紫色から始まるⅡ⑩

ユンジ「さっきはありがとう」

テテちゃんのお迎えに行くと言うジン君について、駅まで二人で歩く。

ジン「ヤー、焦ったよ。設定考えて擦り合わせておかないとね」

ユンジ「うん、本当にごめんなさい」

日が西に傾き始めて、雲がうっすら鴇色に染まっている。

ジン「設定考えたらさ、周りに言って良い?」

ユンジ「周り?」

ジン「うん、ナム子ちゃん達だけじゃなくて、他の人達にも。嫌?」

ユンジ「嫌ではないけど、どうして?」

ジン「ヤー……実は困ってて。1人好きだからって毎日絡んできて……ハッキリ断ったんだけど、友達連れで絡んでくるから、どうしたらいいか分からなくて。ユンジちゃんと付き合ってるって話せば、諦めてくれるんじゃないかと思って」

ジョングクさんが話してた女の子や嫌がらせの事かな。

ジン「ダメかな?」

ジン君が心配そうな顔で私を見ている。

ユンジ「ううん、良いよ」

ジン君の顔が漫画みたいにパアッと明るくなった。

ジン「ありがとう!」

本当に困ってたんだな。

私と付き合ってるって設定で、嫌がらせが少しでも減ると良いけど。

『転校してきたユンジにジンが一目惚れして、ずっと好きだったけど見てるしか出来なくて、でもユンジがモテている事を知って、やっと告白した』

ユンジ「私モテてないよ」

ジン「え、モテてるよ。気付いてないの?」

ユンジ「そんな気配全くないけど」

ジン「ヤー、分かってないな。高嶺の花なんだよ、ユンジちゃんは。簡単に手が出せないだけなんだよ」

ユンジ「手を出されなかったら気付けないわよ」

ジン「もしかして鈍感?」

ユンジ「あー、同じ事ジミンにも言われた。自分の事は鈍感みたい」

ジン「少し自覚した方が良いかもね」

どうやって自覚すればいいの、それ。

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