紫色から始まるⅡ⑦

保美江「さぁ、どうぞ」

分厚いカーテンを開けると、眩しい陽射しが部屋に差し込んだ。

深緑のビロードで作られたカーテン、毛足の長いカーペット。

モスグリーンの紋ビロードで覆われた、座り心地の良さそうなソファ。

入口の正面には、細やかな彫刻の施された大きなデスクが置かれている。

高い天井にはクリスタルのシャンデリア。

映画で見たヨーロッパのお城の執務室みたいで、圧倒される。

ナム子「素敵……」

壁に設えられた天井まである本棚を見て、ナム子が溜息をついている。

ナム子「あの、保美江さん、もし許可を頂けるなら、今度ここの本を読みに来てもいいですか?」

保美江「いいわよ。私はいないけど、ジョングクとジンがいる時なら、いつでもどうぞ」

ナム子「やったぁ、ありがとうございます! あそこにあるあの本、絶版になってて……読んでみたかったんです!」

保美江「そうなの? 良かったら今日貸してあげるわよ」

ナム子「! お借りします! 嬉しい!」

ナム子が本当に嬉しそうに、分厚い本を手に取った。

保美江「さて、着替えましょうか。どれにしようかしら……」

私とナム子を代わる代わる見ながら、保美江さんがクローゼットを覗き込んでいる。

テテ「ママー、ボクのはー?」

保美江「お姉さん達のを選んでからね。ちょっと待ってて」

テテ「はーい。ユンちゃんは何になるの?」

ユンジ「ん? 何に?」

テテ「テテはね、前ね、てんとう虫になったの」

ユンジ「てんとう虫になったの? 可愛いね」

テテ「うん!」

お遊戯会の話かしら。

保美江「よし、これにしましょう。取りに来て頂戴」

ナム子と二人でクローゼットの傍に行くと、それぞれ洋服を手渡された。

ユンジ・ナム子「えっ?! ウソーっ!!」

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