紫色から始まるⅡ⑮

翌日から、ジン君が私たちのクラスに顔を出す事はなくなった。

廊下ですれ違っても、ジン君は横を向いて、視線を合わせないように通り過ぎる。

「別れた」と伝えると、ジミンはビックリして『どうして?!』と聞いてきたけど、ナム子に止められていた。

ナム子は何も言わなかった。

ただ、ジッと私の顔を見つめた。

お昼は三人で食べたけど、放課後は二人きりにしてあげたくて、一人で帰った。

本屋に寄ったり、買い物をしたり。

ジン君が一緒だと出来なかった事をした。

それはそれで、それなりに楽しかったけれど。

ジン君がいつも並んでいた左側から直接風が当たって、腕がひんやりとした。

何週間か経つと、一人で帰るのにも慣れ、持て余していた時間の使い方も思い出した。

ジン君と出会う前に戻っただけ。

楽しい時間を過ごした人が離れてしまったのを、惜しんでいるだけなのだ。

ただの友人。

ジン君の気持ちには応えられない。

仕方がない結末だったんだ。

ナム子「ねぇユンジ」

ユンジ「ん?」

ナム子「ちょっと痩せた? ダイエット?」

ユンジ「ああ、最近食欲なくて。夏の疲れかな」

ジミン「え、そうなの? 大丈夫?」

ナム子は天然だけど、意外と鋭い。

痛いところを突いてくる。

でも今は何も言ってこない。

私がジン君の話をしたくないのを分かってくれている。

ジミンも優しいから、ナム子に合わせて何も言わないでくれている。

気を使わせてしまっているけど、正直ホッとしている。

こんな風に、ジン君ともずっと一緒にいられれば良かったのに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?