に変えられるというビックリ法律です。
農地は宅地と比較すればうんと安い値段で買えますから、安く土地を買って家を建てられるというわけです。
ところが一戸建てを建てるのにちょうど良い大きさの農地なんてそうそうありません。農地はたいてい数百坪単位で取引されています。
そこで登場するのがデベロッパー。広大な農地を購入した上で面積の50%を宅地に変更し、建売住宅を何軒も建てて民宿用に売るのです。
建売住宅を作る場合は、当然道路も確保しなければなりませんが、宅地にできなかった部分を道路に充てれば無駄もないという寸法です。
折しも澎湖は観光客が右肩上がりに増え続けているまさに有望株。ハイシーズンには1,000軒ある宿のほとんどの部屋が予約で埋まってしまう人気ぶりですから、民宿を始めればすぐに投資を回収できるというわけです。
ちなみに、最近の値段は部屋数や場所によって異なりますが、600万元〜900万元くらい。日本円にすると2,000万円〜3,500万円くらいでリゾート地に一戸建てが買えるという状態。もちろん土地付きです。
この影響で、澎湖を観光するといろんなところに大きな建物が建っているというわけです。
ただ、これをいつまでも放置していたらいつか澎湖から農地が一切合切なくなってしまいます。そこでこの度、この法律を使って宅地に変更できる総面積を制定することになりました。
新たな法律が施行された後は、こうした一戸建てはどんどん値上がりして、最終的には飽和状態に到達するのでしょう。
個人的には、現状ですでに観光客数が多すぎますし、民宿がこれ以上建つと景観が損なわれるので勘弁して欲しいところです。
ちなみに、この話を読んで自分も澎湖に一戸建てを買おうと思った方。こうした物件が購入できるのは澎湖に戸籍がある台湾人だけですよ〜。
いやいや、だったら知り合いに買ってもらってお金は自分で出すよと思った方。残念ながらこうした物件が購入できるのは、現在自宅を所有していない台湾人だけです。
それも夫婦1組で1軒だけ、しかも一生に一度しか使えませんので、そんな話に乗ってくれる人を探す方が大変だと思います。
ちなみに嘘か本当かは知りませんが、一度離婚したら夫・妻ともに購入権利が発生するので、澎湖は台湾で一番離婚率が高いんだとか…。
う〜ん、眉唾物ですが、台湾人なら不動産をお得に入手するために離婚くらいはするような気もしますね〜。う〜む。

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